門井慶喜さんは、何かを建設するお話がお得意らしい?
『家康、江戸を建てる』という作品がとっても面白かったです!ドロドロ湿地帯の江戸を整備して、一大都市に作り上げるストーリー。
今回はその続編とも言えるのかも。
家康様が精魂込めて作り上げた江戸の街は、明暦3年(1657年)、いわゆる「明暦の大火」で焼け野原になります。江戸城天守閣も燃えてしまいます。
この災害復興という難事業に取り組んだ老中・松平伊豆守信綱さんの物語。頭がいいので、「知恵伊豆(ちえいづ)」と呼ばれています。この時62歳で、けっこう老体に鞭打ってたんですね。
同じく力を合わせて復興に取り組むのは、阿部忠秋56歳と酒井忠清34歳。老中ズ3名。
明暦の大火・・・
その経緯をよく読んでいると、本当に恐ろしいです。真面目に大災害です。人間のなすすべなく、自然鎮火に任せるしかなかったくらい。しかも一旦鎮火した後、別の場所からまた火が上がってるんですね。いつ終わるんだよー、なんかの祟りかよー、って江戸の民にはすごい恐怖です。
祟り・・・そんな噂が出る気もわからなくはない。
明暦の大火は「振袖火事」とも言われています。
男に激しい恋をした娘が亡くなってしまい、娘がお気に入りだった振袖が古着屋に売られたのですが、この振袖の古着を買った別の娘が次々と亡くなる。
気持ち悪いのでこの振袖を本妙寺の和尚が火にくべたところ、風に煽られて本堂に燃え移り、これが火元になり大災害になったという・・・
が、これはタダのこじつけというか噂話らしいです。
ホラーな話ですね・・・ゾッとします。
この時、将軍徳川家綱は若干17歳の少年でした。もちろん父親の家光公は既に亡くなっており、とても将軍がリーダーシップを発揮できるような状態ではないです。
だから信頼できる家臣たちに任せるより他はない。
火が江戸城にも迫り、上様は急いで西ノ丸御殿に避難しますが、さぞかし怖かっただろうよ!!
上様は避難する最中に天守閣が焼け落ちていく様を仰ぎ見ることになりました。怖いし、徳川家先祖代々に申し訳なくて泣きたかったに違いないです。可哀想です。
知恵伊豆・信綱は早くもその知恵を発揮。
大奥の女たちが道に迷わず西ノ丸まで逃げられるように、自分達が逃げる時に畳を裏返してまだら模様にしておきました。後から続く女たちは、まだら模様をたどっていけば良い。
さて、なんとか無事に避難はできたものの・・・
火も鎮火したが、城もない、みんな燃えちゃって武士も町人も家がない、着る物もない、食べ物もない、さてどうするか。
季節は1月。まごまごしていると、凍え死んでしまう。
(この年の冬は全然雨が降らず、江戸にはからっ風が吹いて、ものすごく乾燥していたらしいです。乾燥してる冬は要注意ですね!)
復興と言っても、全く前の通りに家を密集させてしまっては、また次の火事で同じことになってしまいます。
延焼の原因にもなった店先の庇(商店街のアーケードみたいなもの)はなんとかしなければ。
家が密集するのもいけないので、火除け地となる広小路がいる。
そのためには、もともとそこにあったものを別の場所に移さなければならない。(文句出そうです)
江戸城も武家屋敷が密集しすぎ。
立ち退かせなければ・・・ということでまず追っ払う必要が出たのが、尾張・水戸・紀伊の御三家です
うっわめんどくさい!うるさいジイサンたち!!
絶対反発くらうよ〜
ということでまるで戦のごとく勇ましく交渉に臨んだ信綱たち老中ズでしたが、交渉の席にやって来たのは水戸の徳川光圀(※まだ若者)でした。後年、あの水戸黄門様になるお方です。
老中ズ vs 若き黄門様の対決、面白かったです。
この本の前半は、そんな感じで一つ一つ難題をこなしていく感じです。
後半は、信綱さんに密かに雇われて汚れ仕事をこなすヤクザ者の「花川戸の長兵衛」を中心に進められて、かなりエンタメ要素が強くなりました。クスッと笑える場面があってお芝居のようだったけど、わたしとしては前半みたいにドキュメンタリー風のストーリーが好みだったかな!
一つだけ残念だったのが、初代会津藩主の保科正之公が「なんか横から口出すうるさい御仁」みたいな扱いになってたのがどうにもモヤモヤ・・・名君じゃないんかい。
まあ、老中ズにとってみればそういうお方(家光公の遺言により将軍後見職)って目の上のたんこぶだったのかもしれませんがね〜
〜おまけ〜
今年最後の鶴ヶ城です!
雪の中の城と青空のコントラストが綺麗。
現在はお城修復中のため、走り長屋のプロジェクションマッピングを見に行ってみたが・・・
何かストーリー性のある映像かと思いましたが、違ったな・・・内容的には薄かった。
それでも、入場料を払うと次回の登城無料招待券がもらえるので、また次来る人にとっては良いかと。
「誠」の透かしが入っていて素敵〜
オリジナル缶バッジ入り。
マスク自体、福島県内生産っていうのがいいですね。地元に貢献したいし!