【三橋貴明】続 「モンサント法」のレッテル貼りに反対する【主要農作物種子法廃止法案】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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流行に浮かされずに独り立ち止まり、素朴に真っ直ぐに物事を観てみたい。
そういう想いのブログです。

 先月27日、三橋貴明が「主要農作物種子法廃止(モンサント法)に反対する」という記事を公開した(http://ur0.biz/CQQz)。

 私はこの記事はおかしいと思い、7日、これを批判する記事「【三橋貴明】「モンサント法」のレッテル貼りに反対する【主要農作物種子法廃止法案】」を公開した(http://ur0.biz/CQro)。

 この記事を書くにあたり、私は三橋の当該記事をリブログした。私は今までも三橋批判の記事をいくつか書いたが、彼の記事をリブログをしたことはなかった(http://ur0.biz/CQORなど)。リブログをするとそのことが相手方に通知される。三橋は大物である上に訴訟をも辞さない(http://urx2.nu/CRpj)。三橋をリブログして批判することは私には勇気の要ることであった。

 リブログをすると、リブログ元の記事にリブログ先へのリンクが発生する。したがって、私がリブログした当該記事には私の記事へのリンクが発生している…、はずだった。

 が、なんと、三橋は私の記事へのリンクを非公開に設定したhttp://ur0.biz/CQrg)。これには私は大変驚いた。

 プロの言論人であり大物ブロガーである三橋が、まさかこんな姑息な真似をするとは夢にも思っていなかった。自信ある大物プロの三橋は、素人による蚊が刺すような批判など気にも留めず、いずれの主張が正当なのか読者に判断を委ねると私は思っていた。

 私とてプロは事実無根の誹謗中傷のリブログまで甘受せよとは言わないが、三橋は一体どういう理由で私の記事へのリンクを消したのだろう。

 ちなみに、凄腕有名ブロガーの血祭謙之介さんも、三橋ブログをリブログした記事を書いたところ、私と同様、リブログ元の記事に発生したリンクを非公開にされた(http://ur0.biz/CQrj)。

 

 

 

 7日、私が上記記事を公開した約2時間後、三橋は「続 主要農作物種子法廃止(モンサント法)に反対する」という記事を公開した(http://ur0.biz/CQDN)。

 さんとへさん(動画では鈴木さん)の言葉を借りれば、これまた「酷い」(http://ur0.biz/CQqD)。

 私も種子生産の知識は持ち合わせていないが、農水省や都道府県や研究機関などのHPを調べてみたところ、三橋の同法の理解はおかしいと思った。

 さんとへさんの「奨励品種ってどんなものかご存じですか」に倣えば、「元種ってどんなものかご存じですか」の一言で三橋の立論は破綻するであろう。さらに「カルタヘナ法ってどんなものかご存じですか」を加えるとますます破綻するものと思われる。

 三橋は一体何を参考文献・取材源にしてこの記事を書いたのだろう。素人ではあるまいし、何らかの調べ物をした上で発言している…、はず?

 9日、三橋は、「MONEY VOICE」というサイトに、「すべての日本人よ、主要農作物種子法廃止(モンサント法)に反対せよ」という、読者を煽動する記事を寄せている(http://ur0.biz/CQP1)。

 三橋は、彼を批判する一部の人から「経済芸人」呼ばわりされていた(http://urx2.nu/CSbe)。彼は「経済評論家」を名乗るに値しないということだ。

 私はこの呼び方があまり好きではなく、使用を控えてきた。

 そういう私でも、三橋の「モンサント法」煽動記事を見て、こう思った。

 もはや三橋は「経済芸人」ですらない。

 「煽動芸人」である、と。

 

 

 


 

 

 

 三橋がいかに主要農作物種子法(種子法)を理解していないか、リブログ元の記事のこの部分に集約されていると私は見ている。

 

 

 

「続 主要農作物種子法廃止(モンサント法)に反対する」 三橋貴明ブログ2017年4月7日

http://ur0.biz/CQDN

 

