【書籍紹介】日本の決意【これからの日本】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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安倍晋三「日本の決意」(新潮社、平成26年)


日本の決意/新潮社
¥1,296
Amazon.co.jp



◆◆◆ 出版社による紹介 ◆◆◆

https://www.shinchosha.co.jp/book/335591/

<著者>

安倍晋三/著
アベ・シンゾウ

1954年生まれ。第90代、第96代内閣総理大臣。衆議院議員。成蹊大学を卒業後、神戸製鋼所勤務を経て、外務大臣秘書官に。1993年に衆議院議員に初当選。以来、連続7回当選。内閣官房副長官、自由民主党幹事長、内閣官房長官を経て、2006年に総理大臣に就任。2012年に総理大臣復帰を果たす。

<内容>

日本の総理大臣が世界に発していたのは、かくも感動的なメッセージだった!

「古い日本を新しく、新しい日本を強くする」。安倍総理の世界に向けたメッセージには、日本が進むべき道を示す確かな指針がある。ワシントンでの日本の復活宣言、アジア諸国に対する外交新5原則、積極的平和主義への決意、そしてオリンピック招致演説まで──。総理就任以来の主要外交スピーチを一挙掲載。

<目次>

I 日本の決意
i 日本は戻ってきました
ii 積極的平和主義の国に
iii バイ・マイ・アベノミクス
II 国を守る
i 「そのとき」に備えよ
ii 「現実」から目を背けるなかれ
iii 国民のための自衛隊
iv 日英関係はア・プリオリのパートナーシップ
III アジアの未来
i 開かれた、海の恵み 日本外交の新たな5原則
ii アジアの未来
iii 「3つのP」を共有しよう
iv The power of dreams
IV 普遍的価値を求めて
i トルコとの協力は青天井
ii イスタンブールにありがとう
iii カタールがくれたエネルギー
iv UAEとの重層的パートナーシップ
v 共生・共栄・協働がつくる新時代の日本・中東関係
vi 日露関係の強化に向けての経済協力について
vii まさかの時の友が真の友
viii 二つの海の交わり
V 希望の大地・アフリカ
i 何よりも人材の育成を
ii 農民の懐を豊かにする農業へ
iii 「一人、ひとり」を強くする日本のアフリカ外交
VI もっと魅力ある国へ
i 東京にオリンピックを!
ii 新しい日本から、新しいビジョン
iii 世界遺産・和食の魅力
iv 女性が輝く社会をつくる
v 取るべき道は、一つしかない
vi 御霊安らかなれ
vii もっと美しい国へ



◆◆◆ 私の感想等 ◆◆◆



 本書は、安倍晋三内閣総理大臣のスピーチ集である。
 正直、読み物としてはおもしろくない。
 出版社は、「感動的なメッセージ」と言うが、感動的な部分もあれば、不安を感じる部分もある。
 しかし、安倍総理の、特に外国で行ったスピーチは、今後、安倍内閣がどのように政権運営をするのかを考える上で、大事な材料である。



