正しさとは何なのか?
胸が締め付けられ続ける150分。
真実を正義としている人間に、背負わせる十字架としてはあまりにも重すぎる。
誰もが事件の加害者・被害者家族にはなりえるわけで、自分ではどうすることもできないわけで、、、 真実を絶対としていた人間でも、いざ身内に事が起これば、、、 それでも矛盾せず自分の正義を貫けるのか...
そもそも貫くことが、“正しい”ことなのか?
由宇子(瀧内公美)が萌(河合優実)の父、哲也(梅田誠弘)に、隠していた事実?を伝えたこと、事実誤認を認めたのかは定かではないが、ドキュメンタリーが放送中止になったことは、嘘も方便が苦手なタイプの私にとっては、数少ない救いでした。ただ、これも“正しかった”のかはわかりませんが...
社会の情報化が急速に進む中、誰にでも降りかかる可能性がある困難を描く人間ドラマ。
ある事件を追う主人公が、その過程で自らの価値観を試されることになる。
娘がカンニングしたときに、しっかり叱ることのできた父。
そんな父に、過ちをゲロって楽になるのではなく背負えと言った娘。
由宇子のおかげで、萌と哲也の親子関係が徐々に改善していくことも皮肉。
真剣に向き合ってくれた由宇子に、心を開き真実を告白する加害者家族。
天秤が安定することはない。
街頭演説で、与党の隠蔽体質の改善を訴える野党候補。
よくある光景すらも天秤を揺さぶってくる。
エンドクレジットを含め音楽は一切なく、会話や生活音がASMRのように強調される。
音楽に感情を誘導されず、自分で考えろ!という春本雄二郎監督の考えのようだ。
白か?黒か?人間そんな単純なものではない、と改めて。
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