「 種子法が何のために存在しているかと言えば、
「種子法によって稲・麦・大豆の種子を対象として、都道府県が自ら普及すべき優良品種(奨励品種)を指定し、原種と原原種の生産、種子生産ほ場の指定、種子の審査制度などが規定される」
 ためです。


 要するに、日本古来の原種や原原種の優良品種を都道府県が管理し、農家に提供せよ、という話になります。日本の食糧安全保障、食糧自給、そして食の安全を考えたとき、これは「当然の規制」だと思います。」

 

 

 

 この箇所は何重にも間違っているのではなかろうか。

 三橋は、「日本古来の原種や原原種の優良品種」と言う。この言い回しに三橋の無理解が表れていると解される。三橋は、「農作物」「品種」そして「種子」の区別が曖昧なのではないか。種子法用語と園芸用語とをごっちゃにしている感もある。

 私の理解だが、種子法に従えば、「優良品種の原種」という言い方はしても、三橋のような「原種の優良品種」という言い方はしないのではないか。「植物の種」という言い方はしても、「種の植物」という言い方はしないであろう。

 また、三橋は、「日本古来の」と言うが、原種が日本古来の品種だとすると、原原種とは一体何なのか。原種と原原種の差異が不明となる。

 原種・原原種を日本古来の品種として理解してしまうと、困った問題が生じる。新品種が奨励品種に決定されている現実を説明できないのである。さらに言えば、そもそも「主要農作物」は日本古来の農作物なのか、原産地は日本列島なのか、という問題も生じてくる。種子法1条との整合性も問題となろう。

 三橋は種子生産の流れを一体どのように考えているのだろう。種子生産の流れを少しでもかじっておれば、こういう文章を書くことなどないのではないか。

 三橋は、原種・原原種を誤解し、ひいては種子法を全体的に誤解している。あるいは正しい理解を知りながら意図的に誤解を流布している。私はそう理解した。

 「当然の規制」? 私にはそうは思えないが。

 仮に三橋の種子法の解釈を一概に否定しないとしても、私が調べた限りでは、実務は三橋のような解釈では動いていないと思われる。

 

 

 

 どこからツっこんでいいものか。

 ググっていたら子供向けの説明を見つけた。リンク先には画像もついている。

 まずはこれを紹介しておこう。

 

 

 

「♯194 品種特性を守るための種の生産管理や育苗」 あぐり王国HP2012年5月19日

http://ur0.biz/CQrq

 

「リーダーを探しにお邪魔したのは
こちらの建物。
ホクレン滝川種苗生産センター(※)
「原原種センター」です。

 

リーダー
「いや~みんな待ってたよ~。
 こちら…は原原種(げんげんしゅ)センターの
 北林茂センター長です」

 

(中略)

 

それでは、北林センター長に
北海道農業を支えているとは、
どういう事なのか聞いてみよう!

北林さん
「北海道農業を原原種を生産しています。
 《原原種》とは農業試験場などで
 優れた品種を作ってもらい、
 その種を最初に増やす段階で、
 その種のことを言います

 

 例えば、試験場で作られた「もんすけ米」(※)。
このお米をみんなが食べられるようにするには、
多くの生産者が作れなければいけません。

 

そこで原原種センターでは
「もんすけ米」の種を増やすのです。 
種をとるために栽培し、
7か月後できたのが「原原種」。

しかし、ここでは限られた数しか出来ません。

 

 そこでもっともっと種をふやすための栽培を
専門の生産者が行います。
そうしてやっと多くの農家さんに行き渡る
量の種が採取出来ます。
つまり私達が「もんすけ米」を食べるまでには
4年もの時間がかかるのです。

 

北林さん
「絶対に他の物が混ざらないように
 管理しなければいけないし、
 もちろん畑は厳重に
 管理しなければなりません」
  
森崎
「原原種に病気が付いたら
 全部いっちゃいますからね。
 最新の注意を払っているですね」

 

河野
「いや~大人でも知りませんでした」

 