 上記の目次に、ページ数と、いつどこで行われたスピーチかを付記する。
 これで使いやすくなるはずである。



I 日本の決意(11ページ)
 i 日本は戻ってきました(13ページ)/平成25年2月22日 米 CSISでの政策スピーチ
 ii 積極的平和主義の国に(21ページ)/平成25年9月25日 ハーマン・カーン賞受賞に際してのスピーチ
 iii バイ・マイ・アベノミクス(28ページ)/平成25年9月25日 ニューヨーク証券取引所でのスピーチ
II 国を守る(39ページ)
 i 「そのとき」に備えよ(41ページ)/平成25年3月17日 平成24年度防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示
 ii 「現実」から目を背けるなかれ(46ページ)/平成25年9月12日 第四十八回自衛隊高級幹部会同 内閣総理大臣訓示
 iii 国民のための自衛隊(52ページ)/平成25年10月27日 自衛隊記念日観閲式 内閣総理大臣訓示
 iv 日英関係はア・プリオリのパートナーシップ(59ページ)/平成25年9月30日 日英安全保障協力会議でのスピーチ
III アジアの未来(67ページ)
 i 開かれた、海の恵み 日本外交の新たな5原則(69ページ)/このスピーチは、平成25年1月18日にジャカルタで行う予定であったが、安倍総理がアルジェリアでの邦人拘束事案について直接指揮をとるため、予定を早めて帰国することとなったことにより、行われなかったもの。
 ii アジアの未来(83ページ)/平成25年5月23日 第19回国際交流会議「アジアの未来」スピーチ
 iii 「3つのP」を共有しよう(92ページ)/平成25年10月7日 インドネシア APEC・CEOサミット基調講演
 iv The power of dreams(101ページ)/平成25年7月26日 「日本とASEAN・Always in tandem 『3本の矢』で一層のWin-Win関係へ」に関する講演 シンガポール
IV 普遍的価値を求めて(115ページ)
 i トルコとの協力は青天井(117ページ)/平成25年5月3日 日トルコ経済合同委員会における挨拶
 ii イスタンブールにありがとう(121ページ)/平成25年10月29日 マルマライ・プロジェクト開通式典におけるスピーチ
 iii カタールがくれたエネルギー(124ページ)/平成25年8月28日 日本・カタール・ビジネスフォーラムにおける挨拶
 iv UAEとの重層的パートナーシップ(128ページ)/平成25年5月2日 アラブ首長国連邦 日UAEビジネス・フォーラムにおけるスピーチ
 v 共生・共栄・協働がつくる新時代の日本・中東関係(132ページ)/平成25年5月1日 サウジアラビア キング・アブドルアジーズ大学
 vi 日露関係の強化に向けての経済協力について(142ページ)/平成25年4月30日 モスクワ 日露フォーラムにおけるスピーチ
 vii まさかの時の友が真の友(145ページ)/平成25年3月30日 ウランバートル・同国迎賓館 アルタンホヤグ同国首相主催晩餐会における挨拶
 viii 二つの海の交わり(149ページ)/平成19年8月22日 インド国会での演説(この演説は、第一次安倍政権時になされたものである)
V 希望の大地・アフリカ(163ページ)
 i 何よりも人材の育成を(165ページ)/平成25年6月1日 TICAD V開会式におけるオープニングスピーチ
 ii 農民の懐を豊かにする農業へ(175ページ)/平成25年9月26日 国連本部 日アフリカ地域経済共同体(RECs レックス)議長国首脳会合におけるスピーチ
 iii 「一人、ひとり」を強くする日本のアフリカ外交(179ページ)/平成26年1月14日 エチオピア アジスアベバ
VI もっと魅力ある国へ(191ページ)
 i 東京にオリンピックを!(193ページ)/平成25年9月7日 ブエノスアイレス IOC総会における安倍総理プレゼンテーション
 ii 新しい日本から、新しいビジョン(197ページ)/平成26年1月22日 スイス ダボス 世界経済フォーラム年次会議冒頭演説
 iii 世界遺産・和食の魅力(204ページ)/平成25年6月15日 ワルシャワ エンジョイ和食レセプションにおける挨拶
 iv 女性が輝く社会をつくる(206ページ)/平成25年9月26日 第68回国連総会における一般討論演説
 v 取るべき道は、一つしかない(218ページ)/平成25年6月19日 ロンドン ギルドホール 安倍総理大臣・経済政策に関する講演
 vi 御霊安らかなれ(229ページ)/平成25年12月26日 靖国神社参拝後の談話
 vii もっと美しい国へ(231ページ)/平成25年4月28日 主権回復・国際社会復帰を祈念する式典 内閣総理大臣式辞



