垣谷美雨さんの本は、ほんとに面白いなぁ。
ユーモアたっぷりで、毒舌で、えげつないことをバシッと言ってくれるので、耳が痛いような爽快なような。
これは、独身男女が強制的にお見合いをする話。
少子化対策のため、「抽選見合い結婚法」というとんでもない法案が議会の賛成多数で可決される。これ、25歳から35歳までの離婚歴がない独身男女を国が強制的に集め、抽選によりお見合いをさせるというもの。相手が気に入らなければ2回までは断ることができるが、3回目を断ったら、テロ撲滅隊に送られて厳しい労働が待っている。または、医師や看護師は離島で働かされる。
まあ、こんな荒唐無稽な設定の是非はともかく、さてこんな状況下になったら男女はどう行動するかがポイントです。
登場人物たちのセリフがいちいちえげつない。
「婚前交渉がこれほど自由になってしまうと、男の人にとって結婚のメリットなんて何もないのよ」
「今までは女性は飢えないために結婚していただけよ」
「子育てなんて楽しいわけないじゃない。そんなこと言うのは、そうやって自分に暗示をかけなきゃやってられないからよ」
いちいちごもっとも。
そうそう、昔は結婚するのが当たり前だったのは、生活の手段として必要だったから。
家事は家電がいっぱいあるし料理も売ってるから必要なくて、女も金銭的に自立することができて、将来子供がいなくても年金暮らしでやっていけるのであれば、独身の方が楽しいしメリットがあるに決まっている。
結婚してなんかいいことあります?
ハッキリ言えると気持ちがいいな!!
まあ、そういう
愛だの恋だのに
ムダに幻想を抱かない
殺伐とした時代の結婚適齢期者が、物語の中でどう動くかが見ものです。
物語では、それぞれ境遇の違う複数の男女が登場し、この抽選お見合いに臨むわけです。
ちなみに、すでに恋人がいたカップルは、抽選対象にされないように、法の施行前にさっさと結婚してしまいました。
抽選お見合いの場所に現れるのは、そんな駆け込み結婚ブームに取り残されちゃった人たち・・・
そして、恋人いない歴=年齢である、こんなチャンスでもなければ一生異性とご縁がなかったような人たち・・・
後者は、このお見合いをドキドキワクワクで待ち望んでいます。
さてお見合いの席。
一目見て、ハズレだと即断の場合もある。
相手のプロフィール上の条件は最高でも、性格が残念な場合もある。
また、その逆もある。
が、何せ自分が持ってるのはたった3ポイント。このポイントを大事に使うために、嫌な奴だったらできるだけ相手から断ってくれるように仕向けなければ…ちょっと演技演技…
気が乗らない相手をあっさり断ってみたものの、次に会った人に比べたら、やっぱり前の人の方が良かった!
釣り逃した魚は大きい!
赤裸々な声が。壮絶な駆け引きが。
こういうドタバタ劇です。
男女それぞれの思惑も面白いんだけど、わりと、父親や母親との関係がネックまたはキーポイントになる場合もあります。
このあたり、現実味があります。
結婚て当事者二人だけの問題じゃないから…
しかしこんな状況下で、最後にしっかり(全く意外なところで)幸せをつかむ人もいて、ほっこりする場面もありました。
人生ってやってみなければわからないわねぇ。
楽しく読めるコメディ小説でした。
寒そうに寝ている(?)カモ。首が背中にめり込んでますが凝らないのかなあ。