残業代請求(サービス残業)、解雇、借金、刑事事件、交通事故などに注力する顧問弁護士(法律顧問) -18ページ目

不払いの残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。
(2)判断
ア マネージャーの権限等について
(ア)労基法四一条にいう管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者の意味であるところ、管理監督者であるといい得るためには、就業時間や職務の遂行について相当程度の自由な裁量があること、部下の人事や経営の重要な事項を知り、それについてのある程度の決定権があることなどが必要であるというべきである。
(イ)被告の各店舗のマネージャーは、店長と協議の上、アルバイト従業員の採用、そのシフトの作成について決定権などの権限は有するものの(1(1)ア、イ(イ)、(ウ))、人件費は各店舗の売上げの二八パーセント内という被告の決定した制約の下におかれ、また、将来、各店舗の店長、マネージャーなどになる被告の正社員の採用権限は有していない(1(1)ア(イ)その採用に参画もしていない)。
 また、各店舗のマネージャーには、主任やアルバイト従業員など下位の従業員の報奨あるいは賞与について査定することはできるものの、最終的な決定権はなく、査定の意見を述べ得るに留まっている(1(1)ア(エ))。
 さらに、被告において定期的に開催される幹部会議で、ある程度給与に関する話し合いや賞与額の決定が行われていたことは認められる(1(1)エ)。しかし、定例幹部会は、たとえば平成一四年八月二一日に一時間一五分にわたり開かれているが、被告役員と被告代表者からの報告事項が大半を占め、店長の発言は、わずかに過ぎず、またその内容も、経営事項に関する提案というよりも各店舗からの意見上申といったものに留まっていること(書証略)、年三ないし四回しか開かていないこと(人証略)などに照らせば、幹部会議で店長やマネージャーが発言権を持っていたとしても、それによって被告の人事や経営に関する重要な事項の決定に参画していたとまではいい難い。
 これらの事実は、本件店舗におけるマネージャーであった原告についてみても変わるところはなく、むしろ本件店舗では、原告は、アルバイト従業員採用などについて決定権をもつ店長を補佐していたに留まっている(原告本人)。
(ウ)各店舗の経営について、重要な要素をなすであろうメニューの決定や売上げ目標などについて、店長やチーフ、マネージャーがある程度の意見を述べたり、ときには決定する権限があったこと(1(1)ウ)は認められるものの、最終的には被告代表者の意見が尊重されたり、決定権を有しており、また、店長やチーフ、マネージャーの意見が反映されるのも、それぞれが勤務する各店舗の運営に限られていた。
 また、各店舗で什器購入などに使用できる金額は一か月当たり一〇万円であり(1(1)ウ(エ))、これを店長やマネージャーが合議の上使用できるとしてもその裁量の幅は広いとはいい難い。
 なお、レジの設定、管理は、店長、マネージャーのみに任されていたが、それは、各店舗の金銭を管理する程度以上の意味はなく、その設定が各店舗の売上げにかかわる(左右する)とは考え難い(原告本人)。
(エ)幹部会議(全体ミーティング)で各店舗の運営状況やその改善点が話し合われたり、各店舗の売上げ目標等が決定されていたことや店舗会議(店舗ミーティング)で各店舗のメニューが決定されていたことは認められるものの(1(1)エ)、幹部会議の実質は被告代表者などによる報告がその大半を占めていたことや(イ、書証(略))、店舗会議でも売上げ目標の決定がされていたとしても、それは被告代表者によるものであったことに照らせば、幹部会議や店舗会議に店長、マネージャーが出席して意見を述べる機会があったとしても、それによって被告の経営の重要事項の決定に店長やマネージャーが参画していたとまではいい難い。
(オ)店長、マネージャーは、各店舗が営業している間は、いずれかが在店しなければならず(争いがない)、遅番と早番のいずれかで出勤することとされていたと認められる(書証略)のであるから、マネージャーが勤務時間について相当程度自由な裁量があったとは認められない。
(カ)また、本件店舗におけるマネージャーとしての原告の権限や就労の実態をみると、本件店舗には、店長、チーフ、マネージャー、サブチーフ、アルバイト従業員が配置されていたのみで、店長が決めた従業員シフトに基づき、アルバイト従業員の出勤数の少ない日に、店長と原告の出勤日を決めていたと認められること、原告はマネージャーとして、アルバイト従業員の管理、客のクレーム処理などをしていたが、接客業務の内容はアルバイト従業員と変わらず、開店前の店内の清掃、後片付けなどもアルバイト従業員と同様に行っていたと認められること、本件店舗の年一回定期的にメニューの変更をしていたが、チーフの提案、被告代表者の指示によるものであったこと、幹部会議で被告の経営に関する意見を述べることなどできなかったことが認められる(原告本人)。
(キ)これらの事実に照らせば、店長やマネージャーが被告の労務管理や経営の重要事項について、経営者と一体的立場にあったものとは認め難い。
イ 原告の処遇について
 管理監督者は、ア(ア)のとおり、経営者と一体的立場にある者故、一般的には、その責任と役職に応じた手当が支給されており、時間外労働(残業)に関する規定の適用が除外されているものと考えられる。
 このような観点から、マネージャーの処遇についてみると、(1)オのとおり、基本給において一般職よりも厚遇されているわけではなく(むしろ賃金額は低い場合もある)、また、役職手当が支給されてはいるが、その額は定額時間外深夜手当を含めてみれば、せいぜい一万五〇〇〇円に留まっている。さらに、職能手当についてみても、その差額は、最大八万円(にまでなるが、それは評価として最上級の七(感謝)と評価された場合であって、平均的な四(良い(A))でみれば二万円にすぎない(書証略))。
 これらの諸手当を合わせても、時間外労働(残業)に対する割増賃金(残業代)の支払がされていないことの代償として十分とはいえず、管理監督者として十分な処遇がされているとは認められない。
ウ 小括
 以上のとおり、本件店舗のマネージャーであった原告は、その権限に照らしても、処遇に照らしても、労基法四一条に定める管理監督者に該当するとはいえない。
 したがって、原告に対しては時間外労働(残業)、深夜労働(残業)に対する割増賃金(残業代)が支払われるべきである。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。