 時系列順に並べるとこうなる。



<1>二つの海の交わり(149ページ)/平成19年8月22日 インド国会での演説(この演説は、第一次安倍政権時になされたものである)
<2>開かれた、海の恵み 日本外交の新たな5原則(69ページ)/このスピーチは、平成25年1月18日にジャカルタで行う予定であったが、安倍総理がアルジェリアでの邦人拘束事案について直接指揮をとるため、予定を早めて帰国することとなったことにより、行われなかったもの。
<3>日本は戻ってきました(13ページ)/平成25年2月22日 米 CSISでの政策スピーチ
<4>「そのとき」に備えよ(41ページ)/平成25年3月17日 平成24年度防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示
<5>まさかの時の友が真の友(145ページ)/平成25年3月30日 ウランバートル・同国迎賓館 アルタンホヤグ同国首相主催晩餐会における挨拶
<6>もっと美しい国へ(231ページ)/平成25年4月28日 主権回復・国際社会復帰を祈念する式典 内閣総理大臣式辞
<7>日露関係の強化に向けての経済協力について(142ページ)/平成25年4月30日 モスクワ 日露フォーラムにおけるスピーチ
<8>共生・共栄・協働がつくる新時代の日本・中東関係(132ページ)/平成25年5月1日 サウジアラビア キング・アブドルアジーズ大学
<9>UAEとの重層的パートナーシップ(128ページ)/平成25年5月2日 アラブ首長国連邦 日UAEビジネス・フォーラムにおけるスピーチ
<10>トルコとの協力は青天井(117ページ)/平成25年5月3日 日トルコ経済合同委員会における挨拶
<11>アジアの未来(83ページ)/平成25年5月23日 第19回国際交流会議「アジアの未来」スピーチ
<12>何よりも人材の育成を(165ページ)/平成25年6月1日 TICAD V開会式におけるオープニングスピーチ
<13>世界遺産・和食の魅力(204ページ)/平成25年6月15日 ワルシャワ エンジョイ和食レセプションにおける挨拶
<14>取るべき道は、一つしかない(218ページ)/平成25年6月19日 ロンドン ギルドホール 安倍総理大臣・経済政策に関する講演
<15>The power of dreams(101ページ)/平成25年7月26日 「日本とASEAN・Always in tandem 『3本の矢』で一層のWin-Win関係へ」に関する講演 シンガポール
<16>カタールがくれたエネルギー(124ページ)/平成25年8月28日 日本・カタール・ビジネスフォーラムにおける挨拶
<17>東京にオリンピックを!(193ページ)/平成25年9月7日 ブエノスアイレス IOC総会における安倍総理プレゼンテーション
<18>「現実」から目を背けるなかれ(46ページ)/平成25年9月12日 第四十八回自衛隊高級幹部会同 内閣総理大臣訓示
<19>積極的平和主義の国に(21ページ)/平成25年9月25日 ハーマン・カーン賞受賞に際してのスピーチ
<20>バイ・マイ・アベノミクス(28ページ)/平成25年9月25日 ニューヨーク証券取引所でのスピーチ
<21>農民の懐を豊かにする農業へ(175ページ)/平成25年9月26日 国連本部 日アフリカ地域経済共同体(RECs レックス)議長国首脳会合におけるスピーチ
<22>女性が輝く社会をつくる(206ページ)/平成25年9月26日 第68回国連総会における一般討論演説
<23>日英関係はア・プリオリのパートナーシップ(59ページ)/平成25年9月30日 日英安全保障協力会議でのスピーチ
<24>「3つのP」を共有しよう(92ページ)/平成25年10月7日 インドネシア APEC・CEOサミット基調講演
<25>国民のための自衛隊(52ページ)/平成25年10月27日 自衛隊記念日観閲式 内閣総理大臣訓示
<26>イスタンブールにありがとう(121ページ)/平成25年10月29日 マルマライ・プロジェクト開通式典におけるスピーチ
<27>御霊安らかなれ(229ページ)/平成25年12月26日 靖国神社参拝後の談話
<28>「一人、ひとり」を強くする日本のアフリカ外交(179ページ)/平成26年1月14日 エチオピア アジスアベバ
<29>新しい日本から、新しいビジョン(197ページ)/平成26年1月22日 スイス ダボス 世界経済フォーラム年次会議冒頭演説