森崎
「我々が食べている作物。
 その作物がなるまでには“種”が必要で
 その種は厳しく厳しく管理されて、
 やっと広がるんだねえ」

品種の特性を保ったままタネを増やす
「原原種センター」

北海道の農産物を陰で支える大切な施設なのです。」

 

※ 「ホクレン滝川種苗生産センター」

 http://ur0.biz/CQtm

※ 「もんすけ米」

 架空の品種。北海道放送のマスコットがもんすけ(http://ur0.biz/CQtj)。

 

 

 

 三橋は、「原種」「原原種」という言葉の響きで「日本古来の品種」というように思い込んだのだろう。

 しかし、日本古来かは問題ではないし、品種ではなくて種(たね、種子)のことなのだ。

 確かに、例えば「原種チューリップ」ときいたとき、品種改良される前の野生の品種を思い浮かべ、なんとなく古来のものという感じはするかもしれない。園芸では概ねそういう理解で構わない(http://ur0.biz/CQpThttp://urx2.nu/CRmb(「園芸用語集」→「か行」→「原種(げんしゅ)」と進む))。

 しかし、種子法の「原種」「原原種」はそうではないのだ。

 種子法上の「原種」を日本古来の品種と解するのは、「原本」を日本古来の文献と解するようなものだ。

 「原本」は写しの元となる文書だ。

 「原種」「原原種」もそういう意味合いだと言ってよいと思う。

 

 

 

 子供向けの説明ではなく、一般的な説明はどうなのだろうか。

 「原種」「原原種」の定義などいちいち説明するまでもないのか、意外と見つかりにくい。岐阜県の説明と京都府のそれを見つけた。

 「要するに」、原種は一般種子の元となる種子、原原種は原種の元となる種子、「という話になります」。

 繰り返しになるが、三橋は「原種」の「種」を「品種」と理解しているようだが、文字通り「種」(種子)と理解すべきものだ。

 原種・原原種は法律用語だが、実務的には「元種(もとだね)」と呼ばれることがある。こう言うと品種を指すものではなく、種子を指すものだということがわかりやすいであろう。

 だから、「元種ってどんなものかご存じですか」の一言で、三橋の立論は破綻してしまうと上で述べたのである。

 この言葉を知っておれば、原種・原原種について、日本古来の品種などという解釈はなかなか出てこないであろう。

 

 

 

「主要農作物(水稲・麦・大豆)の種子生産について」 岐阜県HP

http://ur0.biz/CQtf

 

■ 主要農作物の種子生産の流れ

 

 ◆主要農作物の種子は、「原原種」→「原種」→「一般種子」の順に生産します。

 

原原種 : 種子生産の基本となる種子。県の試験研究機関で生産管理します。

原種 : 原原種を播種し、生産された種子。県の試験研究機関で生産するほか、一部は、県が指定したほ場において、採種組合等が生産します。

一般種子 : 原種を播種し、生産された種子。この種子が一般の農家へ販売されます。県が指定したほ場において、県内の採種組合等が生産します。」

 

「主要農作物種子法に基づくほ場審査及び生産物審査の基準及び方法」 京都府HP

http://ur0.biz/CQtc

 

「1  基本事項
 (1) 審査の対象となる種子は、次の3種類とする。
   原原種、原種及び一般種子
 (2) 種子生産用種子の取扱い
  ア 原原種を生産するために用いる種子は、生産する品種の育成者の直接の管理の下に適正に生産され、当該育成者が適正と認める旨の書状が添付されたもの(以下「育種家種子」という。)とする。ただし、育種家種子を用いた後2作以内であれば、系統別に保存している原原種を用いることができる。
  イ 原種を生産するために用いる種子は、原原種とする。
  ウ 一般種子を生産するために用いる種子は、原種とする。ただし、京都府が認める場合は、原原種又は一般種子を用いることができる。」

 

「水稲品種開発部」 青森県産業技術センターHP

http://ur0.biz/CQt9

 

優良種子(原原種、原種)の生産

 

