来年の大河ドラマ便乗だよなと思いつつ、つい読んでしまう徳川家康ばなし。
植松三十里さん作品、久しぶりです。
徳川家康と言ってもタイトルからわかるようにこの本は女の物語で、テーマはズバリ「家族」でした。きっと女性向けなんだろうな。合戦とかは全然出てこないです。
特徴的なのは、女性の独白の文体になっていること。問わず語りというか。戦国時代の武将関係は敵味方入り混じってとっても複雑だけど、女たちの関係も負けないくらいに複雑・・・
(1)華陽院
家康様の祖母で、於大の方の母上。家康様が竹千代ちゃん時代に、6年間手元で育ててくれました。
お美しい方だったそうで。
あちこち再嫁して5人の夫を持った話をされるのですが、正直、なんか途中から誰が誰やらわからなくなってきたぞ・・・
家康様が晩年、天ぷら食べて死出の旅に行ってしまった理由が何とここに書いてある!エビが大好きだったんですね。そりゃ、旨くてバクバク食べるよね。
(2)築山殿
ところで来年の大河ドラマで築山殿を演じるのは、有村架純さんなのね。かなり意外〜
というのは、築山殿って、大体めっちゃ悪役じゃないですか。有村架純さんて清純派のイメージだけど、悪の姿を見せてくれるのか?はたまた、悲劇の築山殿になるのか。
この本での独白も、運命に翻弄されて可哀想っちゃ可哀想だったけど、やっぱりかなり気位が高いです。
うーん同情できないな、と思ってしまいました。もう少し柔軟な考え方があるだろう?
(3)於大の方
家康様の母上。松平家を離縁されてからは久松に再嫁し息子たちを産んだ。なので、家康様には父親違いの弟たちがいることになる。
その一人である松平康俊がすんごく誠実な良い人で、体が不自由になりながらも兄の家康を身を挺して助けるところが悲しくも感動・・・優しい人だったのね。
(4)北政所
豊臣秀吉の御正室で、夫亡き後は徳川の大きな後ろ盾となる。
秀吉様一家が「だがや」「どえりゃあ」などと会話してるシーンが、なんかお笑いみたいで面白くてたまらない
秀吉の妹の朝日姫が「あんな猿の妹なんか猿顔に決まってる」などと陰口言われて可哀想
しかしご本人も、「兄者に似てこんな猿顔だで」と認めていましたが。
信長様は秀吉のことを「あのハゲ鼠」とか言うし、散々な言われようだわ・・・
大変気の毒ですが、大笑いしました
(5)阿茶局
この阿茶局という存在が、わたしは好きだな。どうも気にかかる。家康様の側室っていうよりは有能な女秘書。
ここらへんから、秀忠の妻・お江の方が話に出現してくる。もうこの人は本当に、どうしようもない悪妻に思えるのですが。
(6)徳川和子
家康様の孫で、入内して中宮になった方です。
この方が帝との間に産んだ内親王が即位し、859年ぶりの女性天皇が誕生したのですが、なぜこのタイミングに女性天皇なのか、その理由が盛り込まれてあって興味深いお話でした!!
和子中宮は「天皇と将軍家が対立せぬよう橋渡しをして欲しい」という大御所家康様の思いを実現するため、当時の情勢からあえて女帝という策をとったんですね。
勉強になりました。
(7)春日局
三代将軍家光様の乳母。
家光様の幼少期はかなり苦労され、惨めな思いをしながら育っていて、可哀想すぎて涙が出た。これもお江の方が原因かよ!
い・・・家光様・・・
ゲイだったの?
それでお世継ぎがなかなか生まれなかったの?
けれど、将軍はお世継ぎを残すのが大切なお役目。
春日局がとった策は、ガタイのいい女丈夫に男装をさせて、小姓として侍らせるというもの。マジか。
でもそれでホントにお世継ぎが出来ちゃうんだな〜
(どこまで本当の話なのだろう)
家光様は大変孤独な人で、弟である忠長を手打ちにせざるを得なかったのを気に病んでいました。
そんな方だから、実は自分に腹違いの弟がいたという事実は、心から嬉しかったんだろうな。
腹違いの弟というのが、初代会津藩主の保科正之であり、会津藩の忠義は、この瞬間から始まる・・・
ラストに金戒光明寺が登場するのがグッとくる。