<馬車道の不思議少年・翔:第2話>2
極端に人通りは少なかったが、その歩道の右側から、
バキーに赤ちゃんを乗せた婦人が進んでくるのが見えた。
左側からはスマホを見ながら歩いている男が見えた。
赤ちゃんは機嫌が悪いのかかなりぐずっているようで、
婦人はバギーを止めのぞき込んであやし始めた。
スマホに夢中の男には婦人とバギーは視野になかった。
ここまでは、どこでもよく見る日常的な風景だった。
次の瞬間、男はかなりの勢いでバギーにぶつかった。
反動で婦人はバギーから少し後ろに飛ばされ、
おしりから歩道に落ちて座り込むかっこうで止まった。
男は驚き、婦人に少し頭を下げたように見えた。
そしてバギーの方にもチラリと目を向けたが。
その後は何事もなかったかのように再び歩き始めた。
反対側の歩道からあっけにとられて見ていた女は、
さらに続いて信じられない光景を見ることになった。
婦人の手から離れて止まっていたように見えたバギーは、
するすると車道に向かって動き、かなり加速し始めた。
婦人があわてて起き上がってバギーに向かったが、
最早、車との激突は避けられないように思われた。
(記 原田修二)
■次回は1/5 <馬車道の不思議少年・翔:第2話>3