【安倍晋三】憲法改正に向けて加速【自民党】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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 来月に予定されている自民党総裁選挙を控え、安倍晋三総裁が憲法改正を加速する構えを見せている(https://www.sankei.com/politics/news/180810/plt1808100005-n1.html)。

 

 

 

「【長州「正論」懇話会】 安倍晋三首相講演要旨 憲法に自衛隊明記、誇り持って任務に」 産経ニュース2018年8月14日

https://www.sankei.com/premium/news/180814/prm1808140008-n1.html

 

「 【憲法改正】

 西日本豪雨の発災以来、最大で3万1千人を超える自衛隊の諸君が行方不明の捜索、大量に流れ込んだ土砂やがれきの撤去、炊き出しや入浴などの被災者支援に当たってきた。被災者のため、黙々と献身的に任務を全うする彼らは日本国民の誇りだ。

 毎年、防衛大学校の卒業式に出席し、最高指揮官として真新しい制服に袖を通したばかりの自衛官たちから「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える」との重い服務宣誓を受ける。

 彼らは国民を守るために命を懸ける。しかし、近年でも「自衛隊を合憲」と言い切る憲法学者はわずか2割だ。その結果、多くの教科書に自衛隊の合憲性に議論があるとの記述があり、自衛官の子供たちも、その教科書で勉強しなければならない。

 こんな状況に終止符を打つ。全ての自衛官が誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは、今を生きる政治家の責任だ。憲法の中に、わが国の独立と平和を守ることと、自衛隊をしっかりと明記することで責任を果たしていく決意だ。

 昨年の衆院選で自民党は初めて選挙公約の柱、主要項目の一つとして憲法改正を位置づけ、自衛隊の明記など4項目を具体的に掲げた。本年の党大会では党の運動方針として、公約に掲げた4項目の議論を重ね、憲法改正案を示し、憲法改正の実現を目指す方針を決定した。これに従って意見集約に向けた党内議論が精力的に行われてきた。

 いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない。これまでの活発な党内議論の上に、自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、とりまとめを加速すべきだ。

 来月には総裁選があるが、憲法改正は立党以来の党是であり、すべての党員の悲願だ。昨年の衆院選での公約実現を目指すことは、自民党としての責任でもある。誰が総裁になろうとも、その責任を果たしていかねばならない。」

 

https://www.sankei.com/premium/news/180814/prm1808140008-n2.html

 

「 憲法改正には、衆参両院で3分の2を得て発議し、国民投票で過半数の賛成を得るという極めて高いハードルを乗り越える必要がある。政治は結果であり、どのように幅広い同意を得て憲法改正を実現するか、総裁選で党員の間で議論を深め、一致団結して前に進むきっかけとなることを期待する。

(後略)」

 

 

 

 和田政宗参議院議員(自民党)が安倍総裁のこの講演をブログで取り上げている(https://ameblo.jp/wada-masamune/entry-12397759847.html)。

 「先月私も発起人となって行った勉強会は、憲法改正の発議の提案は衆議院で100人の賛成もしくは参議院で50人の賛成で出来ることについて確認したが、それは改憲議論のスピードを加速させる狙いがあった。」とのことだが、根拠がわからなかった。

 調べてみたら、国会法68条の2に根拠があった。第一次安倍内閣当時に成立した日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)151条に基づく法改正のようだ。

 知らなかったなぁ。

 

 

 

日本国憲法の改正手続に関する法律

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16620070518051.htm

 

「第百五十一条 国会法の一部を次のように改正する。

  第六章の次に次の一章を加える。

    第六章の二 日本国憲法の改正の発議

 第六十八条の二 議員が日本国憲法の改 正案(以下「憲法改正案」という。)の原案(以下「憲法改正原案」という。)を発議するには、第五十六条第一項の規定にかかわらず、衆議院においては議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。」

 

国会法

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-dietlaw.htm

 

「第六十八条の二 議員が日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)の原案(以下「憲法改正原案」という。)を発議するには、第五十六条第一項の規定にかかわらず、衆議院においては議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。」


 

 

 

