映画感想 銀河鉄道の父 | あだちたろうのパラノイアな本棚

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読書感想文、映画感想、日々のつぶやきなどなど。ジャンルにこだわりはありませんが、何故かスリルショックサスペンスが多め。

 

 

この春見たかった映画を順繰りに攻略中。

 

気になっていた『銀河鉄道の父』を見ました!

 

ウオアア・・・

 

波波

 

久しぶりにドロドロ泣いた。

化粧が全部ハゲるくらいに。

 

これは宮沢賢治と父の物語。宮沢賢治じゃなくて、父というところがミソですね。

 

宮沢賢治って、独特の感性というか、変わった人だよなと元々思っていました。若い頃に岩手の宮沢賢治記念館に行った時に特に思いました。ひたすらメルヘンで可愛らしかった記憶があるけど、イーハトーブとかってちょっとなんかアレかな、、、という感想だった。

感受性が強すぎて独自のワールドがあったのかな・・・

 

この賢治の独特の感性≒奇行を巧みに演じていたのが菅田将暉さんで、とても良かった。

 

だけど映画の主軸は宮沢賢治ではなくて、父なのです。父の役所広司さんが何より素晴らしかった。

わたしは原作を読んでいないけれど、門井慶喜さん作品によく出てくるような、ユーモラスで愛すべき中年男性がそこにいるかのように思い描ける。

笑える。そして泣ける。

 

 

芸術が爆発しすぎて何やってるのかわからない若い賢治を、父は過保護ぎみな愛情たっぷりでオロオロしながら見守っています。

明治の世にこんな父親いたのかな?とても素敵なんだけど、さぞかし周囲からは浮いただろうな。

 

わたしが何をそんなに泣いたかというと、この父の哀しいくらい大きな愛情です。

 

特に・・・

 

悩む賢治が、「こんななら死んだ方がいい」と言ったことに対して、「死んだ方がいいなんて言うなぁ!」と激怒するところ。

(正確なセリフは忘れてしまったが、そんなような趣旨だった)

 

それまでは、怒っても決して手をあげることはなかった父が、この時ばかりは賢治を殴ってしまうのね。

 

これは、、、個人的にフラッシュバック。

 

世の親というものは、例えば子供が病気になって苦しんでいる時に、

「神様、自分が身代わりになって死んでもいいからこの子を助けてやってください」

と本気で思うものです(みんなそうだとわたしは思っています)。

子供の苦しみは当たり前に自分の苦しみなのだ。

なのにその子供から「死にたい」なんて言われたら、そりゃ怒るわ。食ってかかって殴るわ。「死ぬなんて言うなぁ!」と。

 

このシーンは辛かったです。色々あったからなぁ、わたしも。

 

あとは賢治の作品『永訣の朝』で描写されている、妹トシの臨終のシーンも涙。賢治の悲しみに焦点が当てられていましたが、父も絶対悲しいって!

もうどうしてこうなの、幸せかと思いきや突然に不幸が襲ってくる山あり谷ありの人生。

 

もう一つ感動のポイントとしては、映画に出てくる大自然の映像が全て美しい。涙が出るほど美しい。夕日とか、ランプの灯りが照らされた夜とか、月とか、雄大な川とか。

緑の山の中で真っ白に映える野辺送りの白装束も・・・

 

 

わたしは物語の中盤でひとしきり泣いてたのですが、ちょっと残念だったのがラストの終わり方ですかね。どうも強引というか何が言いたいのかわからない感じだったなもやもや

賢治のあの有名な詩、普通あそこで言うかな?

 

なので、ラストになって「なんかちょっとヘンだぞ」と我に返ってスンとしてしまったところが惜しい。うう、興醒めである。

 

少し難クセをつけてしまいましたが、見に行って良かったなと思える映画でした。

 

 

〜おまけ〜

 

家紋コーヒーでおやつをいただく。

今日は徳川家康ブレンドです。

おやつは藤井聡太さんお気に入りのプランタン。

ちなみにカップは徳川家光画伯の変てこなミミズクの絵図です。