ハリエット・タブマン 新20ドル紙幣 | Blackbyrd McKnight プログレッシブ・ファンク・ロック・ブログ

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伝説のギタリスト、ブラックバード・マックナイト。その一環した職人気質な音作りとは裏腹にお茶目なブラックバードの一面を、日本生まれの日本育ち、ミセス・マックナイトがご紹介します。

以前書いたブログ。

 


 

 

奴隷の逃亡を助けた地下組織、Underground Railroadについてお話ししました。

 

奴隷解放活動の使命を小さな肩に担って、危険極まりない車掌役を務めた女性がハリエット・タブマン。自分の背丈ほどもある銃を背負い、秘密のルートを駆け巡り、自分もそして命をかけて自由を求める奴隷達も、誰一人捕まることなく、北へと導いたと言われています。

 

 

オバマ政権下で発表された新20ドル紙幣の肖像は、このモーセと呼ばれたハリエット・タブマンを採用する予定でした。ただその後政権が代わり、この計画は消えてしまいました。政権が代わるたび、全く正反対とも言える政策が、まるでスイッチをオンにしたりオフにしたりするかの様に、あっちこっち行ったり来たりする中、かき回されるのはいつもエブリディ・ピープル(一般市民)ですが、それに関してはちょっと横に置いておいて、バイデン政権がこの計画を再開するとの発表がありました。

 

アメリカの暗い闇、人種差別。前回のブログでもお話ししましたが、この頃、もう闇に隠れていない。黒人だけではなく、ヒスパニック、イスラム教徒、先住民、そしてパンデミック以来、アジア系に対する嫌悪も増大している。猛威を振るう新型コロナ、アメリカ先住民居住区の感染率は尋常じゃない。ニュースに出てきた彼らの居住区、ガソリンスタンドを併設した小さなマーケットが一つあるだけ。辺りは木も生えていない低い山と、何もない乾いた大地、家は土で出来ているのか、かまくらみたいな作り。報道官が言った。

 

”私達は自分の意思で、あなた達と離れて生きているんではないのです。設備のない地域に、好んで住んでいるわけではないのです。”

 

ここにも悲しい歴史があります。

 

20ドル紙幣の肖像が黒人に、奴隷に、しかも女なんかに取って替わられるなんて耐えられないという人がいると言うのは、まぎれもない事実です。でもUnderground Railroadの時代に、その活動を支えたのは自由黒人だけではない。先住民もいたし、白人もいた。人類のマザーランドはアフリカって言うじゃないですか。体の色や、体格、内臓のサイズなど、全て徒歩で他の地域に向かう内、環境に適応するために変わっていっただけのことだって読んだ事がある。恐るべし人間の適応能力、それは憎み合うために与えられたものでは絶対にないはず。

 

Swing down, sweet chariot
Stop, and let me ride


勢いよくやって来いよ、馬車。
止まって、俺を乗っけてくれ。

 

Mothership Connection (Star Child)/Parliament
<日本語訳: Mrs. McKnight>

 

マザーシップ・コネクション、このパートの辛く切ないこと。臨終のタブマン氏を送る歌は、元ネタの元ネタ“Swing Low Sweet Chariot”だったそうです。家族や友人から引き離され、奴隷船に山積みにされ、訳もわからないまま市場に引き出され、見たことも聞いたこともない土地で強制労働を強いられる。そんな狂気の時代を生き抜いた勇気あふれる黒人奴隷達、いつか馬車がやってくると信じ、希望を孫子の世代に託した。

 

Underground Railroadの使命はまだ終わっていない。悲しいけど、それが事実。亡くなってなお私たちを導いてくれるハリエット・タブマン、20ドル紙幣の肖像変更計画が復活したのは、彼女からの激励の声なのかもしれないと思いました。