紫式部の一人娘 | あだちたろうのパラノイアな本棚

あだちたろうのパラノイアな本棚

読書感想文、映画感想、日々のつぶやきなどなど。ジャンルにこだわりはありませんが、何故かスリルショックサスペンスが多め。

『光る君へ』の話。
 
興味深い解釈があるもんだなあと感心しつつ、見続けています。ついに、ついに藤原定子さまが登場か・・・?まだ子役だったけど。
わたしは定子さまも高畑充希ちゃんも大好きなので、その二人がドッキングした女性とはどういうものか、、?と内心ドキドキしながら待っています。
 
藤原伊周、すんごいヤな奴の匂いプンプンだな!定子さまの不幸は、ある意味この傲慢な兄・伊周の所為なとこもあると思うが。
 
ちなみにこの本↓は、伊周の弟・藤原隆家が登場。この変人マッチョ貴族を作者がこよなく愛しているように感じられる。

 

 

一風変わったテイストの小説でした。

いくつかの連作短編になっており、第一話は賀茂斎院が住む紫野院が登場。

 

「クッソ暇。嫌になるわ、退屈すぎて死なる」

「斎内親王が、忌言葉を仰せたまうな!」

 

と、真面目なんだか不真面目なんだかわからない会話が散りばめられています。大筋は真面目なんだろう、多分。

 

この賀茂斎院に仕える女房、「中将」が紫式部の弟・藤原惟規(のぶのり)の恋人となります。賀茂斎院御所は皇后定子の御所とともに一流文化サロンの二大双璧、もちろん中将もかなり教養高い女性です。

中将は源氏物語作中の些細なミスにツッコミを入れてしまったため、惟規の姉である紫式部からは目の敵にされることに・・・

 

「まーまー、ええやないか義姉上」

「誰がっ、義姉上?!」

 

などとまたフザけた会話など交わしつつ、時に和やかに、時に物騒に日常が過ぎる。

 

ちなみに紫式部の弟である藤原惟規は、なんだか勉強嫌いのダメ弟みたいなイメージがありますけどそんなことはなくて、歌の道にも長けておりなかなかの識者だったらしいです。姉が超絶変人すぎるので霞んでますけども。

惟規はカワユイですよ。気の強い姉に気押されていっつもオロオロしていて。でも恋人の中将には優しくて。

 

ギャグなのかこの物語は・・・

 

そう思っていたら、ラストにしてやられたー!

何これ?めちゃくちゃ諸行無常じゃない?!

そうか・・・平安時代なんて、現代とか江戸時代とかよりももっともっとあっさりと人が死ぬ時代。

 

悲しすぎる。悲しすぎる。

 

あんなに仲が悪かった紫式部と中将が心寄り添うことになったのが、こんな悲劇だったとは。

 

 

この本は、平安時代のバタバタをコメディタッチで描きながら、女の生き方というものをえぐり出している気がします。

 

紫式部の娘・賢子(かたいこ)の目線で女の生き方を考察する最後の一話が圧巻。

 

賢子は母の数奇な人生を目の当たりにしながら、やっぱり女の幸せは結婚しないと手に入らないよなー、としみじみ思っています。けれども母ははっきり言って恋愛下手。あんなドロドロした情念たっぷりの子供には見せられない物語を書くくせに。娘のための良縁なんてちっとも持ってこない。

なので素敵な殿方をゲットするために、賢子は宮仕えに出ることにしました。薔薇色の人生は、自分の手で掴み取る。

 

母は大ベストセラー作家の有名人ではあれど、所詮は下級貴族の家柄。大貴族の姫君のように入内して国母になるとかは全然無理な世界です。

 

そこで、乳母を狙うことにしました。

高貴な方の乳母になり、陰の実力者になるという出世の道を企んだのは、賢子の夫になった公卿でした。

 

この公卿は野心たっぷりの酷い奴で、そのうち賢子は全然下っ端の下級貴族からプロポーズをされて・・・

 

男の愛とは何か、結婚とは何か、そして愛と安定を天秤にかけた時に女が取るべき道は何か、とっても考えさせられる一話です。

賢子がとった選択がスッキリ爽快。

 

ほんとに変わったテイストですが、面白い本でした。

 

 

 

郡山ブラックラーメンだそうです。

あだたらSAにて。

確かに黒いおつゆだけど、そんなにしょっぱいわけではない。

縮れ麺がいかにも中華そばって感じ。