この様な素晴らしい賞を頂き、とても光栄です。この賞に恥じないような物語を、これからも皆様に届けていきたいと思います。ありがとうございました。
お疲れ様。
あー、ドキドキした。
さすがの鈍感な那美ちゃんでも、あれだけの人が集まってると緊張するんだ。
鈍感って、いらなくない?なんか緊張しすぎて、考えてた言葉も殆ど言えなかったよ~。
そぉ?良かったわよ、スピーチ。
え?ほんとに??
ギコチナイ素振りも好感持てたし。
それ褒めてんの?貶してんの?
ふふっ。誉めてるわよっ。
ほんとに?晃姉にそう言ってもらえると、なんだがスゴイことしたような気になってきた。ねぇ?本当に受賞したの、私でいんだよね?
何それ?じゃなきゃ今の授賞式はなんなのよ?
ねぇねぇ、これってスゴイことだよね?私、スゴイことしちゃったよね??
うん、これは本当に凄い。
私の本、どんな人に読んでもらえたのかなー。読んでくれた人、どう思ったかな。心配だな~。
私は感動したわよ。
え!?晃姉読んでくれたの?
当たり前でしょ、マネージャーなんだから。
ありがとう。…って、感動したの?
した。
うそ…
那美。
ん?
私ね。
うん。
あんたの描く物語、すんごく好き。読むとね、なんか心があったかくなんの。私はあんたのマネージャーだけど、あんたの一番のファンでもあるのよ。
あき……ね…ぇ、うわ~ん
ちょ、ちょっと那美。何よその泣き方。
だって~、あ、き、ね、え、が、ひっく
まーったく、子供じゃないんだから。
わ、私も晃姉の一番のファンだよ!ほんとだよ。ひっ。ほんとに、ほんとだよ。晃姉が大好き。ひっ。ずっと一緒に いい本 作っていこうね。私は、晃姉と一緒に夢を叶えるっ。
那美……ありがとう。
晃子は言葉で伝えること以上に、心が通じてることの奇跡を幸せに思った。あえて言う必要はない。那美がいつか知ったときも、素直に受け入れてくれるだろう。驚くことは、驚くだろうけど。きっと全てを受け止めてくれる。那美を信じてる。私たちはきっと大丈夫。
ほんの少しだけど、もしかしたら那美には最初から全部バレてたんじゃないかと思ったりもする。那美は、最初から全部分かってたのではないだろうか、と。ふとそんな考えが晃子の頭に浮かんでは消え、また浮かんでは消えていた。
それでも、一つだけはっきりしていることがある。それは、晃子は那美が大好きということ。那美の幸せが、晃子の幸せ。那美の笑顔が、晃子の笑顔をつくってゆくんだ。
那美、ありがとう。
那美はとても嬉しかった。小説家を目指したきっかけとなった本の感動を、晃子にも味わってもらうことができた。それも、自身の描いた作品で。こんな幸せなことはない。
あの物語を描いたのが晃子とは、夢にも思っていなかったけど。ただ、明日美という少女を想像するとき、何故か晃子に良く似た女の子になってしまうのだけが不思議だった。
それでも、一つだけはっきりしていることがある。それは、那美は晃子が大好きということ。晃子の幸せが、那美の幸せ。晃子の笑顔が、那美の笑顔をつくってゆく。
晃姉、ありがとう。
お互いでお互いにそう呟くと、まともに相手の顔を見るのが、なんだかこそばゆい。照れて笑い合う。
一緒に幸せになる。産まれたときから、そう決めて生きてきた。絆が二人を繋いでいる。二人は、運命共同体。幸せになるときは絶対、絶対に二人一緒だ。
ありがとう。
言葉にならなくても以心伝心。二人の心は繋がっている。今までもずっと。そして、これからもずっと。二人が見つけてた宝物は、これだったんだ。探し物は、こんなところにあった。気付けて、本当に良かった。それが、幸せって意味なんだ。二人は、まだまだ幸せを集めてく。一緒に生きて、一緒に幸せになる。産まれたときから、そう決めてたから。それが二人の人生だから。
「探し物」編 完。