これは先日読み終わった本です。
松本清張さんの時代劇ミステリー。
江戸時代の甲州で起きた失踪事件の謎解きです。
今は山梨県である甲府は、幕府の直轄地になっており、江戸で素行不良だったり、何かやらかしたりした者が甲府勤番を命じられて赴任することになっています。
まあ、はっきり行って左遷です。
そして甲府勤番になった者は基本的に元の江戸勤務には戻れない片道切符となっているようでして。
この甲府勤番となった者の中に、鈴木栄吾という旗本がいました。彼は許嫁がいながらもいかがわしい場所でだらしなく遊び呆けたため、甲府行きを命じられたのです。が、赴任して程なく病死の届出がされる。
死んだはずの鈴木栄吾に甲府で会ったと主張する人物が現れますが、この人はまもなく何者かに殺されてしまう。
なぜ鈴木栄吾のことを探ろうとすると命を狙われるのか?
何かの陰謀がはたらいているのか?
これを訝しんだ栄吾の親友である武士や、水茶屋で栄吾のなじみだった女や、やり手の岡っ引きなどが調査をして真相を探るという物語でした。
甲府勤番ってこういう扱いだったのか〜
もう一生江戸には戻れないという片道切符だと、さぞかしヘコむだろうなあ。しかも皆、身持ちのよろしくない男たちばかりだから、そんなのが集まった職場は荒んでいるし。
ちなみに片道切符で冷飯を食ってるのは一般の武士だけで、トップにあたる甲府勤番支配はそれを足がかりに出世していくらしいです。
正直、鈴木栄吾が死んでるとか生きてるとかは大した謎ではないのだが。この話に足を突っ込んだ関係者は危ない目に遭って、「この話からは手を引け」と忠告されるのが気に掛かる。調べれば調べるほど、関係者がひた隠しにする甲府の何かが浮き彫りになって、闇が深まってゆきます。
物語の進行はゆっくりで、丁寧に丁寧にお話が進んでゆく。
どうやら、武田信玄の秘密に関わるらしいぞ!
甲州街道をゆく旅路の雰囲気や、甲州に点在する温泉療養地のことが知れて江戸時代の情緒たっぷりです。
と思っていたら下巻の中盤あたりから急展開に!
なんだか暴力的で物騒なお話になってきました・・・ヒーって背中がゾワゾワする真相。なんか物語の最初に思ってたのとだいぶ違うぞ。
ミステリーの謎は解けましたが、思ったよりも凄惨だった。
岡っ引きの皆さんはあれだけ騒いでいて、途中から出なくなったけどどうなったの?!
ちょっと長かったかなあと思います。
松本清張さんは短編の方がキュッと締まっていて好きだな。
〜おまけ〜
つけ麺食べました。
スープが濃厚でお腹いっぱいになった。
「おんのじ」というお店。
サンドウィッチマンさんの写真と色紙が飾ってあったな。仙台だからね。
雪が降っていたのです。春はまだなのか・・・