農林総合研究所では、稲作農家が使用する種子の元種(もとだね)である原種(げんしゅ)を生産しています。さらにその元種である原原種(げんげんしゅ)も生産しています。
 
 原種とは、育成された個々の品種の持つ特性(食味、品質、収量性、寒さや病気に強いか弱いか等)が失われないように維持されている種子をいい、厳重な栽培管理の下で生産されます。原原種とは更にその元種で、1株1本植えで1株ずつ特性を調査し厳重な栽培管理の下で生産されます。」

 

「農研機構・種苗管理センターパンフレット」 農業・食品産業技術総合研究機構HP

http://ur0.biz/CQrx(4ページ)

 

原原種の生産

 

ばれいしょ、さとうきびは我が国の重要な畑作物ですが、種苗増殖率が低い上、ウイルス病、細菌病等の病害が種苗により伝染して広く産地に壊滅的な被害を与えるおそれがあります。
種苗管理センターでは、これら病害のまん延防止のため、種苗増殖の起点となる健全無病なばれいしょ、さとうきびの原原種(元だね)を、隔離環境での栽培と「植物防疫法」に基づく厳格な病害検査を行いつつ、一元的に供給しています。」

 

※ ばれいしょ、さとうきびは種子法上の「主要農作物」ではない。「元種」の用例として紹介した。

 

 

 

 「種子法が何のために存在しているか」。

 1条に書かれている。

 これを見ても、日本古来の品種の保護など書かれていない。

 三橋のような原種・原原種の解釈は、1条と整合しないのではないかと思う。

 曲解以前の問題で、三橋は同条を読まずに勝手な主張をしているのではないか。

 

 

 

「主要農作物種子法」

http://ur0.biz/CQrB

 

「(目的)
第一条  この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とする。 」

 

 

 

 主要農作物を日本古来の品種に限ると、奨励品種も日本古来の品種でなければならなくなる。

 しかし、現実には、日本古来の品種ではない「新品種」が奨励品種になっているのである。三橋の解釈ではこの現実を説明できないと思う。

 意外に思われる方もいるかもしれないが、コシヒカリにしても、昭和19年(1944)に開発が始まったものであり、歴史は浅い。しかし、新潟県等において奨励品種になっているのである。コシヒカリは日本古来の品種なのだろうか。

 また、三橋が言うように「日本古来の原種や原原種の優良品種を都道府県が管理し、農家に提供せよ、という話」であるならば、都道府県の奨励品種の決定基準に「日本古来の品種であること」などというものがあるはずだ。

 本当にそんなものがあるのだろうか。「古来」の判断基準などどうやって設定するのだろうか。岐阜県の「奨励品種の決定基準」には日本古来の品種かどうかの判断基準が示されていないように見えるが、岐阜県は種子法違反なのだろうか。

 

 

 

「パン・中華めんの加工に適した小麦新品種「ゆめあかり」を奨励品種に採用しました」 愛知県HP2016年8月30日

http://ur0.biz/CQrI

 

「 愛知県農業総合試験場が開発した小麦の新品種「ゆめあかり」を、平成28年8月30日(火曜日)付けで、主要農作物種子法に基づく奨励品種に採用しましたのでお知らせします。

 

■ 1 新たに奨励品種に採用した品種「ゆめあかり」について

 

 「うどん」や「きしめん」に適した小麦品種として平成23年に品種登録された「きぬあかり」は、平成28年には県内小麦栽培面積の8割に普及していますが、さらに小麦の生産振興を図るため、パン・中華めんへの加工適性の高い小麦新品種「ゆめあかり」(平成26年5月2日品種登録)を開発しました。
 「ゆめあかり」は多収で、倒伏しにくいため、安定した生産ができます。
 この品種の小麦粉を用いて作ったパンは、ふんわりとした食感となり、中華めんは、適度な粘りと硬さのある黄味がかっためんとなります。
 本県は「ゆめあかり」の本格的な栽培・普及に向けて、種子の供給体制を整えます。平成29年産から、生産者のみなさんへ向けた一般栽培用種子を供給していく予定です。