 私は先月、某政治家事務所で、「安倍さんは年内に憲法改正を進めるのではないか。」という話を聞いた。

 憲法改正への期待が高まっていたその矢先に、杉田水脈衆議院議員(自民党)の「生産性」発言が出た。マスメディアから非難の声が上がり、自民党は対応に追われた。

 政治家が持論を述べているうちに気持ちよくなって余計なことを言うのは珍しくないかもしれないが、これは酷い。

 保守系の人々から擁護の声が上がっているが、明らかに失言だ。

 「生産性」のない者同士の婚姻に税制上の優遇は不要だとすれば、LGBT以外にも、病気や事故で子供を産めない人のみならず、熟年結婚にまで話が及んでしまう。基準の立て方がガバガバ過ぎて、余計に敵を作ってしまう。時と場合によっては議論喚起のためにこういう発言も許されるのかもしれないが、憲法改正に向けて重要な時期である今にするものではないはずだ。

 杉田議員の「生産性」発言は、平成19(2007)年の柳澤伯夫厚生労働大臣(当時。第一次安倍内閣)の「産む機械」発言を彷彿とさせる。柳澤大臣はこの発言でマスメディアから非難を浴び、釈明を迫られた。

 政治家が少子化対策に力を入れるのは当然ではあるのだが、出産と人間的価値を結びつける発言は反発を招きやすい。柳澤大臣の場合は「ごめんなさいね」と断っていた(し、発言自体が捏造だったという指摘もある)が、杉田議員にはそういう配慮も見られない(し、捏造でもない。)(https://goo.gl/LNbZOx)。

 前例がないならまだしも、有名な前例が近時にあったにもかかわらずこんな発言をしてしまうとは、杉田議員はあまりに慎重さを欠いていたと思う。「この発言の前後にいいことが書いてあるから全体で評価しろ」という擁護の意見も見られるが、むしろ、「せっかく前後にいいことが書いてあるのにこの発言で台無しになった」という蛇足なのではないか。

 「こんな人権感覚のない人が憲法改正をやろうとしている」と、改憲派に対する攻撃材料になることは想定できるだろう。杉田議員の「生産性」発言は憲法改正にとって不利益に働くはずだ。

 私は杉田議員の失言を苦々しく思った。「マスメディアの杉田批判には事実無根のものがある」「菅直人も「産む生産性」発言をしている」という杉田擁護の意見も見られたが、だからと言って失言が正当化されるわけではない。J-CASTニュースによると、菅直人のこの発言を公明党が「猛烈に批判」したとのことだが、憲法改正に向けて公明党の協力も得なければならないこの時期に、杉田議員は公明党から反発を招く真似をしてしまったということになる(https://www.j-cast.com/2007/02/08005426.html?p=all)。<追記>公明党の山口那津男代表は杉田議員に苦言を呈した(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33618520R30C18A7PP8000/)。<追記ここまで>杉田議員は比例単独で当選しているため、公明党の支援をあまり受けておらず、公明党への配慮に気が回りにくいかもしれない(https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/2017/#!hmb_0901)。

 杉田議員は当初は失言だと認めずに言い訳をしていたらしく、これにも驚き呆れたが、後に失言を認めて反省を示している。それでよいのだと思う。

 

 

 

「LGBT 「生産性なし」自民・杉田議員の寄稿が炎上」 毎日新聞2018年7月21日

https://mainichi.jp/articles/20180722/k00/00m/040/028000c

 

「 自民党の杉田水脈(すぎた・みお)衆院議員(比例中国ブロック)が月刊誌への寄稿で、性的少数者(LGBTなど)について「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと書き、ネット上で炎上している。杉田氏はツイッター上で<全文を読んでから批判してほしい>と反論したが、性的少数者のみならず高齢者や子のない夫婦も否定するかのような内容で、批判が広がっている。【大村健一/統合デジタル取材センター】」

 

「自民・杉田水脈議員「真摯に受け止め研鑽につとめる」 LGBT寄稿で党の指導受けコメント」 産経ニュース2018年8月2日

https://www.sankei.com/politics/news/180802/plt1808020018-n1.html

 

「 自民党の杉田水脈衆院議員は2日、LGBT(性的少数者)をめぐる月刊誌への寄稿の内容が「配慮を欠いた」として党から指導を受けたことについて、事務所を通じ「党性的指向・性自認に関する特命委員会 古屋圭司委員長からご指導をいただきました。真摯(しんし)に受け止め、今後研鑽(けんさん)につとめて参りたいと存じます」とコメントした。」

