安らかに・・・・ アート・ネヴィル(AKA Poppa Funk) | Music and others

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ニューオリンズからまたしても悲しい知らせが伝わって来ました。
 
 
Art-Neville 00
 
 
 
ニューオリンズ・ファンクの始祖とも言うべき、ポッパ・ファンク(Poppa Funk)ことアート・ネヴィルArt Neville)が7月22日に亡くなりました。 奥様のロレインさんに看取られて、享年81歳で天国に召されました。
 
つい先日、6月6日にはドクター・ジョンDr. John)こと、マック・レベナック(Malcolm John Rebennack)が77歳で逝去、1年前の2018年4月26日にはネヴィルズのホーン・マン、チャールズ・ネヴィルChales Neville)が79歳で旅立っています。
 
昼過ぎに、弟のエアロン・ネヴィル(Aaron Neville)のフェイスブックでそのことを知りました。エアロン・ネヴィルのフェイスブックにあったメッセージの冒頭の一節には、
 
My big brother Artie/AKA Poppa Funk was the patriarch of the Neville tribe, big chief, a legend from way way back, my first inspiration. ・・・・・・・
・・・・・・・ I know he's in heaven with Mommee and Poppee, Big Chief, Cookie,  Brother Charlie, Mac/Dr. John, Allen Toussaint, and James Booker.   So many great New Orleans musicians and singers are in the heavenly band now.
 
「我々の頼れる兄貴分、アーティーはネヴィル一族の家長であり、ビッグ・チーフであり、ずっと昔から伝説的な存在であり、自分を鼓舞し続ける存在だった。・・・・・・(中略)    天国では、ニューオリンズの偉大なミュージシャンやシンガー達とバンドを組んでいるだろう。」
 
BrotherToBrother
 
振り返れば、2015年11月にツアー先で急逝してしまった、ニューオリンズの音楽大使とも言えるアラン・トゥーサンAllen Toussaint)の時から続いていることになります。 そういう時期に来ているのだから仕方ないのでしょうが・・・・・・・返す返すも残念ですね。
 
     Allen Toussaint  これが遺作に!『America Tunes』(ブログはこちら↑↓
 
 
 
私にとっては、衝撃的な出会い、ミーターズThe Meters)の独特のグルーヴ、セカンド・ラインに始まり、青山CAYにて目の前で体感したネヴィル・ブラザーズ(The Neville Brothers)の衝撃的なステージ、忘れる事のない出来事です。
 
初めてのネヴィルズ体験ー青山CAYにて(ブログはこちら↓↑
 
”ネヴィルズ”の衝撃 — 86年5月16日 青山CAY にて(ブログはこちら↓↑
 
 
 
1937年12月17日生まれのアートは、幼少の頃より音楽の才能を開花させて、ドゥーワップ・グループのメンバーとして注目を浴びていた。 16歳の時にホウケッツ(the Hawketts)と共にレコーディングした”Mardi Gras Mambo”でローカルではあるが脚光を浴びる存在となった。 その後、兵役に服し海軍に入隊していたが、2年後に除隊してからはニューオリンズに戻り、ソロ・アーティストとして活動していた。
 
□ ”Mardi Gras Mamboby Art Neville with the Hawketts

 

 

 
 
しかしながら、全米レベルでの成功を収めるまでには届かず、4歳年下の弟であるエアロン・ネヴィル()が66年に”Tell It Like It Is”のスマッシュ・ヒットにより先を越されてしまう。 その後は、地元のニューオリンズで自身のバンド(Art Neville and the Neville Sounds)を組み、地道な活動に終始していた。
 
68年にバンド名をミーターズ(The Meters)と改名し、セルフ・タイトルのアルバム、『The Meters』をリリースして、彼らの代名詞とも言うべきセカンドラインを全面に出した”Cissy Strut”で知られる存在となった。その後は8年間に亘って、根気強く活動を継続させて、あの知る人ぞ知る名盤、『Rejuvenation』を74年にリリースし、”Hey Pocky Way”はつとに知られる楽曲となった。
 