 

■ 2 奨励品種について

 

 1. 奨励品種とは、県内で普及すべき主要農作物の優良品種のことです。奨励品種に採用されることで、県が責任をもって、原種(一般に供給される栽培用種子を生産するための種子)等の生産・安定供給を行うことになります。
2. 主要農作物種子法とは、主要農作物(稲・麦類・大豆)の優良な種子の生産及び普及の促進を目的とする法律で、都道府県が奨励品種を決定するために試験を行うこと等が規定されています。
3. この試験結果等をもとに、行政、生産者団体及び実需者による審査会(平成28年7月28日(木曜日)開催)を経て、8月30日(火曜日)付けで「ゆめあかり」を本県奨励品種に採用することとなりました。
4. 愛知県の平成27年産小麦作付面積は5,580 ha(出典:作物統計)で、今後、平成22年に奨励品種に採用した「きぬあかり」と、今回奨励品種に採用した「ゆめあかり」による、2品種の生産体制を推進していく計画です。」

 

「新潟コシヒカリの軌跡 ~誕生から定着に至るまで~」 新潟県HP2012年10月10日

http://ur0.biz/CQrM

 

■ コシヒカリの来歴

 コシヒカリは、昭和19年新潟県で「農林22号」と「農林1号」とを掛け合わせ、福井県で系統育成(※1)されました。
 昭和31年に新潟県と千葉県が県の奨励品種(※2)に選定し、農林100号として登録され、晴れて新品種「コシヒカリ」が誕生しました。」

 

「奨励品種の決定基準」 岐阜県HP

http://ur0.biz/CQrO

 

「1 奨励品種の採用基準
 (1) 都道府県は、奨励品種に採用する場合には、おおむね次の基準のいずれかを満たしている品種のうち、普及上特に支障となる欠点のないものの中から選択するものとする。
  ア 収量、病虫害抵抗性、品質その他の栽培上の重要な特性及び生産物の利用上の重要な特性を総合的に勘案し、既存の奨励品種(以下「対照品種」という。)と比較して明らかに優れていると認められること。ただし、奨励品種に採用しようとする品種が、普及対象地域の範囲又は生産物の用途について制限のある場合を妨げない。
  イ 収量、病虫害抵抗性、品質その他の栽培上の重要な特性又は生産物の利用上の重要な特性のいずれかについて、対照品種と比較して明らかに優れていると認められること。
 (2) 奨励品種を採用する場合には、(1)の基準を基礎として奨励品種を普及上必要な種類に区分し、当該区分ごとに特別な名称を附すことができるものとする。」

 

 

 

 さらに言えば、「主要農作物」とは、「稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆」である(種子法2条1項)。

 大豆の原産地は支那なのではないか?

 諸説あるが、大豆を日本古来の農作物と言い切ってよいのか、疑問に思う。

 三橋のように日本古来の品種が原種たり得るとすると、主要農作物に大豆が入っていることの説明が苦しくなると思う。下手をすればいわゆる「起源病」だ。

 また、稲にしても、それこそ三橋と共にチャンネル桜に出ている西村幸祐氏が伝播経路に詳しい(「21世紀の脱亜論 中国・韓国との訣別」(祥伝社、2015年)59~77ページ)。

 三橋は、西村氏に、稲の原産地は日本列島だとするのが種子法制定当時の通説だったかどうか、奨励品種の稲が日本古来の品種かどうか、きいてみればよいのではないか。

 

 

 

「大豆のおはなし」 江崎グリコHP

http://ur0.biz/CQt6

 

① 大豆の歴史

 

●大豆の原産地は?

大豆の原産地にはいくつかの説がありますが、一般的には紀元前2000年以前から中国のかなり広い範囲で栽培されていたようです。その後、朝鮮半島や東南アジアにも伝わっていきました。

 

●日本に伝わったのは?

