書いたり、飛んだり、殴ったり。音が響く。

 

ケイコだけでなく、我々観客の方も“目を澄ませて”ケイコを理解しようとする。

 

心の迷いとひたむきさ、人の冷たさと、あったかさ。人生の岐路、ケイコの変化を感じながら。

 

ぐっと沁みて、引き込まれた。

 

 

 

 

 

* 以下、ネタバレあり。

 

 

コロナ禍、マスクのせいで、口の動きが読めない、怒鳴られても気付けない、警察も職質しといて、勝手にめんどくなり適当に流す。

 

やさしくない世の中。

 

一方、会長(三浦友和)はじめ、林マネージャー(三浦誠己)松浦トレーナー(松浦慎一郎)、ボクシングジムの面々は、正直で素直なケイコ(岸井ゆきの)としっかり向き合った。

 

弟(佐藤緋美)彼女(中原ナナ)も理解しようと歩み寄った。

 

ケイコのひたむきさや熱量が人を惹きつける。

 

 

強くないけど、強くあろうとしたし、逃げたいけど、逃げない道を選択したケイコ。

 

戦う気持ちを学んだ。

 

 

 

 

-あらすじ-

 

不安と勇気は背中あわせ。震える足で前に進む、彼女の瞳に映るもの――。

 

嘘がつけず愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。

 

再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねる彼女は、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。母からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。

 

「一度、お休みしたいです」と書きとめた会長宛ての手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す――。

 

 

 

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