ミステリーとしてとても評価が高い本だったので、読んでみようかと。夕木春央さん作品は初めてです。どんなかな?
ああっもう、シチュエーション的にとても息苦しかった。なんか嫌になって泣きそうになった。若干の酸素欠乏状態で、最後まで読んだ感じです。
それには理由があって。
単に、わたしが閉所恐怖症だからですけどね〜
携帯の電波も届かないような山奥にある、地下の秘密施設に男女10人が閉じ込められて出口を遮断され、地上に出るためにあれこれと策を巡らす話です。
この地下施設は、昔どこかのカルト宗教団体が使っていたと思しきもので、地下三階建てで広くて部屋はたくさんあるし、缶詰めなどの保存食や発電機器、トイレなどは完備されているし、そんなに閉所ってわけでもないんですけれども。
どうもこの宗教団体は、ノアの方舟みたいな終末思想で、地上が災害に見舞われた時に地下施設にいる自分たちは助かるという構想だったらしいです。
興味本位でこの地下施設に入って一夜を明かすことになった若者たち。それと、山道に迷って偶然この施設に辿り着いた親子3人。
部屋や寝袋はたくさんあるので、不安半分興味半分でいたのですが、夜中に大きな地震があり、出入り口が大きな石で塞がれてしまった。しかも地震で地下水脈が変わったらしく、刻一刻と下から水が迫り上がってくる。
ここから抜け出す唯一の方法があるが、それには一人を犠牲にしなければならない。
精神的に追い詰められる中、謎の殺人が発生。・・・
この閉塞感がたまらなく苦しい!!(個人的に)
地下に閉じ込められた者たちは、ワーワーキャキャー騒ぐことなく、この状況下で誰か一人でも精神の均衡を崩したら恐慌状態になると分かっているので、必死に冷静な会話に努めています。こんなこと出来るものなのかな?随分とインテリな人たちです。
彼らが目指して議論を重ねる解決方法がまどろっこしいのが難点かな。なんかものすごく遠回りな気が・・・もっと前向きで科学的な方法があるんでないかい?まあそれは結局、物語だから良いとして。
ここで起こる殺人は、恐怖や憎悪のあまりの突発的犯行ではなく、ちゃんと理由があるんです。
それが分かった瞬間には、おおお〜〜!!
なので、ずっとモヤモヤアップアップ、一番最後のページで拍手喝采になりました。(拍手喝采というほど大団円ではないですけどね)
お正月用の日本酒は、五十六と景虎で。
オイ誰だよもう開けたの?(←夫らしい)