約2000年前の弥生時代に原産地である中国から朝鮮半島を通じて入ってきたと考えられています。
奈良時代に中国との交流が盛んになってから、仏教とともに味噌や醤油など大豆の加工品や加工方法も伝わってきました。奈良時代に書かれた日本最古の歴史書「古事記」にも「豆」という字が記されています。当時、大豆は特別な食物だったようで、一般には普及していませんでした。

 

●日本で広まったのは?

日本で広く栽培が始まったのは鎌倉時代以降のようです。
その頃には仏教が広く普及しており、その影響で肉食が禁止されていたため、身体に必要なたんぱく源を味噌や納豆から得ていました。また、戦(いくさ)に出かける侍や農民たちの栄養食・保存食としても大豆製品が欠かせませんでした。

こうして大豆の栽培が広まっていき、時代とともに加工技術も発達していきました。そして、味噌、納豆、醤油、豆腐、きな粉、おから、ゆばなど様々な加工品が作られ、私たち日本人の食生活になくてはならないものになっていきました。」

 

 

 

 種子生産の流れを見ると、三橋のような「原種・原原種=日本古来の品種」という理解は出てこないのではないかと思う。

 原原種を栽培して原種を生産し、原種を栽培して一般種子を生産する。こういう流れだろう。

 それにしても、三橋は何を以て原種と原原種とを区別するのだろう。基準がわからない。日本原産の古来の野生の品種が原原種であり、原原種同士を掛け合わせると原種になる、とでも言うのだろうか。そういう解釈で種子法を運用している都道府県などあるのだろうか。三橋の解釈の根拠が気になるところである。

 なお、アメブロに画像を貼れない不具合が生じているので、ツイッターに登録し、これを経由して画像を貼ることとした。このアカウントをフォローされてもフォロバする予定はないのでご理解いただきたい。

 

 

 

「種子生産の流れ」 埼玉県HP2016年4月1日

http://ur0.biz/CQrT

 

「主要農産物(稲・麦・大豆)の原種」 埼玉県農林公社HP

http://ur0.biz/CQrX

 

「種子の生産」 茨城県農林振興公社HP

http://ur0.biz/CQs5

 

※ 現在は閲覧できない模様だが、新潟県のものにつきhttp://urx2.nu/CS0H

 

 

 

 原種・原原種の解釈については以上とする。

 三橋は、リブログ元の記事で、「同時に、種子法は「遺伝子組み換え作物」の栽培としての普及を妨げる防壁でもあります。」と述べている。

 7日の記事で書いたが、遺伝子組換え作物の規制は、主に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)の領域なのではないか(http://ur0.biz/CQq6)。加えて、食品について食品安全基本法および食品衛生法が、飼料については飼料安全法および食品安全基本法が規制しているようだ(http://ur0.biz/CQq1http://ur0.biz/CQq2)。

 三橋はリブログ元の記事でもカルタヘナ法に触れない。同法に触れずに遺伝子組換え作物の規制を論じるなど、あり得るのだろうか。

 また、三橋は種子法を「防壁」とするが、上記の通り主要農作物は稲・麦・大豆のみだ。では他の農作物には「防壁」はなく、遺伝子組換え作物が野放しなのだろうか。そういうことを考えても三橋の主張には違和感がある。

 

 

 

「生物多様性と遺伝子組換え」 農林水産省HP

http://ur0.biz/CQsZ

 

カルタヘナ法について -規制措置の根拠となる法律・文書- 

 

生物多様性を確保するため、遺伝子組換え生物等を用いる際の規制措置を定めた「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」があり、この法律は通称「カルタヘナ法」と呼ばれます。

 

(中略)

 

輸入や使用にあたって必要な手続き -承認・確認の申請手続きに関する情報-

 

遺伝子組換え生物等を日本国内で使用(輸入・流通・栽培等)するためには、カルタヘナ法に基づき、事前に申請を行い、承認又は確認を受ける必要があります。

 

「カルタヘナ法とは」 農林水産省HP

http://ur0.biz/CQt2

 

生物多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等を用いる際の規制措置を定めたカルタヘナ法について紹介します。

