小説家志望 -5ページ目

『うずまき猫のみつけかた』  村上春樹

フル・マラソンの後のきりきりに冷えたビール、やっとみつけた中古レコード、隣の猫の消息…小さいけれど確かな幸福の醍醐味。ボストン近郊での2年間を綴ったエッセイ集。写真・イラスト満載。


「一に足腰、二に文体」

『トーキョー・バビロン』 馳星周

ブラック・マネーを掻っ攫え! 若くして「人生の敗者」となった3人が仕掛ける起死回生の大勝負。汚い仕事に手を染める消費者金融から、金を強請ろうと画策する若者たちを描く。裏切り、暴力、計略。圧巻の暗黒小説。


「人生これからだろうが。嘆いて諦めるには、おれたち、まだ若すぎるぜ」

『新宿駅最後の小さなお店ベルグ 個人店が生き残るには?』 井野朋也

ミシュランには載らない究極の大衆飲食店は、こうしてできた!! 新宿駅徒歩15秒!! 日本一の立地にあるインディーズ・カフェ「ベルク」。 「新宿」らしさを残しつつ、時代とともに変化し、サバイブしてきた店の歴史とチェーン店にはない創意工夫、ユニークな経営術が、この一冊で全てわかる。


四六時中物事を良好な状態に保つために費やされるエネルギーは、真の活力である。

山を動かす技術があるところでは、山を動かす信仰は要らない。

エリック・ホッファー

『黒笑小説』 東野圭吾

東野圭吾が描く、「黒い笑い」
平静を装いながら文学賞の選考結果を待つ作家、内心では「無理だろう」と思っている編集者――。文壇事情を皮肉たっぷりに描く短編の他、笑いをテーマにした作品を収録した傑作短編集。


巨乳妄想症候群

冷蔵庫を開けたら巨乳が二つ並んでいた。

『滅びのモノクローム』 三浦明博

骨董市で買った古い釣り用リール。それと共に入手した柳行李(やなぎごうり)に昔のフィルムが入っていた。好奇心に駆られたコピーライターの日下哲は、フィルムの再現を試みる。過去の映像が現代に蘇ったその時、日下の周りでは不穏な動きが…。1個のリールが結ぶ過去と現代。日本人が封じてきた忌まわしい出来事は、今もなお、人々の心の奥底に澱(おり)のように潜んでいた。


目の前に広がる風景が一変していた。まるで世界が脱色されてしまったかのように、黒と白に変わり果てていた。

『悪人』 吉田修一

なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。


「誰でもよかったわけじゃない。誰でもいいから抱き合いたかったわけじゃない。自分のことを抱きたいと思ってくれる人に、強く抱きしめてほしかった。」

『対談 美酒について―人はなぜ酒を語るか―』 吉行淳之介 開高健

当代随一の話芸の名手であり、酒を論ずればバッカスも顔色なしという二人が、酒の入り口から出口までを縦横に語りつくした長編対談。人はなぜ酒を飲むのかの大命題にはじまり、酒の品定めや飲み方、酒場あれこれ、酒癖のさまざま、二日酔いのなおし方から文学、映画、セックス、風俗まで、話題は森羅万象におよぶ。ワインの芳醇さとジンの強烈さが見事にブレンドした極上の一巻。

『東京アンダーワールド』 ロバート・ホワイティング

第二次大戦後の日本における組織犯罪台頭の歴史を描く中で、著者のロバート・ホワイティング(日本野球についての優れた本『You Gotta Have Wa』の著者でもある)は、日本の政界と社会全体においてヤクザが絶大な影響力を持つようになったことと、一度は被占領国であった日本が世界でも有数の経済大国に上り詰めたことは、アメリカの力に負うところが大きいと言う。

ホワイティングが主役に選んだ、実在の人物ニック・ザペッティは、まだ占領地であった東京を訪れ、そこに居残ることを決意する。はした金狙いの詐欺家業で一花咲かせようとしていたが、だらだらと続いていた支払い不能の状態によって我に返り、ザペッティは思いつきでレストランをオープンする。困難を乗り越え、「ニコラスピザ」は東京に住む外国人、野球選手、芸能人、政治家、そしてもちろん地元の暴力団員が集まる50年代の人気スポットとなった。異国の地にレストランを開いた、容易には信用しかねる人物、ザペッティの経営者としての古き良き日の冒険が、この実話の骨子となっている。背後からいつ刺されてもおかしくないような野蛮な環境、ビジネス社会の不正取引など、ヤクザ社会と区別がつかないほどオーバーラップすることが多く、どこでひとつのエピソードが終わって、また次が始まったのかが判然としない。しかし、ホワイティングは巧みに、彼が言うところの「壮大なる富の移行(アメリカから日本へ資本を移すこと)」の過程を詳細に描き出している。なぜアメリカの外交政策(そして共産主義への恐怖)が、知らず知らずのうちに日本へ富を移行させることに甘んじてしまったかを解き明かす。ホワイティングの文体は、啓蒙的で、人を引きつける力を持っており、彼の結論は日米両サイドから聞こえてくる、保護主義者が使うような安易な表現を裏切ってくれる。

一方、ザペッティは最終的に日本国籍を取り、妻の姓を名乗るようになる。健康状態の悪化と、ピザ帝国の経済的崩壊によって夢破れ、やがて極端な日本嫌いになる。「あんた、映画の『リオ・ブラボー』を見たことあるかい?」ホワイティングは、ある夜ザペッティが外国人客のひとりに話していた言葉を引用する。「いやらしい目つきのカウボーイがたんつぼに金を投げ込んで、町の酔っ払い役のディーン・マーチンがそれにへつらうシーンを覚えているか?それが、日本人が望む外人のイメージだ。日本人は俺たちにディーン・マーチンのようにぺこぺこしてもらいたいのさ」

『鈍感力』 渡辺淳一

日本経済新聞朝刊に連載され好評を博した恋愛ロマン小説『失楽園』や『愛の流刑地』の作家であり、“中高年世代の恋愛のカリスマ”と呼ばれる渡辺淳一氏。本書は自らの医師時代の体験をはじめ、数々の出会いや苦い経験から導き出した“渡辺流賢く生きるヒント集”である。推奨するのは、ずばり「鈍感であり続けること」。心身の管理から人間関係や仕事に至るまで、敏感すぎる人には良い結果が訪れないことを様々な事例で結論づけていく。

『死神の精度』 伊坂幸太郎

「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。


私たちの仲間は、仕事の合間に時間ができると、CDショップの視聴をしていることが多い。一心不乱にヘッドフォンを耳に当て、ちっとも立ち去ろうとしない客がいたら、おそらく私か、私の同僚だろう。