□ ”Hey Pocky Wayby The Meters

 

 

 

 

 
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)やローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)とのレコーディングやツアー帯同により知名度を高めて行ったが、ヒット曲には恵まれることなく活動がやがて下火となって行った。
 
続いて、マルディグラ・インディアンのグループによるアルバム、『The Wild Tchoupitoulas』のレコーディングに参加した後、ファミリー・グループであるネヴィルズ(The Neville Brothers)を結成した。 ミュージシャン仲間からの評価は絶大ではあったが、それがアルバムやライヴ・ツアーの成果には直接結びつかず、目に見えるような結果を生み出すには至らなかった。 
 
 
Neville-brothers00
 
 
 
ファンの間では最も評価の高い、81年リリースの『Fiyo on the Bayou』は、プロダクションに問題はあるが等身大の彼等の姿を感じる事のできるアルバムである。 
 
□ Fire on the Bay you by The Neville Brothers

 

 

 
それでも、80年代後半には打開を図るべく、色々な試行錯誤を行い、あのキース・リチャーズ(Keith Richards)を筆頭に、 ジェリー・ガルシア(Jerry Garcia)、カルロス・サンタナ(Carlos Santana)などの豪華なゲスト陣の参加によるアルバム、『Uptown』をリリースした。一般的には、時流にすり寄った薄っぺらなサウンドで彼等の良さが失われたと酷評されている。
 
更には、音の魔術師、ダニエル・ラノワ(Daniel Lanois)のプロデュースによるアルバム、『Yellow Moon』を1989年にリリースした。 このアルバムは非常に世界的にも評価は高く、ネヴィルズにとっては初のグラミー賞受賞作品となった。 個人的には、最高評価に値する内容の濃い、ファイヴ・スター級の作品だと思う!
アルバムの収録曲、”Healing Chant”が Best Pop Instrumental Performanceに輝いたのである。
 
 
これ以降2004年に掛けて6枚のスタジオ・アルバムをリリースするが、セールスの低迷に呼応するように焦点が定まらない内容となり、バンドとしての活動が下火になって行く。 兄弟一人一人がそれぞれのソロ・プロジェクト中心になり、エアロン・ネヴィルはソロ活動に注力して行った。
 
2004年にリリースされた最後のスタジオ・アルバム、『Walkin' in the Shadow of Life』ではアートが息子であるイアン・ネヴィル(Ian Neville)や甥のアイヴァン・ネヴィル(Ivan Neville)達との共作曲を披露していた。 その中の1曲を紹介しておこう。
 
□ ”Walkin' in the Shadow of Lifeby The Neville Brothers

 

 

 
 
 
アート自身は、単発的にミーターズを再結成してライヴ活動をこなしたり、兄弟の子供達のバンド活動(主に、Dumpstaphunk)を支援したりとマイペースの活動に落ち着いて行った。
 
健康状態が優れなくなり、2012年頃にはネヴィル・ブラザースは活動停止となり、アート自身も2018年12月を以って正式に音楽活動から隠退を表明していた。
 
アート自身は、単発的にミーターズを再結成してライヴ活動をこなしたり、兄弟の子供達のバンド活動(主に、Dumpstaphunk)を支援したりとマイペースの活動に落ち着いて行った。
 
健康状態が優れなくなり、2012年頃にはネヴィル・ブラザースは活動停止となり、アート自身も2018年12月を以って正式に音楽活動から隠退を表明していた。
 
 
愛称のPoppa Funkのように、ほぼ60年間に亘りニューオリンズの音楽業界を支えてきたアートの功績は決して小さなものではないと言えます。
ネヴィル一族の首長として、ファミリー全体を支え続けて来たこと、これはエアロン・ネヴィルが受け継ぐでしょう。
 
そして、彼のDNAを受け継ぐ次の世代の子供達、イアン、アイヴァン、ジェイソン、オマリ、フレッド、が伝統を継承しつつ、新たな音楽の流れを生み出して行く筈です、きっと永遠に。
 
□ ”Poppa Funkby The Neville Brothers