
ユルブリンナーのロボットガンマンが強烈な、あの映画をリメイクしたドラマです。
Huluで見ました。
SF(サイエンス・フィクション)の定義付けは困難と言われていますが、
「宇宙の戦士」で有名な、ハイライン氏は
「読むことのできる大半のサイエンス・フィクションの手軽で簡潔な定義は、
過去や現在の現実社会や、科学的手法の性質と重要性の十分な知識に基づいた、
可能な未来の出来事に関する現実的な推測」
と言ったそうです。
それを定義とするならば、正真正銘のSFと言える作品が、このウエストワールドです。
~概要~
人類がアンドロイドを作れるようになった未来の話。
舞台はアメリカ荒野を模した広大な荒野。
文明は西部開拓時代レベル。そこで生活する人々や生物は、全てアンドロイドである。
そこは巨大なテーマパークであり、生殺与奪はプレイヤー(=刺激を求めた裕福層)の自由。
物語はラボ側の話=アンドロイドを管理するスタッフ達の話と、
テーマパーク側=荒野の世界の両方の視点で描かれる。
~ウエスト・ワールドのここがすごい~
そうです、このウエスト・ワールド(西部)は、
裕福層がお金を払って殺人や乱交を体験しに来るための野蛮なテーマパークなのです!
ある人は見境なく殺人を繰り広げ、ある人は売春宿でひたすら性を堪能する。
まさにGTAやフォールアウトのような世界です。
プレイヤーは欲望の赴くままに何をしても良いのです。
プレイヤー以外の人型アンドロイドは”ホスト”と呼ばれ、
ホストは人間と見分けがつきません。体温も有り、息もし、感情もあり、血も涙もあります。それぞれが考えを持ち、それぞれの目的があります。
平和に暮らすだけが目的の市民、殺人や強盗を楽しむ悪党…
全てのホストは固有の「プロット」と呼ばれる目的=ストーリーを持ち、
それを基に行動しています。
プレイヤーは、ホスト(プロット)に干渉することで、ストーリーに乗るわけです。
ホストの方が勧誘してきたり、助けを求めて来たりもします。
この感覚は現存するーゲームに非常に近いです。
例えば、ホストの保安官はプレイヤーが介入せずとも、自分で悪人を退治しに行きますが、
プレイヤーが居ないと返り討ちにあって死んでしまいます。 悪人は次の行動に移ります。
保安官にプレイヤーが協力すると、一緒に悪人を倒して、保安官が街に戻ります。
そうると、悪人が生存していた場合の次の行動がなくなり…
このようなストーリーが複雑に絡み合っています。
(ラボには、この複雑なストーリーを設計する担当者も居ます)
上記の内容ですと、別のプレイヤー同士が衝突することもあり得ますが、
作中はそういった描写は描かれませんでした。
ちなみに、この世界の銃弾は、プレイヤーにあたっても死なない(痛いだけ)の特殊な銃弾。
~注目ポイント~
・神は細部に宿る/悪魔は細部に潜む
ナレーションや解説を付けず、状況や背景、
目的や感情を映像で理解させるのが素晴らしい作品であると私は思います。
実に自然に、且つ徹底的に作り込まれた世界観とディテールの数々に、きっと驚くでしょう。
すごいガジェットがしれっと登場したり、すごい描写がしれっと写されますが、それらはこのウエスト・ワールドの世界では当たり前のことなのです。
当たり前のことを仰々しく説明したり、クローズアップしたりはしないものです。
制作陣(脚本・演出・美術・設定製作!)には頭が上がりません。
・頻繁に登場する「ナラティブ」とは?
ウエスト・ワールドは壮大で、複雑で、緻密な物語をプレイヤーに提供しますが、
劇中のスタッフや開発者が頻繁に口にする単語に「ナラティブ」というものがあります。
(アンソニー・ホプキンスが特に使う)
単語の意味が判らなかったので調べてみましたが、
最近生まれた言葉で、ちゃんとした日本語訳がまだ無いとのこと。
言葉の定義が難しいようですが、いくつかの文献を流し読みすると「ナラティブ=自分だけの体験」という感じのようです。
たとえばストーリー決まっている一本道のゲームは、(ほぼ)他人と同じ体験であるため、ナラティブとは呼ばず、
選択肢が膨大だったり、決まった順序やストーリーがプレイヤーの解釈次第だったり、特にやるべきことが無かったりするゲーム(フォールアウトとか、風の度ビトとか)は、ナラティブと言うようです。
このナラティブな体験をプレイヤーに提供することが、テーマパークの目的…なのですが…
・全裸
アンドロイドは現場(下界?とでもいいますか)に送られるまで、ラボでは全員素っ裸です。
なのでアンドロイドが溢れるラボはモザイクだらけです。これはなかなか刺激的な映像です。
さすがにメインヒロインの女性は裸になりませんが、
アンドロイド役のキャストはだいたい裸になります。役者根性に脱帽!
でもスタッフの精神衛生面は良くないですね。
美男美女のアンドロイドならいいですが、おじいさんやおばあさんだとSAN値が下がります。
・何を以って人間と言えるのか? 人間の定義とは?
アンドロイドは、痛みに苦しみ泣き、命を奪われるまで必死で抗い命乞いをし、愛する者の為に戦い、自分の意思や目的を持って生きています。
これを人間と言わずして、何と言うのでしょうか?
この疑問を視聴者に投げかけることこそが、本作最大の趣旨ではないかと思います。
余談(本編を見た方には解ると思います)
・オープニングテーマと映像がすごく印象的です。
蒼ざめた馬が象徴するのは…これはラストを暗喩していたのでしょうか。
・Paint in blackが流れる酒場強盗のシーンは最高!!
・最終話は必見!! アーミスティスが初めてあの武器を使ったときのリアクションも最高。
っていうか、アーミスティスが最高。
・不死身の怪人ワイアッツメンの正体は??
気になるシーズン2が早く見たい!!