「2階建て化」で満員電車ゼロ?本当に実現可能なのか検証してみた。 | 鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blog

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福祉と公共交通の視点から、鉄道のあり方を熱く語る?
blackcat こと加藤好啓です。
現在の公共交通の問題点などを過去の歴史などと比較しながら提言していきます。
随時更新予定です。

「2階建て化」で満員電車ゼロ? 費用・安全…小池氏ブレーンに直撃
という記事について、私なりに思うこれはオカシイのじゃないの?と言う点について書かせていただきますので、皆様のご意見をいただければと思います。

 

> 東京都の小池百合子知事が公約に掲げた「満員電車ゼロ」。その方策の一つが、2階建て電車の導入です。今ある2階建て電車とは違い、車両もホームも2階建てにするというユニークなアイデアですが、実現できるのでしょうか。小池知事の原案を作った交通コンサルタント「ライトレール」の阿部等社長(55)に聞きました。(朝日新聞社会部記者・工藤隆治)

 

ここで、出てくる2階建て電車の想像図なんですが・・・・。

下図参照

http://withnews.jp/article/f0160919003qq000000000000000G00110701qq000014036Aから引用

 

この鋼体、まず気になるのが車体強度。
これだけドアが多いとうことは、窓は全て固定窓にして、窓にも早々の負担力を持たせる必要があると考えます。
そうなると、冷房ダクトなどはどうなるのでしょうか。

そして、さらに問題になってくるのは、この提案では車両限界を本当に考えたのでしょうか?

現在の鉄道は、2階部分が大きくカーブしていますが、これは車両限界がそのように設定されているからです。

画像 wikipedia

 

車両限界 Wikipediaから図面参照
なお、パンタグラフなどの一部機器は限界外にはみ出すことが許されているが常態的にはみ出すことを許容されたものではない。


その辺のことについては、むしろ意識的に無視しているのか、

> 小池知事と私の考える総2階建て車両は全く別物で、1階と2階を独立した構造とし、ホームも2階建てにします。床面積を倍増でき、扉も多くでき、乗降時間は延びません。

と書いています。

しかし、現状の車両限界を考えるなら、こうした車両を作ろうと思うと下記のようなデザインにならざるを得ません

Wikipediaの車両限界に沿って設計すると基本はこのような図になってしまいます。

 

しかし、この案では、下記のような想像図を描いています。

http://withnews.jp/article/f0160919003qq000000000000000G00110701qq000014036Aから引用


さらに、車両の床面を30cm程度に下げると言っていますが、そうなると既存のホームは使えないので、全てのホームを改修することになります。
その間の通勤輸送は問題なく行えるのでしょうか。・・・これが第1の疑問

 

>パンタグラフと架線をなくして上空にスペースを生み、車両を高くできるようにします。

1階の床面も今の車両より30~40センチ下げます。パンタグラフと架線をなくせる都営大江戸線のよう鉄輪式リニアモーターとするのが一方策です

 

また、床面を70cm程度にまで下げることは可能でしょうがそうなると、台車の大きさを考えると車輪の直径は50cm程度になります。

それよりも、突っ込みを入れたいのは、「パンタグラフと架線をなくせる都営大江戸線

さらにもう一つの疑問は、集電方式です。」というところ、都営大江戸線は架空電車線方式でしょう。

仮に、第3軌条方式とするならば、今度は集電性能の関係で最高速度は現在95km/h程度に抑えられますしあらたな大規模改修が必要になってきますよね。
また、これだけ大きな車体となれば、軸重も大きくなるので当然のことながら全体に装置が大きくなり、またリニアで走らせるとなればそれなりの大きな出力になるでしょう。
機器の一部は床下に収まらないので1階部分に持ってくることになるでしょう。そうなるとデッドスペースになります。・・・これが第2の疑問

 

仮に、車両限界の特認で可能となったとしてトンネルがある区間などではその多くはトンネルは建築限界に沿って作ってありますから改修の対象になります。同じく橋梁の一部もその対象になるでしょう。

 

普通に考えて、そうなると地下鉄への乗り入れは100%不可能になってしまいます。
それでいて、本当に大丈夫なのでしょうか。

 

――他の路線に乗り入れられないデメリットはどう考えますか。

それは仕方ありません。今でも山手線はほかの路線に乗り入れていません。多くの人は、直通運転より満員電車ゼロを望んでいるはずです。

 

こういった回答をしていますが、鉄道の最も大事なことは、大量の旅客等を短時間に大量かつ高速に運べることが大事であり、更に乗り換えなしで直通できることに大きなメリットがあるのです。

仮にこのような車両を作って、乗換してくださいとなれば、乗換先で混雑が発生するわけです。

 

結局、通勤電車とはどんなものか。

ラッシュ時輸送の困難さとはどこにあるのか。・・・そういったことを全く理解しないもしくは理解しようとしない意見ではないでしょうか。

 

それなら、むしろ列車ごとに停車駅が異なる千鳥停車方式で全体の運転時間は同じという「ラッシュ時専用快速」を走らせてその時間帯は普通列車が走らないようにするほうが、退避がない分、並行ダイヤになるので全体として輸送力が増すのではないでしょうか。

皆様のご意見を賜りたいです。

 

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国鉄があった時代 JNR-era

 

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