平安時代の内裏女房として働くキャリアウーマン・大江こう子(漢字が変換できない)の物語第三弾。
このシリーズも好きなんですよ〜
平安時代の宮中だと、もう愛だの恋だのそこかしこで華々しく繰り広げられているイメージですけど、このお話はそれが大変淡白で。集英社オレンジ文庫ならば若者向けだと思うのだけど、こんなに夢のないお話で良いんでしょうか?!(と思うのは、わたしの生きてきた年代のせいかな・・・)
主人公のこう子からして、幼馴染の藤侍従・藤原征礼と両思いっぽいというのに、結婚や出産には全く興味がなく、むしろ定年退職するまで内裏女房として働きたいという女人なので。したがって、彼と深い関係になろうとも思っていない。
男をめぐってキャッキャしているだけの女子にも閉口しますが、かと言って若者がこんなに淡白なのもどうかと思う。人類は存続するのか?!
もしやこれが昨今のティーンズの流行り、、じゃないよね?結婚して奥に引っ込む良妻賢母ばかりが幸せではないけれど、恋で胸ときめかせるくらいしたっていいじゃないか。
なので、ものすごくクールでビジネス的な平安王朝を楽しみたい方には、このシリーズはいいかもしれないです。
結局女の園なので、とかく揉め事が起こってしまうもので・・・
第一章「魂呼」は、シングルマザーのお話。
結婚して内裏女房を辞めた同僚女房が、このたび離婚して女房勤めに帰ってくることになりました。小太輔という名のその同僚は、出産した子供を亡くすという悲しい経験もしています。
小太輔は、未婚のシングルマザーとして子供を育てている別の若い女房にすごく辛辣な言葉を投げ、欠点をあげつらうという騒ぎを起こします。
子供を亡くした悲しみが大きすぎて、鬼のようになる女が哀れ。自分は真面目に生きてきてこんななのに、なんでこんなテキトーにプラプラと子育てしている女がいるんだ、みたいなヒガミなのかもしれません。気持ちはわかるけど、それはあんまりだ。
読んでいて辛いものがあった。
第二章「玉衣」は、衣装のお話。
もともと帝の寵愛をめぐって火花を散らしている弘徽殿女御と麗景殿女御が、衣装のことで大バトルを繰り広げます。
まあ、火花を散らすと言っても、当人たちではなく、親である左大臣と大納言、そして両女御の女房たちが争っているだけなんですけど。
相変わらず小田菜摘さんは、衣装の描写をこと細かく書いておられます。何色に何織の何を重ねて・・・とか、すごく語彙が豊富なのですが、あんまり装束のこと詳しくないので色が想像できないなぁ。実際に目で見てみたい。布を重ねた時の色合いを楽しむって、なんて繊細で優雅なんだろう。
第三章「竜胆の咲く庭」
呪詛のお話。思いっきり平安ぽい!
しかもホラーテイストで良い
今上帝が若く不遇の頃に過ごした屋敷で、庭の草花がなぜかそこだけ枯れていくという現象が起きます。同時に、物の怪を見たとか見ないとかいう話も持ち上がる。
謎解きミステリーみたいな話の運びになって楽しかったです。が、せっかくこう子と征礼が一緒に怪異疑惑のお屋敷に滞在してたのに、微塵も色っぽい話にはならなかったですねー。
征礼は頼れる若き公達で爽やかイケメンキャラなのですが、何気に帝がカッコイイんだなこれが!ちょっと冷たく見えるほど頭のキレる方なんだけど、たまに見せる気遣いや優しさが良いのです・・・
でも、帝は最愛の妃・室町御息所を亡くして傷心が癒えていないので、新しい恋のお話なんてないだろうなー。そうすると、弘徽殿女御も麗景殿女御もお気の毒、ということになるのかな。
それにしても、定年まで働き続けたいって、そんなに内裏のお仕事楽しいかな・・・?(自分はまっぴらごめんだ)
〜おまけ〜
会津若松にて、ヒジカタ君卓上カレンダーを購入
五稜郭・箱館政府の面々がいて可愛いのですよ。榎本さんは、奥にいるおヒゲの和装の人です。隣の洋装おヒゲは大鳥圭介さんです。
ちなみに女装してるのは島田さんです・・・