 

カルタヘナ法の概要

カルタヘナ法の成立

 

私達の生活は、生物多様性のもたらすさまざまな恵みにより成り立っています。生物の多様性は、現在及び将来にわたり、人間生活を支える重要な基盤であると言えます。

近年、遺伝子組換え技術の発展により、生物に新たな形質を付与することが容易となりました。遺伝子組換え技術は、人類が抱えるさまざまな課題を解決する有効な手段としての期待がある一方で、形質次第では、野生動植物の急激な減少などを引き起こし、生物の多様性に影響を与える可能性が危惧されています。

このため、2000(平成12)年1月に、生物多様性条約特別締約国会議再開会合において「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」が採択され、2003(平成15)年6月に締結されました。

この議定書を日本で実施するため、2003(平成15)年6月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」が公布され、カルタヘナ議定書が日本に効力を生じる2004(平成16)年2月に施行されました。

   ⇒ カルタヘナ議定書の概要(PDF:11KB)
   ⇒カルタへナ議定書の締約国一覧(平成27年6月10日時点)(PDF : 116KB)
 

カルタヘナ法の目的と概要

 

カルタヘナ法の目的は、遺伝子組換え生物等を使用等する際の規制措置を講じることで、カルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保することです。

カルタヘナ法では、遺伝子組換え生物等を用いて行うあらゆる行為のことを「使用等」とし、使用形態に応じて「第一種使用等」と「第二種使用等」とに分け、それぞれの使用に応じて、とるべき措置を定めています。

例えば、遺伝子組換えトウモロコシの輸入、流通、栽培など、遺伝子組換え生物等の環境放出を伴う行為は第一種使用等です。第一種使用等をする際には、使用に先立ち、遺伝子組換え生物の種類ごとに、予定している使用によって生物多様性に影響が生じないか否かについて審査を受ける必要があります。審査の結果、問題が無いと評価された場合のみ、使用が可能となります。

一方、第二種使用等とは、遺伝子組換え生物等を、環境への放出が生じない空間(これを達成するための設備や使用方法全体を「拡散防止措置」といいます)で使用することです。第二種使用等についても、使用に先立ち、拡散防止措置が適切なものとなっているか確認を受ける必要があります。

    ⇒カルタヘナ法の概要(PDF:226KB)
    ⇒カルタヘナ法に基づく遺伝子組換え生物等の使用等の申請、承認・確認、検査等の概念図(PDF:25KB)

(以下略)」

 

 

 

 三橋は、リブログ元の記事で、「非常に腹立たしいのは、将来的に日本国民の食を「汚染」する可能性がある種子法改正に携わった規制改革推進会議の連中、あるいは国会議員たちは、将来的に悲惨な状況になったとしても、誰一人として責任を取らないことが分かっていることです。」と言う。

 これほど不遜な言い種もない。

 では三橋は己の言論にどういう責任を取るのだ。

 もし三橋の種子法の理解が間違っており、「モンサント法」のレッテル貼りが不当だった場合、三橋は何か責任を取るのだろうか。勉強した上で間違えるのは仕方ないところがあるとしても、三橋は本当に種子法の勉強をしたのだろうか。無責任な放言を疑う。

 在野の評論家こそ本質的に発言に無責任なのだ。政策提言と称して外野で好き勝手を言い、それが間違っていても責任を取らされることなどない。分析・予想を間違えても不良品だとして返品されることもないし、資格・公職等の地位を剥奪されるということもない。責任を負わないという分を弁えつつ、無責任な放言に堕さないようきちんと勉強して言論を磨くのが、プロの評論家の嗜みや品格であろう。三橋からはそういう姿勢が感じられないし、彼が声を荒げれば荒げるほど、読者の思考を深める評論ではなくて思考を停止させる煽動だという感が深まり、「食の安全」に絡めれば、食品偽装ならぬ評論偽装の感が深まる。