 

https://twitter.com/nevermore1dream/status/1020856986571718656

 

 

 

 安倍総裁が目指す自衛隊を明記する憲法改正について、総裁選の対立候補である石破茂衆議院議員は「何も変わらない憲法改正をしてどうするのか」と批判している(https://www.asahi.com/articles/ASL8C5SKBL8CUTFK00G.html)。

 実のところ、私は自衛隊違憲論の方が素直だと考えている。

 日本国憲法は、わが国を武装解除したいGHQの占領統治下で制定され、戦力不保持・交戦権否認が規定されたのだから(9条2項)、国防組織の設置を想定していないと解するのが素直なのではないか。

 「前項の目的を達するため」「戦力」の解釈や国家固有の権利、はたまた人権規定から自衛隊の合憲性は肯定できるものの、技巧的という感が否めない。国防組織の国家存立上の重要性を考えれば、自衛隊の法的基盤は脆弱だ。

 解釈によって補えていて、「何も変わらない」としても、条文そのものを改正した方がよいと思う。

 私としては、今まで日本国憲法に現れていた立法者意思は国防組織を否定するものだったが、自衛隊を明記することにより、国防組織を肯定する立法者意思が現れるという変化が生じるのではないかと考えている。それは国防を巡る様々な議論に影響するのではないか。

 それに、石破議員は、9条2項削除を求め(https://www.sankei.com/politics/news/180129/plt1801290019-n1.html)、「9条改正は国民の理解なくして決してできるものではない。」と言うが(https://www.asahi.com/articles/ASL8C5SKBL8CUTFK00G.html)、9条2項削除に国民の理解を得る上でも、自衛隊違憲論を教育やマスメディアから払拭しておいた方が利益的なのではないか。石破議員は9条2項に国民の理解を得る具体案を持ち合わせているのだろうか。

 なお、「何も変わらない」としても、そういう法改正が行われる例はある。

 平成16年改正前の民法には、2種類の「取消」があった。遡及的に無効になるものと(121条)、将来的に無効になるものである(550条など)。

 従来、解釈によって問題なく運用されていたのだが、明文で区別すべく、平成16年改正で後者は「撤回」となった。条文の内容は同じで、法改正前後で「何も変わらない」。それでも法改正は実施された。

 政府は従来自衛隊を合憲とし、NHKの世論調査によれば6割を超える人が自衛隊を合憲とし、違憲とするのは1割程度だ(https://www3.nhk.or.jp/news/special/kenpou70/yoron2017.html)。自衛隊を合憲とする解釈が定着してきたわけで、それに合わせて法改正するのは妥当と言えるだろう。

 

 

 

https://twitter.com/junyamitsurugi/status/1028278059969835008

 

遠藤浩ほか 「有斐閣双書 民法(1)総則 第4版増補版」 (有斐閣、1999年) 219,220ページ

 

140 取消 (1)意味 法律行為の有効を一応認める点で、無効と区別される。取り消されれば結果的には無効と変りはないが、取消の場合は、取消権者が取消の意思表示をするか否かの選択熟慮の余地が残されている。

 同じ取消でも、身分に関する法律行為、たとえば婚姻などは、初めより無効とすることが性質上できないこともある(七四八条)。これと似て異なるものに、完全に有効な行為を将来に向かってのみ効力を失わせるものがある。講学上、これを撤回と呼び、一二一条の取消と区別する(五五〇条)。」

 

民法550条

 

平成16年改正前

 

「書面ニ依ラサル贈与ハ各当事者之ヲ取消スコトヲ得但履行ノ終ハリタル部分ニ付テハ此限ニ在ラス」

 

現行法

 

「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」

 

<20日追記>

 

「安倍首相「石破封じ」へ次々と牽制球 麻生氏は離党経験ある石破氏をチクリ「苦しい時こそ人間性がわかる」 自民党総裁選」 zakzak2018年8月20日

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180820/soc1808200011-n1.html

 

「 「総裁選はこういう事になりましたが、終わったらまた仲良くやりましょう」

 自民党総裁選(9月7日告示-20日投開票)をめぐり、今月11日、党参院幹事長、吉田博美の携帯電話が鳴った。電話の主は首相の安倍晋三だった。

 

