それでは、先日アップした『The Search for Everything』 その壱(こちらです↓↑)の続きになります。
ビルボードのチャートでは、ロックアルバムでは最高位は1位でしたが現在は14位まで落ちています。 ビルボード200においても、ピークは2位、現在は81位となっています。 エド・シーラン(Ed Sheeran)の『Divide』などと比べると、勢いは及ぶべくもありません。『Divide』は、楽曲クオリティがどれも恐ろしく高くて熟成しているから、比較してはいけないのだろうが・・・・。
□ Track listing *****;
※) All music composed by John Mayer
1. "Still Feel Like Your Man" - on "Wave Two"
2. "Emoji of a Wave" - on "Wave Two"
3. "Helpless" - on "Wave Two"
4. "Love on the Weekend" - on "Wave One"
5. "In the Blood"
6. "Changing" - on ”Wave One”
7. "Theme from "The Search for Everything"
8. "Moving On and Getting Over" - on ”Wave One”
9. "Never on the Day You Leave"
10. "Rosie"
11. "Roll It on Home" - on "Wave Two"
12. "You're Gonna Live Forever in Me" - on ”Wave One”
□ Personnel;
Musicians
- John Mayer vocals, guitars
- Steve Jordan drums, percussion
- Pino Palladino bass guitar
- Larry Goldings keyboards
- Al Jardine vocals (on "Emoji of a Wave")
- Matt Jardine vocals (on "Emoji of a Wave")
- Aaron Sterling drums (on "Roll It on Home") and percussion (on "Still Feel Like Your Man" & "Roll It on Home")
- James Fauntleroy keyboards (on "Still Feel Like Your Man")
- Sheryl Crow vocals (on "In the Blood")
- Tiffany Palmer vocals (on "Helpless")
Production
- Steve Jordan ; executive producer
- Chad Franscoviak ; producer, engineering
- John Mayer ; producer
さて、2曲目、”Emoji of a Wave”は正に意味不明なワード、絵文字(Emoji)が使われています。 しかしながら、この懐かしさを憶える、キャット・スティーヴンス(Cat Stevens)あたりが歌ってるようなバラッド、本家とも言えるアル.・ジャーディン親子がビーチ・ボーイズ風なコーラスを付けています。でも、”Emoji”ってどう言う意味ですか・・・・ネ? それから、“ wave” は“ relationship”の比喩的な意味で使っているようです。
3曲目は、切れ味鋭いギター・カッティングが懐かしいファンク風味(オーストラリアのバンド、インエクセスの"Need You Tonight"みたいかな??)の曲です。 この曲は、2012年頃に途中まで出来上がっていながら、お蔵入りしていたものの改作です。本来であれば、『Born and Raised』に収録される予定の候補曲だったようですが、周囲の同意が得られずに一旦ボツになったとのこと。
それにしても、
If I'm helpless tell me now
Tell me now
If I'm helpless tell me now
Tell me now
And I'll stop trying to figure it outf I’m helpless tell me now
って言う繰り返しのコーラス部分、本人が言う”cool”とは程遠い情けない表現ですね・・・・。無力感と云うか、敗北感に包まれた内容ですね。 この曲は、ほぼスタジオ・ライヴで収録されたそうです。
次の曲、"Love on the Weekend"は、前の曲と対になっているように聴こえますね。 リード・シングルとなった曲ですが、この曲のギター・リフは、オーヴァーダビングの際に突然思いついたそうです。よりフォーキーな曲ですが、歌詞はモテ男君にしては、余りにもおセンチな気がします。
You be the DJ, I'll be the driver
You put your feet up in the getaway car
I'm flying fast like a, a wanted man
I want you, baby, like you can't understand
そして、数少ない良い曲が”In the Blood”です! このアルバムの収録曲の中では、唯一と言っていい位に説得力のある歌詞で、フォーキーないい曲です。トゥィンギーなギター、いい味を出していると思います。正式にクレジットはされていないのですが、シェリル・クロウ(Sheryl Crow)がコーラスで客演しています。肝心の歌詞ですが、特にコーラス部分には深い意味が込められているようですね。
I can feel love the I want
I can feel the love I need
But it's never gonna come the way I am
Could I change it if I wanted
Can I rise above the flood?
Will it wash out in the water
Or is it always in the blood?
折り返しの曲が”Changing”になります。 こういう、ワンワードのタイトル曲が多いのが、ジョン・メイヤーの特徴でもあります。
”Clarity”、”Belief”、”Glavity”、”Vultures”、”Wildfire”と・・・・。エド・シーランもそうでしたね・・・・。
とても、真摯な歌詞と合わせて、フォーキーな感じから、一転ブルージーに変わるスロー・バラッドです。自分の中での変化できない部分に心を砕いて悩む心情が表現されています。 少しだけ、ジャクスン・ブラウン(Jackson Brown)の影を感じさせるように思いました。
2006年リリースのアルバム『Continuum』の中の弾語りのSSWな曲”Stop This Train”に通じる内容ですね。間奏部でのギター・ソロ、多分PRS(Paul Reed Smith)のギター”Private Stock Super Eagle”を使ったものだと思いますが、良い音してますね。 アンプはTwo-Rock Custom Reverbでしょうかね?
