本日は大掃除第一弾。
水回りを一斉にキレイにしたので気持ちよかです〜
気力・体力が続かないので他のお掃除はまた明日。
毎回思うのだけど、大掃除ってなんでこんな寒い時期にやらなければならないのだ・・・
葉室麟さんの”幻のデビュー作”と言われる作品、『約束』が今月に文庫化されました。
葉室さんは2017年にお亡くなりになっていますが、お引越しの際に段ボールに詰められていたこの未発表原稿が2020年に見つかったとのこと。
わりと初期の頃に書かれた作品らしく、勢いで突っ走っているような印象は受けますが、中身がギュッと詰まっていて内容の濃い物語でした。
題材は、明治維新です。
戊辰戦争が終わってなんとか走り出した新政府ですが、じゃあめでたしめでたしかと言ったら、そうではありませんでした。
なのでここで書かれるのは、明治維新の後始末、とも言えるかも知れません。
で、やっぱりその終着となるのは西南戦争でして、この小説でもそのように書かれています。
ちょっと設定は風変わりです。
平成の時代の高校生4人がある時雷に打たれ、その瞬間に明治維新後の時代にタイムスリップしてしまうというもの。
4人はそれぞれ、明治の時代に実際にいた人物と中身だけ入れ替わるので、見た目は明治人、心は平成の高校生。
突飛な設定ですけど、このことで彼らが読者目線となります。
4人は以下の通りに転生。
浩太は、薩摩出身の邏卒(警察官)・益満市蔵。
舜は、司法卿である江藤新平の書生・芳賀慎伍。
冬美は、勝海舟の女中・小曽根はる。
美樹は、西郷隆盛の弟である西郷従道の家で行儀見習いをしている得能ぎん。
で、勝海舟だけは4人が未来から来たことを知っているので、よく屋敷に4人を招いては、この時代の政治の動きを教えてくれる。
勝さんてこういう役割がうってつけですね。
どんな者でも分け隔てなく話すし、おしゃべりだし、顔は広いし。
なんか雰囲気的には池●彰のTV番組のような・・・
4人のうち、元々秀才だった舜は江藤新平の書生として政治議論をするうちに江藤に心酔し、のちに起こる佐賀の乱でも命をかけて戦うことになります。
そうなのよ。
何を隠そう。
わたしがこの本を手に取った一番の動機は、江藤新平のお話が読みたかったからなのです。
彼は別の小説『刀と傘』の登場人物にもなっていたけど、その能弁たるや誰にも負けない理論家。
どうもわたしはこういうタイプが好きらしい。
純粋すぎるくらい真っ直ぐな人が好きなんだな。
こんなに頭がキレて自信家だった人が、その後の佐賀の乱では捕縛され、満足な裁判も受けないうちに処刑され晒し首になるなんて、なんと痛ましい・・・
そしてこの暗黒裁判を強引に進めたのは大久保利通と言われており、江藤を尊敬していた舜は
「許せない、大久保を斬る」
と決意する・・・
彼ら高校生たちは、「きっと4人で元の平成に帰ろう」と約束していたはずなのに、明治の世で生きて偉人たちと直に触れ合う機会を得て、明治の世で生きがいを見つけつつあるのです。
ちょっと胸クソ悪かったのは、維新後の政府は戊辰戦争勝者の鳴り物入りだけど、その腐敗度合いは現代の比にならないくらいすごかったとのこと。
この状況下、岩倉使節団が渡欧し2年くらい政府を留守にしている間に、残ったメンツが腐敗政治家を一掃しようとしていました。この政争の結果が佐賀の乱でもあり、西南戦争でもあったと・・・
そういうのを彼ら高校生と一緒に我らも学べる(というかあくまで一つの説なので、考えさせられる)本となっています。
惜しむらくは、この高校生たちの設定のため、物語が歴史の勉強っぽくなってしまって、授業みたいになるのは残念。物語にどっぷり浸る、というわけにはいかなかったです。
しかし、
腐敗政治家は許せん!
(特に某藩閥な!)
戊辰戦争ではイキってたくせに〜!
ロクな政治できないじゃないかよ!
(↑これはわたしの私憤である)
この写真は確か、歴史の資料集に載っていたような?
岩倉使節団なのですが、スフィンクスと武士という組み合わせが大変シュールな一枚でわたしは昔からお気に入りです。
※画像お借りしました