 全体を通じての雑感。



●消費税増税前、消費税増税に積極的だとは思えない発言が見られる。つまり、デフレ脱却および経済成長を目指す強い意思表示をしている。消費税増税反対派は、このような安倍総理の発言を聞いて安心したものだ。
 ・「昨年、リチャード・アーミテージ、ジョゼフ・ナイ、マイケル・グリーンやほかのいろんな人たちが、日本についての報告を出しました。そこで彼らが問うたのは、日本はもしかして、二級国家になってしまうのだろうかということでした。アーミテージさん、わたしからお答えします。日本は今も、これからも、二級国家にはなりません。それが、ここでわたしがいちばん言いたかったことであります。」(13ページ、<3>)
 ・「デフレは、人々の、希望と、期待を、直接むしばむ病気です」(89ページ、<11>)
 ・「高橋是清」「が、才能をいかんなく発揮したのは、大恐慌が世界を襲った1930年代のことです。実行したのは、典型的な、ケインズ政策でした。ジョン・メイナード・ケインズが、「一般理論」を発表する5年前、高橋は1931年に、ケインズを先取りする政策を打ち、深刻なデフレから、日本を、世界に先駆けて救い出すことに成功したのです。高橋は、私を勇気づけてやまない先人です。」(218,219ページ、<14>)
 ・「デフレとは、だんだん体温が下がるような状態です。・・・こびりついたデフレ心理は、一気に吹き払わない限り、取れない」。「強い、政治的意思がなかったせいで、デフレは退治できなかった。」「私の経済政策とは、私の政治的意思に、裏打ちされています。」(219ページ、<14>)
 ・「まずは、成長です。そのための、「アベノミクス」です。そして財政再建です。」(226ページ、<14>)
 ・「成長なくして、財政再建なし。成長なくして、社会保障制度の維持なし」(103ページ、<15>)
 ・「投資を喚起するため、大胆な減税を断行します」(36ページ、<20>)

●消費税増税後、開き直ったような発言が見られる。
 ・「財政の健全化を図り、国の信認を維持することは、我が国が経済再生を進めていく上で不可欠です。財政再建は、私の成長戦略と車の両輪をなるものであります。同時に、消費税が上がったとしても、デフレ脱却のチャンスをより確実なものとする。」(93ページ、<24>)

●税制を使った日本経済の革新を目指すとのことである。
 ・「古いビジネスモデル、事業分野、設備は、集中して入れ替えが必要です。そのテコに、税制を活用します。日本企業に革新を促すため、税をインセンティブとして大胆に用いる。産業の新陳代謝による、成長力の強化。それが、私の目指しているところです。」(93ページ、<24>)
 ・法人にかかる税金の体系も、国際相場に照らして競争的なものにしなければなりません。法人税率を、今年の4月から、2.4%引き下げます。企業がためたキャッシュを設備投資、研究開発、賃金引上げへ振り向かせるため、異次元の税制措置を断行します。本年、さらなる法人税改革に着手いたします。」(200ページ、<29>)

●女性の力の活用(ウィメノミクス)に強い意欲を示している。
 34ページ<20>、66ページ<23>、76ページ<2>、186ページ<28>、200ページ<29>、224ページ<14>