 数々の国会を乗り切ってきた吉田と安倍の絆は深い。にもかかわらず、吉田は、師匠である元参院議員会長、青木幹雄の意向をくみ、党総裁選で参院竹下派が元幹事長の石破茂を支持する方針を打ち出した。安倍からの電話を受け、吉田の胸に忸怩たる思いがこみ上げてきた。

 「私は石破氏の記者会見に頭に来ているんです。あれじゃ、首相に対する個人攻撃じゃないか。石破氏には『反安倍を掲げて総裁選をやるなら支持できない』と言ってやるつもりです」

 安倍は石破への論評を避けつつ、こう応じた。

 「とにかく今後も緊密に連絡を取り合いましょう」

  ■   ■

 国会議員票(405票)の7割強を安倍に固められ、劣勢を強いられている石破は「正直、公正」を掲げて反安倍色を鮮明にさせたが、その戦術は裏目に出つつある。

 対立軸を打ち出した方が党員票(405票)獲得には有利かもしれないが、露骨な安倍批判は安倍を支持する勢力の感情を逆なでした。6年前の総裁選で石破を支持した無派閥議員は「野党のような批判をするならついていけない」と突き放した。「来夏の参院選を前に党内で先鋭的な対立構図を作ってどうするのか」との声も上がる。

 対する安倍は、石破との正面対決を避ける戦術に徹する考えだ。」

 

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180820/soc1808200011-n2.html

 

「 安倍は総裁選告示直後に訪露し、9月11~13日にウラジオストクで開かれる東方経済フォーラムへの出席を予定する。露大統領のプーチンら各国首脳と会談し「外交の安倍」を印象づけようというわけだ。

 石破とのツーショットとなる街頭演説や公開討論なども極力減らす構え。安倍は周囲に「6年前の総裁選とは違う。首相が、挑戦者と張り合っても仕方ないじゃないか」と語る。

  ■   ■

 その一方で、安倍は石破への牽制球を欠かさない。

 8月12日には、郷里の山口県下関市で開かれた長州「正論」懇話会で、憲法9条に自衛隊を明記する自民党憲法改正案を秋の臨時国会で提出する方針を示した。
石破が出馬会見で「(9条改正の)優先順位が高いとは思わない」と述べ、争点化を避けたことへの当てつけだといえる。

 これに対して、石破は17日に記者会見を急遽開き、改憲案提出を急ぐ安倍を「国民の理解なき改正をスケジュールありきで行うべきでない」と批判した。

 だが、9条を維持したまま自衛隊を明記する首相案は、3月の党大会で「条文素案」の形で了承されている。石破も「党の決定に従う」と述べており、このままでは墓穴を掘ることになりかねない。

 

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180820/soc1808200011-n3.html

 

「 今月15日夜、安倍は、日本財団会長の笹川陽平の招きで、山梨県鳴沢村の別荘で、首相経験者の森喜朗、小泉純一郎、麻生太郎らと夕食をともにした。安倍の推薦で同席したのは、政調会長の岸田文雄、経済再生担当相の茂木敏充、厚生労働相の加藤勝信ら。「ポスト安倍はこの面々であり、石破ではない」。そんなメッセージが透けてみえる。

 会食では、自民党の権力闘争史が話題になった。森が「私が一番つらかったのは、細川護煕連立政権ができ、下野した際の幹事長時代だ。とにかく次から次へと自民党から人が出ていってね」と語ると、小泉も「そうだったよな」と合いの手を入れた。石破もこの時期に離党した一人だ。麻生はにやりと笑って、こうつぶやいた。

 「そういう苦しい時こそ人間性がわかるんですよ」=敬称略

 (産経新聞、水内茂幸)」

 

https://twitter.com/nevermore1dream/status/1031319616700567552

 

https://twitter.com/akichi_3kan4on/status/1031507950295166977

 

<追記ここまで>

 

 

 

 安倍総裁は戦後レジームからの脱却へと歩みを進めている。

 憲法改正に向けて加速しつつも石橋を叩いて渡ることが求められる今、党内から足を引っ張る出過ぎた真似は慎んでもらいたいものである。