(メールでのご対応を基本とする月額5,000円~の顧問料)
少しずつ春らしく

今日は試用期間中の解雇の取り扱いについて、2回にわたって、
お話をさせて頂きたいと思います。
採用してから一定期間、試用期間を設けている会社さんは多いかと思いますが、
皆さんの「試用期間」のイメージはどのようなものでしょうか?
意外と誤解されている方もいらっしゃるかも知れませんが、
試用期間中だからと言って、簡単に解雇できるわけではありません
法律上、試用期間に関する定めがあるのは、労働基準法21条のみです。
労基法21条の解雇予告の適用除外の中に、入社してから14日以内の
試用期間中の者が含まれています。解雇予告(30日前の予告)もしくは
解雇予告手当(30日分以上の平均賃金支払い)無しで、上記であれば、
即日解雇することが可能です(逆を言えば、14日を超えてしまうと、
試用期間中でも上記解雇予告や手当が必要となります)。
ここで誤解の無いように申し上げておきますが、14日以内であっても
会社が自由に解雇できるわけではありません
試用期間に関する定めが、就業規則になされていることが、
前提条件となります(不必要に長期間の試用期間を設定することはNG)。
試用期間中の解雇については、使用者には労働者の不適格性を理由とする
解約権が留保されているとの考えの元、通常の解雇の場合より、
ハードルは下がりますが、解約権留保の趣旨、目的に照らして、
客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ
許されるとされています。
企業者が、採用決定後における調査の結果により、または試用中の
勤務状態等により、当初知ることができず、また知ることが期待できないような
事実を知るに至つた場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き
当該企業に雇用しておくのが適当でないと判断することが、解約権留保の趣旨、
目的に徴して、客観的に相当であると認められる場合には、さきに留保した
解約権を行使することができます。
ですので、試用期間中に十分な教育・指導を行うことはもちろんのこと、
解雇回避努力(配置転換や試用期間の延長等)も当然求められます。
長々と書きましたが、結論を言えば、試用期間中だからといって、
本採用を見送る(=解雇)ことは容易ではないということです。
しかし、試用期間を設けることの会社側のメリットとして、
やはり通常の解雇に比べ、試用期間中の解雇はハードルが低くなるため、
労働者の適性や能力を見極めるのに効果的であることと、
試用期間中の賃金を、本採用後より低く設定できること等が
挙げられます(募集・採用時での事前の明示は必須)。
次回でのお話となりますが、上記を懸念して、試用期間3ヶ月を
有期労働契約(=契約社員)とし、試用期間の代替にした場合、
どのような取扱いになると思いますか
有期労働契約であれば、「契約期間満了」での退職が可能となる為、
本採用を見合わすことが、上記より容易となるという考え方です。
それではまた~。