下北沢の古着屋で働く荒川青(若葉竜也)は、恋人 川瀬雪(穂志もえか)に浮気された上にフラれたが、いまだに彼女のことが忘れられない。そんな青に、美大生の高橋町子(萩原みのり)から自主制作映画への出演依頼が舞い込む。悩んだ末に出演することを決めた青は、行きつけの古書店員の田辺冬子(古川琴音)に演技の練習に付き合ってもらう。
再開発で変化していく街・下北沢を舞台に恋愛ベタな青が魅惑的な女性たちと出会い、別れ、どこにでもあるようでないような日常が紡がれていく。
特別ではない、どこにでもありそうで、なさそうな日常の会話劇。
なんてことない話で、130分とちょっと長め。にもかかわらず、全く間延び感もないし、どんどんのめり込んでしまう今泉マジック。
メインキャストの4人の女性陣は言わずもがなだが、ラーメンの女、メンソールの女、古着屋で揉めてるカップル、カフェの店長、警察官、、、一瞬しか出てこない人たち含めみんな気になる。笑 いろんな好きを全て肯定するのが、今泉作品。どこかズレてるんだけど、愛着が湧いて仕方ない。笑笑
予告編からは、想像できなかったが、声に出して笑ってしまうような仕掛けもある。マスク越しで、観客のみなさん声を出すのは遠慮がちなんだけど、ついつい声が漏れてしまうぐらい面白い。共同脚本の大橋裕之氏のアイデアが効果的に働いてる模様。
衣装スタッフ、城定イハ(中田青渚)の自宅での恋愛話は、17分の長回し一発撮り。多くの方が、ハイライトに挙げる名場面だと想像するが、妙にリアルで、生っぽい。縮まる距離と縮み切らない距離。イハちゃんファン続出の予感。笑笑
長い短いって何なんやろな。
なんか、いっちばんどうでもいい。時間の概念。 明日、死ぬかもしれんしな。
イハの言葉が、すごく刺さった。
解決されることのない気になる余白も盛りだくさん。
冬子が、町子に詰め寄ったときは、どんな気持ちだったの?
バーの元関取さんは、イハの元カレ?
町子と根岸は、どうなった?
イハの「青が映画に映ってた」って、あの発言の意図は?
イハが古着屋で見せた最後の表情はなに?
誰も見ることはないけど 確かにここに存在してる
映画『街の上で』は、「また観に行きたい」というよりも、「またこの人たちに会いたい」と思わせてくれるような作品。Blu-ray、絶対買います。笑
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