 三橋がそこまで規制改革推進会議に怒りを燃やすなら、農協改革論を含めて、同会議の本間正義氏にでも公開討論を申し込んだらよいのではなかろうか。責任ある言論を自負する三橋であれば、本間氏など簡単に論破できるであろう。私としては、三橋を盲信するのではなく、本間氏が「農業問題」をどう考えているのかを知った方がよいと思う。

 また、「実質賃金ガー!」の責任はどうなった。あれは主張自体が不当であるのみならず、かつての三橋読者に対する裏切りでもある(http://ur0.biz/CQqPhttp://ur0.biz/CQqR)。上念司氏は公開討論を希望しているし、小川榮太郞氏は司会を引き受けてよいと言っている。そんなに責任ある言論を自負しているのなら、上念氏など論破できるだろうし、三橋は討論に応じたらよいのではないか。

 それに、三橋の記事にはモンサントへの恐怖を煽る無責任な誹謗中傷が含まれているのではないか(http://u0u1.net/CPDMhttp://ur0.biz/CQqe)。三橋はモンサントによる種子の支配の恐怖を煽るが(http://ur0.biz/CQQz)、独禁法などの規制がある以上、それは無理だと思われる(http://u0u1.net/CPDMの7番目)。食料安全保障を崩壊させてまでモンサントを儲けさせようという安倍政権の動機も不明だ。

 

 

 

「【榮チャンネル】第2回「上念司氏に聞く アベノミクスと日本経済」」 YouTube2014年12月1日

http://ur0.biz/CQsR

 

 

 

 

 三橋が最近になって種子法廃止についてこれだけ騒ぐことにも違和感をおぼえる。

 三橋は昨年11月、規制改革推進会議の「農協改革に関する意見」を批判した(http://ur0.biz/CQqY)。

 他方、同会議では、昨年10月から既に種子法廃止が議論されている(http://ur0.biz/CQql)。今年最初の1月30日の会議に到っては、議事次第の「資料」の中に「主要農作物種子法を廃止する法律案の骨子(農林水産省提出資料)」があり、議事次第しか見ていなくても、遅くともこの時点で種子法廃止の動きには気がつくはずだ(http://ur0.biz/CQqp)。

 同会議の議事録・議事次第を読んでいたならば、三橋は、早ければ昨年10月、遅くとも今年1月末には種子法廃止の動きに気がつき、この時点で問題提起できたはずだ。ていうか、産経新聞が1月9日に種子法廃止法案の国会提出を報じており、一次情報を見なくてもこの時点で気づくことができる(http://ur0.biz/CQqt)。

 三橋はなぜ今頃になって騒ぐのだろう。

 ひょっとして三橋は規制改革推進会議の議事録等をろくに読まずに同会議を批判していたのではないか。そんな疑問が浮かんでくる。

 

 

 

 「我が国は、狂っています。」

 その言葉、三橋にそっくりそのまま返したい。

 三橋はもはや「レッドカード」であろう(http://ur0.biz/CQr4)。大衆を煽動する者をデマゴーグというのならば、三橋はデマにあたると私は思う。

 根拠の不確かな主張を怒り狂って喚き、人々を煽動する。三橋は正常な評論を逸脱しており、経済評論家ならぬ煽動芸人の有様ではないか。

 仮に三橋の、いわば「モンサント法亡国論」に強い説得力があるのならば、チャンネル桜が「モンサント法亡国論」キャンペーンを張ると思う。しかし、今のところそういう動きは見られない。三橋の話を聞いて種子法廃止に不安を感じた人は、そういう状況を思い起こして冷静になってほしい。

 種子法廃止に反対すること自体は構わない。賛否両論あり得ると思う。

 しかし、三橋が種子法を正しく理解しているのか非常に疑わしく、彼に煽動されないよう注意すべきだと私は思う。

 

 

 

 私はもともと「情報の歪み」を正すと言う三橋を応援したく思い、アメブロに登録した(http://urx2.nu/CS79)。

 三橋がこんな酷く歪んだ有様になってしまったことを残念に思う(http://urx2.nu/CS8thttp://urx2.nu/CS9H)。