本日は、国鉄コンテナに連結されていた緩急車のお話をさせていただこうと思います。
高速貨車として、国鉄は下記のような種類の貨車を製造しました。
- 有蓋車と呼ばれるワキ10000
- 冷蔵車のレサ10000
- コンテナ車のコキ10000
そのうち、車掌車付きの車両が作られたのは、冷蔵車のレムフ10000とコンテナ車のコキフ10000だけでした。
ワキ10000には車掌車付きの緩急車と呼ばれる車両が無かったのですが、これは意外でした。
元々、高速貨物はコンテナ輸送に移行させることが目的だったのかもしれません。
さて今回のお話は、コンテナ車に連結されていたコキフのお話です。
コキフ10000系貨車【コンテナ貨車の車掌車は、貨車の車端に設けらていますが、検討段階では貨車の中央に設置する案もあったようです。
今回は、10000系貨車の緩急車のお話ではなく、後に台車交換したコキフ50000のお話を中心にさせていただこうと考えています。
10000系貨車は、最高速度100km/hで運転できる貨物列車として国鉄貨物の期待の星でした。
特に、車扱いが低迷するなかで、コンテナ貨物やヤードパス系の貨物列車は、着実に成果を上げていました、ただし、高級な貨車であり製造価格も高くなってしまうのが欠点でした。
さらにISO規格の貨車を搭載できない。【実際には非効率になる】などの問題もあり、95km/hに最高速度を下げる代わりにISO規格のコンテナも搭載できる貨車として、昭和46年から量産されたのがコキ50000系貨車でした。
コキ50000系貨車の登場により特急貨物は充実(100km系貨車は特急貨物A、95km系は特急貨物Bと分類)したのですが、その反面、ある問題が顕著になってきました。
それは緩急車の乗り心地の問題でした。
10000系貨車が空気バネを搭載していたのに対して、コキ50000は、コストダウンのため、空気バネを一般のコイルバネに戻したことや、電磁ブレーキを省略したのですが、乗務員の間から、コキフ50000の乗り心地が酷いと言う問題が起こったそうです。
10000系貨車と比べるとその乗り心地はかなり悪かったようで、昭和53(1978)年には、試験的に5両、余剰気味となっていたコキ10000系貨車の台車と交換する工事が行わました。
その後昭和54(1979)年からは、基本的には、コキ10000系貨車の台車とコキフ50000の台車を交換し、コキ10000系貨車はレール輸送貨車チキ5200に改造する工事が行われました。
他にも、10000系貨車をコキ50000と併結できるようにブレーキ装置を改造して95km/h対応とする工事も行われました。
これは、10000系貨車が一般貨車と併結すると自動ブレーキのみとなり、85km/hしか出せなくなることを避けるための改造でした。
なお、この改造により、コキフの乗り心地は大幅に改善されたと言われています。
上下方向で50%、左右方向で20%低減されたと言いますから、かなり乗り心地が良くなった・・・と言うより、それまではどれ程揺れたのかかなり気になります。
なお、コキフ50000等は車掌車部分が最後尾になるように運用されていましたが、掌車部分を反転させる運用が持たれたことがありました。
ネットとかで確認すると、80年頃からそういった運用が行われていたようです。
なお、コキ50000系貨車は、JRになってからも改造されたようで100km/h運用のタイプやコキ100系に合わせて110km/h対応になった貨車も有ったようです。
さて、明日はかなり時代をさかのぼって、戦時中に製造された特殊な無蓋車トキ900のお話をさせていただこうと思います。