Ian Hunter『Dirty Laundry』 | Music and others

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 Dirty Laundry 00

 

 

 先日のブログで取り上げた、イアン・ハンターIan Hunter)の隠れた名盤とも言える95年リリースの『Dirty Laundry』がジャケットを変えて国内でBSMF RECORDSより再発されました。 オリジナルはノルウェイとアメリカのインディーズ・レーベルからリリースされていましたが、ほどなく廃盤となっていました。 UKでは2007年に再発されていました。 最初のジャケの方がいい気がしないでもありません。

 

Dirty Laundry 10

 

これが彼自身の6枚目のアルバムとなっていますが、この時期は音楽活動そのもののペースが落ちており、前作である『YUI Orta』から6年ほどのブランクがあります。と言うのは、『YUI Orta』は長年に亘りコラボレーターとして活動していたミック・ロンソン(Mick Ronson)と再会を果たし、大々的にカムバックを計画し取り組んだ意欲作だったのです。 ハンター・ロンソン・バンド(The Hunter Ronson Band)として活動して行くつもりだったのです。 しかしながら、レコード・レーベルからは大したプロモーションを受けられず、挙句、ミック・ロンソンが癌を発症していることが判明し、ほどなくしてドロップされました。 このアルバムは2003年にボートラを加えてリイシューされています。

 

このアルバムは最初から計画されていたものではなく、ノルウェイ出身のキーボード奏者であるカジノ・スティール(Casino Steel)がアビーロード・スタジオ(Abbey Road Studios)で行っていたジャム・セッションにイアン・ハンターを招待して数曲レコーディングしたことがきっかけでした。 カジノ・スティール自身がパンクバンドであったハリウッド・ブラッツ(Hollywood Brats)の出身であり、参加したミュージシャンもパンク、グラムロックなどで勢いに任せた内容に仕上がっています。 まあ、スタジオ内で偶発的に出来上がった密度の濃い演奏だと思います。

 

□ Track listing;

  *) All tracks are written by Ian Hunter and Andy York, except where noted.

1. "Dancing on the Moon" (Hunter, Bath, Plain) – 5:24

2. "Another Fine Mess" (Hunter, Bath, Plain) – 3:28

3. "Scars" (Hunter, Bath, Plain) – 5:04

4. "Never Trust a Blonde" (Bath) – 5:19

5. "Psycho Girl" (Plain) – 2:48

6. "My Revolution" (Steel, Matt Dangerfield, Hunter) – 4:08

7. "Good Girls" (Plain) – 4:01

8. "Red Letter Day" (Hunter) – 5:11

9. "Invisible Strings" (Hunter) – 3:53

10. "Everyone's a Fool" (Bath, Roig) – 2:41

11. "Junkee Love" (Andrew Matheson, Steel) – 2:46

12. "The Other Man" (Hunter) – 5:23

 

□ Personnel;

 Produced by Ian Hunter and Andy York

■ Musicians;

 Ian Hunter - guitars, vocals

 Casino Steel (Stein Groven) - keyboards, vocals, percussion

 "Honest" John Plain (John Splain) - guitar, vocals

 Darrell Bath - guitar, vocals

 Glen Matlock - bass

 Steve "Vom" Ritchie - drums

 Blue Weaver - keyboards

 Lasse Hafreager - piano, organ

 Mitt Gamon - harmonica

 Angela Clemmons-Patrick, Bård Svendsen, James Williams, Torstein Flakne, Vaneese Thomas - backing vocals

 Torstein Flakne - guitar on "Invisible Strings"

 

一言で言えば、等身大のロックンロール・アルバムです。 イアンのソロ・アルバムではないので、バックの演奏含めて少し違和感がないとは言えませんが・・・・。

 

オープニング曲の”Dancing on the Moon”は、横ノリのストーンズの様な8ビートの曲ですが、猥雑さが漂ってきます。

□ “Dancing on the Moon”   by Ian Hunter;

 

 

 

続く”Another Fine Mess”は60年代のビートサウンドを思い起こさせます。

□ “Another Fine Mess”   by Ian Hunter;

 

 

”Scars”とは(傷痕)ですが、「過去の経験やトラウマを物理的に思い出させるもの。」を表していて、イアン流のバラッドですね。

 

4,5曲目の2曲はイアンが関係しない楽曲のためか、少し趣の違う歌詞(直接的でひねりがありません)。

 

中盤にある”My Revolution”は、あの”All the Young Dudes”に通じるさまよえる10代や20代へのアンセムですね、このアルバムのベストではないでしょうか。 少し似すぎている点はご愛敬でしょうか・・・・。

 

□ “My Revolution”   by Ian Hunter;

 

 

 

□ “All the Young Dudes”   by  Mott the Hoople;

 

 

 

"Good Girls"は5曲目の"Psycho Girl"と対になっている、70年代のパンク・バンドでバズコックス(Buzzcocks)と並び称せられるボーイズ(The Boys)出身のギタリストである、ホーネスト・ジョン・プレイン("Honest" John Plain)らしい曲です。 バックのビート感はやはりパンク組らしいエッジの効いたドライヴ感がありますね。

 

"Red Letter Day"は文字通りの「記念すべき日」(忘れらない日)のことで、イギリス人らしいイアンならではの表現です。 ミディアム・テンポのラヴ・ソングです。

 

”Invisible Strings”もイアン単独による楽曲ですが、何処となくロッド・スチュワート(Rod Stewart)の歌う三連のバラッドを彷彿とさせます、たわいのない内容ですがいいメロディー持っています。

 

”Junkee Love”は文字通りの危ない”ヤク”の事を歌っています、まあほとんど意味のない歌詞ですけど・・・・。 バックでは延々とボ・ディドリー・ビートが鳴り響いている不思議な曲です。

 

最後の”The Other Man”もイアン単独による楽曲で、永遠のラヴソングです。

□ “The Other Man”   by Ian Hunter;

 

 

 

豪華アーティストたちが多数参加したアルバムの第2弾、『Defiance Part 2: Fiction』が海外で4月19日に発売となるので楽しみにしたいと思います。

 

今まで、イアン・ハンター(Ian Hunter)について触れたブログはありませんでした。 もう少し深堀りできればと思います。


 2024年3月 Ian Hunter 『Defiance Part 1』  (こちらです↓↑