●TPPを経済政策の中心に据えている。なお、私が見た限り、日中韓FTAについては言及がなく、軽視している模様。
 ・「ではいかにして、成長を図るのか。国を開くこと、日本の市場を、オープンにすることです。これは、政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学でした。7年前に総理となったとき、私は、日本とASEANのEPAを締結するよう、交渉を急がせました。今回、再び総理となって最初の課題が、米国を中心とするTPP、そしてEUとのEPAに、果たして乗り出すべきか否かでした。TPPへの反対は、自民党を支持した皆さんにもありました。私は、全力で、説得しました。そのうえで、交渉参加に断を下しました。私が追い求める日本とは、世界に対してどこまでも、広々と、オープンにつながる日本です。日本の再興に必要なものは、古い日本を新しくし、新しい日本をもっと強くする、強力な触媒です。対日直接投資に、その期待がかかります。」(221ページ、<14>)
 ・「必要なのは、規制の大胆な改革です。TPP交渉のような、外部からの触媒です。国境を越え、経済圏をまたいだ、ダイナミックな、「競争」と「協調」による、新しい付加価値の創造です。そしてそれには、既得権益に立ち向かう、強い政治力を必要とします。今度の選挙で、私たちはようやく、政治と、経済を、良い方へ、良い方へ、回していくきっかけを、つかんだのだと思います。あとは、実行あるのみ。」(104ページ、<15>)
 ・「これからの、インド・太平洋の世紀を、日本と米国は一緒になって、引っ張っていくべきであると私は信じております。目指すのは、自由、民主主義、人権、そしてルールに基づく秩序を尊ぶ世紀です。TPPとは、その背骨をなすものです。だからこそ、私は、TPPの交渉に参加しなくてはならないのだと、決意をしたのです。」(23ページ、<19>)
 ・「世界の成長センターであるアジア・太平洋。その中にあって、日本とアメリカは、自由、基本的人権、法の支配といった価値観を共有し、共に経済発展してきました。その両国が、TPPをつくるのは、歴史の必然です。」(33,34ページ、<20>)
 ・「共に進歩し、繁栄する。そのための土俵づくりこそが、TPPであり、RCEPであると考えます。その先にあるFTAAPは、もはや絵物語ではありません。APECが築き上げた歴史と成功は、私たちを勇気づけてくれます。」(99ページ、<24>)
 ・「TPPは、私の経済政策を支える支柱です。欧州とのEPAも進めます。日本はこれから、グローバルな知の流れ、貿易のフロー、投資の流れに、もっとはるかに、深く組み込まれた経済になります。外国の企業・人が、最も仕事をしやすい国に、日本は変わっていきます。」(199ページ、<29>)

●電力自由化に強い意欲を示している。
 ・「日本でも、つい先日、半世紀以上続いた市場の寡占に終止符を打ち、電力市場の自由化と、送配電の分離を進める意思決定をしたのです。」(222ページ、<14>)
 ・日本のエネルギー技術は、ポテンシャルの塊です。だからこそ、私は、電力システム改革を進めます。こうしたダイナミックなイノベーションを、もっと加速していくために、電力自由化を成し遂げて、日本のエネルギー市場を大転換していきます。」(32ページ、<20>)
 ・「電力市場を、完全に自由化します。2020年、東京でオリンピック選手たちが競い合うコロには、日本の電力市場は、発送電を分離し、発電、小売りとも、完全に競争的な市場になっています。」(198ページ、<29>)

●成長戦略は規制改革であり、安倍総理は「岩盤規制」を砕く「ドリルの刃」になる所存。
 93ページ<24>、105ページ<15>、199ページ<29>、228ページ<14>

●インド洋から太平洋にかけての海洋安全保障を重視している。
 56ページ<25>、155ページ<1>、202ページ<29>、209ページ<22>

●東南アジア・アフリカに対するインフラ整備等の支援に積極的である。
 96ページ<24>、108ページ<15>、158ページ<1>、167ページ<12>、180ページ<28>

●東南アジア・中東・アフリカとの人材交流に積極的である。
 80ページ<2>、129ページ<9>、139,140ページ<8>、168ページ<12>、185ページ<28>

●拉致問題の解決なくして北朝鮮には援助も国交樹立もあり得ない。
 15ページ<3>、209ページ<22>

●名指しはしないが、国際社会に向けて、中国の、周辺国への侵略を非難する発言をしている。
 73ページ<2>、203ページ<29>

●国連安保理常任理事国入りに意欲を見せる(211ページ、<22>)。東南アジア・中東・アフリカ諸国への援助は、その布石だと思われる。しかし、同じ演説で、「原子爆弾の惨禍を知る我が国は、核軍縮と不拡散、ひいては核廃絶に、ひたすら貢献します。」(209ページ、<22>)とも言っている。核武装せず、核抑止力を持たず、常任理事国になることなど可能なのだろうか(田母神俊雄「日本核武装計画」(祥伝社、平成25年)30ページ以下参照)。

