ジェームス・テイラー『The Complete Warner Bros. Albums』 | Music and others

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そのソフトで柔らかなヴォイスは今も変わらない、スウィート・ベイビー・ジェームスSweet Baby James)、現在は71歳になり見た目は随分と変わりましたけどね。
 
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そんなジェイムス・テイラーJames Taylor)が、ワーナー・ブラザーズ・レコードに在籍していた時期のオリジナル・アルバム全6枚をまとめて収録した箱が米ライノ・レコード(Rhino Records)から出ました。それが『ザ・ワーナー・ブラザーズ・アルバムズ1970-1976』で、7月19日にリリースされました。 
残念ながらポチッてはおらず、ストリーミングからダウンロードして毎日の様に聴いております。
 
歳を取っただけなのか、今の自分にはピッタリと寄り添うような気がしてなごんでしまいます。
 
収録されているのは『Sweet Baby James』(1970年)、『Mud Slide Slim And The Blue Horizon』(1971年)、『One Man Dog』(1972年)、『Walking Man』(1974年)、『Gorilla』(1975年)、『In the Pocket』(1976年)という、とてもヴァラエティに富んだ名盤揃いであり、トータルで全75曲になります。 全てあらためて丁寧なリマスタリングが行なわれています。
 
 
JTaylor-2019.
 
 
Mud Slide Slim And The Blue Horizon』の中では、やはり”You’ve Got A Friend”につきますね。 キャロル・キングCarole King)と共にSSWブームを牽引していく1971年の作品で、『Tapestry』と対をなすアルバムですね。 超有名曲である”You’ve Got A Friend”をカヴァーしているのですが、こちらはアコギ(当時のジェームスは、ギブソン製のJ50を使用)主体で、コンガが導く少し土臭いアーシーなビートがいい感じに全体を包み込んでいます。 ハーモニー・ヴォーカルは当時のガールフレンドであった、ジョニ・ミッチェルJoni Mitchell)が付けています。
 
□ You’ve Got A Friend” by James Taylor

 

 

 

 

 

 

 
 
 
特筆すべきは、ジェームスが弾くアコギの奏法、特に親指で弾くベースラインではないでしょうか! ただのアルペジオではなく、フラット・ピッキングでもない、独自性があります。 未だに名器と呼ばれるマーティンを演奏しない数少ないミュージシャンでしょうか、ギブソン、そして、マーク・ホワイトブック、何故なんでしょうか。
 
そして、もう1曲”Long Ago and Far Away”は、ジェームスのバリトン・ヴォイスが喪失感漂う美しい情景を歌い上げる、知る人ぞ知る名曲です。 ここでは、完璧なハーモニーをジョニ・ミッチェルが付けています
 
□ Long Ago and Far Away” by James Taylor

 

 

 
そして、ホーム・スタジオでセクションの面々とレコーディングした3分に満たない短めの楽曲が並ぶ『One Man Dog』です。 曲数が多いのですが、おもちゃ箱のような未整理なままの状態のような印象を受けてしまい、私自身はあまり印象に残っていないアルバムです。 リード・シングルでそれなりにヒットした”Don't Let Me Be Lonely Tonight”が収録されていますが、AORチック過ぎて好きではありませんでした。 2001年になって、エリック・クラプトン(Eric Clapton)がカヴァーした時には大いに驚きましたが・・・・。 このあたりから、ソフトロック路線に入って行ったのではないでしょうか?
 
そして、この後慣れ親しんだセクションから離れて東海岸はニューヨークでセッション・ミュージシャンをバックにして『Walking Man』をレコーディングします。 当時の妻であったカーリー・サイモンCarly Simon)の影響なのか、洗練されたカッチリしたサウンドをバックにしていますが、少し違和感が残ります。
ここで、今まで名コンビとしてずっと組んできたピーター・アッシャーPeter Asher)のプロデュース・ワークから外れます。移籍したコロンビアでのヒット・アルバム、『JT』までしばらくブランクとなりました。
 
 
 
私がとても想い入れのあるアルバムなのが、75年3月にリリースされた6枚目の『Gorilla』と言う変わったタイトルの作品ですね。
 
1."Mexico"     2:57
2."Music"     3:46
3."How Sweet It Is (To Be Loved by You)" (Holland-Dozier-Holland)     3:33
4."Wandering" (Traditional; arrangement and additional lyrics: James Taylor)     2:40
5."Gorilla"      3:10
6."You Make It Easy"      4:10
7."I Was a Fool to Care"      3:19
8."Lighthouse"      3:15
9."Angry Blues"      3:25
10."Love Songs"     5:45
11."Sarah Maria"     2:46
 