Theme from "The Search for Everything"
とても美しいギターのアルペジオが印象的な間奏曲と云う位置付けの小曲です。
"Moving On and Getting Over"
ロッキンソウルな曲で、このアルバムの中で一二を争う素晴らしい曲だと思います。但し、歌詞はもうタイトル通り、そんな簡単に物事を乗り越えられない男の心をさらけ出しています。
とにかく、新たな一歩を踏み出そうと決意した男の心情風景をファルセットで歌っている曲です。非常に柔軟に弾むグルーヴが、全盛期のホール&ホーツ(Hall & Oates)を思い起させます。但し、ジョン・メイヤーはあまりファルセットでの歌い方は巧いとは言えず、特にライヴ・ステージではかなり辛い様に思います。
次の曲、"Never on the Day You Leave" は、本人曰く、 “the saddest song”だそうです。 これはもろ元カノの ”Kxxx Pyyyy”との日々に想いを辿る、感傷的過ぎる歌です。 そして、ここまで赤裸々に切々と歌われると少し鬱陶しいかもです。40歳にしてはチョット?!
”Rosie” も、固有名詞を”Kxxx”置き換えれば、「もう!」と言う感じなので、食傷気味になります。 無理に収録しないで、アウトテイクにしても良かったのでは?かつての” I don't trust myself with loving you ”にソックリなイントロから始まる曲で、ビートのタイム感が同じではないでしょうか。
ワウワウを通したギターソロは相変わらずの流麗さですけど。 同名の曲、77年リリースのジャクスン・ブラウン(Jackson Browne)の『Running on Empty』にありますが、今更感が強いですね。
”Roll It on Home”
カントリー・ワルツなのですが、これも歌詞の内容はゲンナリする”Kxxx”との事に言及するものですね。ペダル・スティールとカントリー・ピッキングのパキパキ・ギター、典型的なカントリーですが、特に捻りもなくてアウトテイクにしても良さそうではないでしょうか?
”You're Gonna Live Forever in Me”
アルバムの最後を飾るスローナンバーで、口笛とピアノに導かれるしっとりとした曲です。 ある種の決意表明の様な内容の歌詞で締め括ろられています。 最初のEP盤で発表された4曲の一つである。
Parts of me were made by you
And planets keep their distance too
The moon's got a grip on the sea
全体の印象から言うと、8曲目迄の流れは悪くはないと思います。 それ以降については、直接的な表現で、失恋をテーマにした感傷的な曲が並ぶので、相当に食傷気味となります。 気持ちを整理するために作ったとは言え、そのままを全部並べて発表する前に整理した方が良かったのではないだろうか??
それと、やはり歌詞の内容がとても浅くて、お手本にすべきジャクスン・ブラウンには遥かに及ばない(ブログはこの辺り↓↑) 。 同世代とも言える、私が贔屓にしているドーズ(Dawes)のテイラー・ゴールドスミス(Taylor Goldsmith)の様な詩人と言えるような才能(ブログはこの辺り↓↑)は持ち合わせていないようである。
ギターという表現ツールを非常に効果的に使っており、その音色も含めて演奏面では更なる充実振りが感じられるだけに、歌詞を含めた楽曲のレベルが伴わない点が残念である。 かつての鉄壁のユニットであった、スティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)とピノ・パラディーノ(Pino Palladino)が復活したことは良いのだが、同じグルーヴがステージでも戻ってくるのだろうか?
すでに全米ツアーがキックオフされており、ステージの構成を何パターンかに分けて進行しており、とても興味深い内容となっている。 最初に、フルメンバーによるバンド形式で5、6曲演奏している。 そして、次はアコースティック・セットをソロで3曲ほど行っている。 この後、鉄壁にジョン・メイヤー・トリオで懐かしい『Continuum』時代の曲を演奏し、再度フルメンバーによるバンドセットに戻る構成となっているようだ。
セット・リストは流動的になっており、公演日によってかなり選曲が変わるようである。幼い頃に歌っていた、トム・ペティー(Tom Petty)の楽曲、“Free Fallin’”をやったり、ボブ・マーリー(Bob Marley & The Wailers)の”War”、他にもお馴染みの”Crossroads ”に”Bold as Love”を演奏している。 更には、グレイトフル・デッド(Grateful Dead )のカヴァー曲、”Fire on the Mountain ”もやっている。
しかしながら、自身のツアーは一旦小休止となり、この6月から7月にかけてはDead & Company 名義で全米20都市での公演が予定されている。 先にブッキングされていたのだろうが、不思議なスケジュールではある。 日本に来て欲しいなあ、是非とも。