白樺荘にて | 読んだらすぐに忘れる

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白の恐怖

『白の恐怖』鮎川哲也

先日、友人たちと叙々苑でたらふく焼肉をくったのだが、今回読んだ『白の恐怖』は、その割り勘金額と同じ値段だった。

 別に鮎川哲也のファンでも何でもないんだけど、ついつい衝動買いしてしまった。

弁護士・佐々はアラスカ移民の資産家の妻、高毛礼未人から亡き夫の遺産を相続すべき、戦後散り散りになっていた親類たちを探すように依頼される。何週間もかかった調査の結果、四人の甥、姪が見つかり、夫人とそのお手伝いが一緒に暮らす白樺荘に召集される。しかし、一同が手続きを済ませ正式に遺産が相続された晩に、途中で別行動をとった佐々の助手と夫人のお手伝いが何者かに殺される知らせが警察によってもたらされ、雪に閉ざされた山荘で危険な遺産相続ゲームが開始される。

息つく暇もなく、ばったばったと人が死んでいくスリリングな展開であっという間に読み終わった。奇抜なトリックやはっとさせるようなアクロバティックな犯人あてもないが、小栗虫太郎を彷彿とさせるようなトリックも出てきたりしてシチュエーションを楽しむ感じ。

何かで読んだことがあるが、作者本人はこの作品はあまり好きではなかったそうだ。そうだろうね。でも、個人的には傑作の誉れ高いがちんたらしている『りら荘事件』よりも『白の恐怖』のほうがサスペンスの面では数段優れているし、犯人の異常性も際立っていて、なかなかゾクゾクしましたね。

 

 併録されている「影法師」は異国情緒ある短編。「薔薇小路棘麿」を登場人物にする遊び心にあふれたことをしている。