福岡のビジネス展「解決市場」「解決市場情報交流会」主催
株式会社セブンマーケット 代表取締役

内田幸雄



昭和38年北九州市生まれ。大学卒業後㈱USEN入社。営業責任者として17年奉職するが遂に会社から要らないと言われる(笑) 今考えると「自分がやりたいことしやらない。言い出したら聞かないわがまま課長」なので致し方ない。あれでは下に示しがつかない。

あーそうですか。わかりましたよと2003年なんの準備もなく独立。どんな企業も書店の店頭にチラシを置きたいはずだと考え、九州全域の書店にラックを設置するとこれが専門学校や旅行会社にバズる。

その翌年、大手通販会社から通販カタログの設置店開発を依頼される。イオングループなどのスーパーやドラッグの本部交渉を開始、九州だけだったつもりが全国展開となり、自分の会社なのにまた東京に転勤になる。


その後すかいらーく・オートバックスさんなどでも展開、通販カタログ以外の通信教育ガイドや求人誌・賃貸情報誌の取扱いが増え、気づいたら北海道から沖縄まで約1000社約30000店舗を販促チャネルとして企業に提供していた。

 

 



東日本大震災が起こる。人の命は儚い。すべての日本人が自分を見つめ直した。「絆と連帯」次の事業は社会性がある事業をと思い、当時就職氷河期だった大学生を支援することになった。それにはまずは彼らが社会人と話ができる様に鍛えることだと思い、大学生が企業に訪問配布するビジネスを発行する。

 

 



 

 

その間、某大学の人選ミスにより大学の非常勤講師も経験、就職氷河期が終わるまでの5年間で通算300人の学生の就活支援を行った。その後就職氷河期が終わりビジネス誌の発行動機がなくなったため廃刊を決め、最終号発刊の2019年の10月、最終号でインタビューを行った方々に登壇してもらうビジネス交流会を開催した。

メール配信一回で100名以上の来場登録があり会は盛況だった。コロナ前である。社長名刺をゲットしようと営業社員と参加したSaaSの上場企業の支店長から「社長これだけ集客できるなら僕らが営業できるような場を創ってもらえませんか」という声が上がった。その日が「解決市場」の出発点となった。

 

 



その声が上がった10月19日の帰路「解決市場」というキーワードが浮かんだ。検索しても出てこない。これはいける。その昔USENさんにて最大100人50班の営業部隊を家電店などの店頭ブースに毎週送り出す指揮官をしていた。

40社だろうが50社だろうが一か所でやるのであれば、首がかかっている部下のために毎週50会場を、土下座してでも確保して来たあの頃に比べれば出来ないはずがない。3月19日に開催することを決めて会場を予約した。

今考えてみるとビジネス展をやったことがない。ビックサイトも知らない。ビジネス展は新聞社がするものだと知らない。それを10月からの5カ月で出展企業を集めて集客しようというのだから狂気でしかない。ドンキホーテだ。しかし無知は最強で2か月で30社から出展予約を集めTVCMまで行った。

狂気は狂気を呼ぶ。出展社も集まった。あとは集客だけだ。でも広告を打てば必ず人が来るというわけではない。まずは自分が先頭に立って「鬼神も泣くくらいに死に物狂いでやらなければ、世間が応援してくれるはずがない」

 

そう思い、毎朝5時から一日1000社配布を目標にポスティングを行っていたのだが、お昼に入ったラーメン屋のTVで高島市長がマスク着用を訴えていた。コロナの発生である。開催直前に非常事態宣言が発令された。数百万円の打撃を被った。

 

 



しかしモノは考えようでコロナの間にDXの知識をつける時間をもらった。何よりコロナの間にテレワークが進みDXへのニーズが高まっていた。次はコロナがいつ終息して開催できるかである。

頑張りたいのに頑張れない。待つしかない日を過ごす中、元陸軍士官にて国鉄駅長だった父が「解決市場」の行く末を心配しながらも「お前なら大丈夫」と言いつつ旅立った。コロナの逼塞感が社会を覆う中、父は家族葬で静かに荼毘にふされた。

その間、某政党関係者や医療関係者から集まった情報では「非常事態宣言は衆院選があるので選挙運動期間は解除になる」逆算すると10月15日。会場が取れる日は10月19日。選挙が終わるとまた発令かもしれない。(実際にオミクロンが発生し開催14日後の11月から5月まで市場は閉ざされた) 

雨があがった一瞬を突くしかない。桶狭間である。前回開催実績のない「解決市場」の稟議を取ってくれた各社の支店長に連絡を取った。

弊社の目算では10月15日に非常事態宣言が解除されます。前回開催実績のない「解決市場」の稟議を取っていただきましたので10月19日に出展料不要の実証開催として開催したいと思います。僕が言う通り非常事態宣言が解除されたらご参加いただけますか?全社答えは「応」。「否」はなかった。誰もが普通に営業ができない状態に嫌気がさしていた。

 

 

 


10月15日非常事態宣言は解除となった。10月19日初開催。会場に人が溢れた。来場者も出展者もみんな笑顔だった。窓の外では選挙カーが走り回っていた。以降2022年の6月からの18ヶ月で関連展も含めて6開催・年に4回のペースで開催を続け「解決市場」は今日に至っている。

 

 

 

 


何度もの危機を切り抜けた「解決市場」は、その前の7年間でひとりひとりの相談に乗りながら励ました学生たちからのギフトではないかと思う。そのきっかけとなった東日本大震災ですべての日本人が思い起した「絆と連帯」をテーマとした新しい場を創りたいと思い、2024年は企業と企業が連帯して助け合うもうひとつの「解決市場」を創ろうと心に決めた。

 

 






2024年1月から新開催の「解決市場情報交流会」は、企業間の友好と協業を図る場、もうひとつの「解決市場」として毎回平均20社の新参加をいただき、参加者が互いのビジネスを理解しその頑張りにエールを送り、横の連携を深める場となったようだ。
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