高校時代から想いを寄せていた女性。
卒業が迫る程に募る想いも・・・告げることなく卒業式を迎える。
線路の彼方にある踏切を渡る彼女を駅のホームから見送ったのが最後の姿。
今や幻か。

家は約500mの距離、当時存在は知らなかったが中学も同じだったようだ。
卒業前、人伝に聞いた話で彼女は大阪の専門学校へ進学するらしいと。
風の便りで具体的な学校名まで私に届いてきた。
大阪にて新生活を始めると、間を置かずその学校を探しに行った。
すると、その学校は私の通う学校から目と鼻の先、またもや約500mの距離にあったのだ。

だからなんだというもので。
本当にこの学校に通っているのか、確証はない。
所詮確かめる術もなく、そんなことできるはずもなく。
大阪のたくさんの人混みの中で、彼女の面影を探した。
空想上のストーリーだけが、ただただ独り歩きするばかりであった。
真実はわからないまま、私の中のエンドレスストーリーと化している。
時は流れ・・・
気が付くと、既に31歳。
13年の時を経て、今あらためてこの地に立った。
何も思うことは無かった。
特別に湧き上がる感情も無かった。
それもそうだよな。
彼女と私の間には悲しい程に
何も無いのだから。
建物を眺めて、ここには何の思い入れも無いのだと実感した。
もういいよな。
しがない独身男を慰めるように、4月のやさしい雨が降ってきては、この身を濡らし心に沁みていた。
おしまい
