コラムニストの尾藤克之です。
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日常生活の中で、われわれは突如としてトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。電車内でのトラブルなどはその典型とも言えます。各鉄道会社は対応マニュアルを用意しているようですが、とばっちりを受けた方はたまったものではありません。
■駅長室ってどんな場所なの?
今から10年以上前の出来事です。JR山手線で新宿駅から池袋駅に向かう際の出来事になります。当日は雨が降っていました。時間は20時ごろで、比較的空いていたのを覚えています。私はつり革につかまっていました。池袋駅に到着すると女性に声を掛けられました。
当日使用していたのはゼロハリバートンのジェラルミン製アタッシュケースです。当たれば相当痛そうですが、私は何かにぶつけたような覚えなどありません。
口論になりそうだったので、ホームに降りることにしました。女性が駅長室に行きたいと言うのでそのまま駅長室に入っていきました。駅長室には駅員が1名いました。
そう言うと、女性はおもむろにケータイを取り出しました。
遅刻の言い訳の材料に使われようとしていることに気付いた私も少しだけ挑発的な言葉使いをしてしまいました。
すると、女性は、言葉にすることもはばかるような汚い言葉を吐いて、駅長室を飛び出していったのです。
■駅員の対応を整理します
当時の私は、駅長室が「えん罪の温床」になる可能性を知りません。ただ、何らかのマニュアルは存在したと思います。駅員は最初1名でしたが、4名が駆け込むように入っていたからです。逃走防止の意味もあったのでしょう。
次に駅員のヒアリングですが、まったく“中立”ではありませんでした。最初から女性に「何をされたんですか?」という聞き方だったので、強い違和感を覚えました。
マニュアルに「女性の意見を優先して聞くように」とでも書いてあるのでしょうか。気の弱い人であれば、そのまま警察署に連行されて「終了」だったと思います。鉄道会社は、マニュアルが存在するのであれば公開すべきではないでしょうか。
しかも、私が手に持っているカバンがどのようにして女性の顔に当たったのか、摩訶不思議ではありますが、その点について、聞き取りなどは一切ありませんでした。まったくもってふざけた対応だったように思います。
この日は結局、被害を訴えた本人がいなくなってしまったので、それ以上質問されることもなく、すぐに駅長室を出ました。
釈然としなかったので、駅長室を出る前に名刺を渡し、精査し報告が欲しい旨を駅長に伝えました。それからかなりの年月が経過しますが連絡はありません。たまに思い出して、JR東日本にウェブから連絡していますが一度も回答がありません。
■駅長室へは行ってはいけない
当日は、友人と会食をする予定があったので、待ち合わせ場所に急いで向かいました。参加者の1名に法律に詳しい人がいたので事の経緯を説明しました。すると、きつく忠告をされました。「駅長室に行ったら、普通はそのまま警察に連行される」ということでした。
今後、同じような場面に遭遇したら、「駅長室には絶対行ってはいけない」「警察官による任意同行には応じない」「その場で弁護士に連絡する」。警察が強硬な姿勢なら、「特別公務員職権乱用罪で訴えると主張する」などでした。
理由はどうであれ、駅長室に連れて行かれれば“The END”なのでしょう。私はその後、10年くらい満員電車には乗っていません。早朝はラッシュ時を避けて、早く仕事に行くようにしています。夜は混んでいたらタクシーを利用するようにしています。
昨今、男女平等が叫ばれる世の中ですが、電車内ではまったく平等ではありません。トラブルに巻き込まれないためにも、車内では一層の緊張感を持ち続ける必要がありそうです。
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