 
アマチュア・バンドに参加していた頃に出会ったアルバムで、その中の“Angry Blues” をバンドの次の課題曲として提案したことがあります。
 
□ Angry Blues” by James Taylor 

 

 

 
ジェームス・テイラー=ザ・セクション と言う方程式が成立つ程に、彼等のコンビネーションは素晴らしい成果を残しています。 リズム隊として、ラッセル・カンケルRuss Kunkel)とリーランド・スクラーLeland Sklar)のコンビは歌もののバッキングとしては最強だと思いますが、この曲はアンデイ・ニューマーク(Andy Newmark)とウィリー・ウィークス(Willie Weeks)と言う、跳ねるファンキーなグルーヴが持ち味のユニットがバッキングをしています。 そして、ギターは音色を聴けばすぐに分かるローウェル・ジョージLowell George)のスライドなんです。
 
 
このアルバム収録の名曲と言えば、もちろん、1曲目のカントリー・ポップの“Mexico”や、モータウン直系のホーランド=ドジャー=ホーランド(Holland–Dozier–Holland)の作品で、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)のカヴァーである”How Sweet It Is (To Be Loved by You) ”が良く知られています。 この曲はダブル・ドラムスだったんですが、当時はリズム的にはあまり魅力的に思えませんでした。 目立たない位のシンクロ度合いですけど、ジム・ケルトナー(Jim Keltner)とラッセル・カンケル(Russ Kunkel)と言う贅沢な組み合わせです!
□ How Sweet It Is (To Be Loved by You) ” by James Taylor

 

 

 
今聴き直していると、上に挙げた曲に挟まれた2曲目の“Music”が思い切り心に刺さります。 この繊細さが何もかも優しく包み込んでくれるのです!
□ Music” by James Taylor

 

 

 
 
そして、”I Was a Fool to Care”では、恋人に裏切られた男について書かれた寂し気で自嘲的な歌詞と、バックのサウンド、ニック・デカロNick DeCaro)のストリングス・アレンジメントがはまっていると思います。 そして、歌ものにおけるリーランド・”仙人”・スクラー先生のベース・ラインの心地よさは流石です。
□ ”I Was a Fool to Care” by James Taylor;

 

 

 
 
当時は、娘が生まれて幸せの絶頂期にあったカーリー・サイモン(Carly Simon)との来るべき破局を暗示していたのかも知れません。
 
 
そして、ワーナーブラザーズでの最後のアルバムとなる7枚目『In the Pocket』です。 前作と併せて、当時売れっ子となっていたバーバンク・サウンドThe Burbank Sound)の立役者と言われた、ラス・タイトルマン&レニー・ワーロンカー(Russ Titelman and Lenny Waronker)のプロデュースにより制作されました。 そのせいか、捻りの効いた楽曲が含まれていることと、今までにはなかった人脈による意外なミュージシャンの参加が特徴ではないでしょうか?
 
 
初っ端の“Shower the People”を聴けば、今までのサウンドとの違いが明らかになると思います。アコギで導かれ、パーカッションにフェンダー・ローズが重なって織りなす究極のソフトロックに仕上がっています。 ベイビーフェイス(Baby Face)がカヴァーした感覚が分かるような気がします。
□ Shower the People” by James Taylor

 

 

 
後は、アーティーことアート・ガーファンクル(Art Garfunkel)がハーモニー・ヴォーカルで参加している、ギョッとするタイトルの曲、“Junky‘s Lament”(ジャンキーの嘆き)です。
 
最も驚いた注目すべき曲は、9曲目の”Don't Be Sad 'Cause Your Sun Is Down”でしょうね、何とスティーヴィ―・ワンダー(Stevie Wonder)との共作です。 曲自体にそんなスティーヴィ―らしい感じはしないのですが、あの味のあるハッピーなハーモニカが絡んでくるだけで、一瞬にして空気感が変わりモータウンらしい曲になります。
□ Don't Be Sad 'Cause Your Sun Is Down” by James Taylor

 

 

 
 
 
さて、1か月半続いた、消費税増税とWindwos7からWindows10移行のプロジェクトがようやく出口が見えてきました。 これで、土日は普通に休日としてのんびりと過ごすことが出来ます。 まずは、身体を休めることと途中で終わっているブログの再開です(笑)。
多くの新作リリースが控えていますから・・・・・。
 
 
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