ダウンライトの暗い店内で
ステージだけが浮かび上がる
ステージの前には幾つものテーブルが並べられ
様々な人種の男や女がイスに座る
ウエイターが客の注文を受けて歩き回り
テーブルの上に置かれたキャンドルの炎がゆれる
大きな口を開けて笑っている客
ステージを凝視している客
隣に座るボーイとキスをしている客
所在なげにグラスの中に指を入れて
氷を指で転がしている客
伝票を掴んでウエイターが気づくのを待つ客
奥のカウンターではふたりのバーテンが
次々に舞い込むオーダーをこなし
キャッシャーでは
ウエイターと金のやり取りをしている
マネージャーが
動きの悪いボーイに注意をして
ボーイは立ち位置をひとつづつずらしていく
ステージの上からだと
なんでも見える
隣のボーイがちょっかいをかけてくるが
無視を決め込む
だって、オカマは嫌いなんだ
白いブリーフと白いソックス
ソックスのゴムで挟んだモバイルが気になる
店のドアが開き
それに気づいたウエイターが
新たな客を招きいれる
ステージの上に立つボーイの半数がそれに気づき
ドアの方に視線を投げる
客と目があった
愛想笑いのひとつでも送っておこうか・・・
どちらが優位ということもないんだろうけど
客がボーイを選んでいるつもりでも
意識していないところで
ボーイに客が選ばされているといえるかもしれない
ボーイが客を選んでいるともいえるかもしれない
ボーイを品定めしていると思っているけど
ボーイに品定めされているのかもしれない