●「日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも堅持してまいります」(49ページ、<18>)が気にかかる。「日本は、不戦の誓いを立てた国です」(203ページ<29>)とも言うが、「不戦の誓い」とは何なのだろうか。「国民のための自衛隊」(58ページ、<25>)という言い回しも気になる。自衛隊は、もともとは警察予備隊であり、「国民のための」と言うこともできるのだろうが、軍隊は国家を守るものであり、日本の場合、究極的に言えば、天皇を守るものであるはずだ。こんなことを言っていて本当に憲法改正は大丈夫なのだろうか。

●「わが国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対し、多大の損害と、苦痛を与えました。そのことに対する痛切な反省が、戦後日本の原点でした。」(87ページ、<11>)とのことだが、安倍総理は大東亜戦争をどのように理解しているのだろうか。これは安倍総理が問題視する自虐史観ではないのか。なお、安倍総理は、第一次安倍内閣のときも、同旨の発言をしている(http://p.tl/sGVB)。

●「世界のトップクラス入りを望む都市では、容積率規制がなくなります。文字通り、青空だけが限界です。」(199ページ、<29>)とのことだが、都市部の人口集中を解消するためにはむしろ容積率規制は必要で、とりわけ、首都直下地震が予測されている東京においては、容積率撤廃は逆効果ではないか(「藤井聡×赤沢亮正「真面目に危機を考えよ!」後編(築土構木の思想 第38回)」http://youtu.be/nTtAPKn_Fhc?t=1m57s、「「未来都市構想へのビジョンはあるの?」加藤晋さんからの質問」[西田昌司参議院議員]http://youtu.be/UN0aFjS4mhc?t=1m51s参照)。



 経済が衰退すれば「二級国家」への転落は免れない。そこで、安倍総理は「三本の矢」の経済政策(アベノミクス)を打ち出した。アベノミクスによって、日本経済は長期デフレ不況から脱するはずだった。しかし、安倍総理は、アベノミクスを腰折れさせる消費税増税を阻止することができなかった。日本が「二級国家」に転落しても構わないとする木下康司財務事務次官、恐るべし(http://www.kurayama.jp/modules/wordpress/index.php?p=1216参照)。
 あらためて発言を追ってみると、想像以上に、安倍総理はTPPを重視していた。西田昌司議員は、グローバル化促進が産業空洞化促進を引き起こすおそれがある旨を指摘しているが、同感である(西田昌司「総理への直言」(イースト・プレス、2013年)178ページ以下)。日本人が日本で日本人らしく生きていけるように、また、知的財産やノウハウを保護するように、政府はしっかりと交渉に臨んでほしい。
 安倍総理は、規制改革や税制改革などによってイノベーションを喚起し、潜在需要を掘り起こして経済成長を促進するという構想を持っているようだ(107ページ、<15>)。日本が「二級国家」で構わないと考える木下次官がいずれ日本銀行に天下りするのではないかと考えると、今のうちから日銀法改正をしておいた方がよいだろう。経済を安定させる上で、金融政策は重要である。
 電力自由化については、米国の失敗例を聞くところであり、不安を感じる。

 アフリカでは中国の影響力が強まっており、アフリカへのインフラ整備支援や人材交流は、中国の影響力を弱める意味を持つ。日本・ASEAN特別首脳会議においてはASEAN諸国に及んだ中国の影響力を弱めている(http://ameblo.jp/bj24649/entry-11817325583.html)。民主党政権外交では、あり得ない展開である。
 韓国はほぼ無視である。



 本書の書名「日本の決意」でGoogle検索をしてみたところ、安倍総理のホーム・ページに掲載されているメール・マガジンが引っかかった。
 見てみると、北朝鮮を非難するものだった(https://www.s-abe.or.jp/topics/mailmagazine/602)。