しかし、古い本など書店にはあまり置いていないし、古書店にも目当ての本が置いてあるとは限らないし、置いてあっても高額だったりする。
公立の図書館でも、専門書の類いの品揃えが薄いということはままある。
ふと思ったのだが、大学図書館に行けばいいのではないか。
そこで、某大学の図書館の利用者登録をした(無料)。
学園祭が近づくと「秘密保護法反対」の幟が立ちまくる赤デミズム溢れる極左大学だが。
他にすることがあるのでしばらくは本格的な本を読むつもりもないのだが、書架をいろいろと眺めてはいる。
「こんな本があるのか」と、意外な本がたくさんある。
中でも、官公庁が出している本は、あまり知られていないのではないかと思う。
倉山満氏が「財務省の近現代史」を解説する時、大蔵省がまとめた自省に関する歴史書を引いていたが、私にとっては官公庁が歴史書を書いていること自体を知らず、驚きだった。
「官公庁がこんな本を出していたのか」とちょっと興味を引かれたのがこれ。
公安調査庁が、「戦前における右翼団体の状況」という全4巻の本を出していた。
「左翼」ではなく「右翼」である。
右翼団体も監視対象になっている。
公安調査庁のHPを見てみたら、右翼団体の動向についても資料が公表されていた(http://www.moj.go.jp/content/000105422.pdf)。
今まで気にしたことがなかった。
目次を見てみると、幾多の右翼団体が出てくる。
その中で意外なのが、社会主義を標榜している団体があることだ。
社会主義を掲げているけど右翼なのである。
館内を歩いていると、北一輝に関する本がたくさんあったように思う。
北一輝は右翼だと思われているようだが、その主張は社会主義である(上念司「日本再生を妨げる売国経済論の正体」(2011年、徳間書店)185ページ。「国粋主義を偽装した社会主義」。大川周明も同じ。同192ページ)。
本質を見抜かないととんでもないところに誘導される。
保守言論人から、「日中戦争は誤りだ。正しくは支那事変だ。」という指摘がなされることがよくある(倉山満「嘘だらけの日中近現代史」(扶桑社、2013年)195~198ページなど)。
先の大戦においては、戦線の拡大に伴い、「北支事変」「支那事変」「大東亜戦争(に含まれる支那戦線)」と呼称を変えていった。
「日中戦争」とは呼ばれていなかった。
正しい指摘だと思うが、なかなか広まらない。
外務省が出している「日本外交文書」という本に、こんな副題がついていた。
「日中戦争」の語を使っている。
日中戦争の呼称は、今の政府公式見解になっている模様だ。
ここを改める必要があると感じる。
これも戦後レジームの1つの現れだろう。
この本には外交文書が掲載されているのだが、確か、原本の複写ではなく、活字に直されていたと思う(原本も活字かもしれないが)。
これでも問題ないように思われるが、しかし、誰の自筆かがわかりにくいかもしれない。
文書から事実を認定するにあたっては、誰が書いたのかが重要だ(http://youtu.be/FVr38uBZChw?t=7m18s参照)。
研究者はこういう本を読んでいるのかと、その一端が感じられた。
なお、国立国会図書館のHPでも様々な古い本を読むことができる(http://kindai.ndl.go.jp/)。
アマゾンのキンドルでも往年の名作が無料で読める。
電子機器の画面を見続けるのは目に悪いような気もするが。
一応、お金をかけなくてもいろいろな本を読む手段はある。
話は変わるが、この大学の近くには公営のスポーツセンターがある。
トレーニング室の利用料金を見てみたら格安だった。
某大手私営ジムの10分の1だった。
おそらく、市民が健康を増進することにより、医療費を削減できるという考えがあるのだろう。
私塾や私営ジムの方が効率よく自己を発達させられることは間違いない。
しかし、お金をかけずに公営の施設を利用してもある程度のことはできる。
一度見てみることをおすすめしたい。