穏やか緑園の「横浜ネット倉庫」 -69ページ目

<馬車道の不思議少年・翔:第2話>5

「会社を辞めたって聞いたけど。」
「上司からはパワハラ、年下の先輩からはイジメ。
随分我慢しましたけど、もう限界でした。
叔母さんにはいろいろお世話になり申し訳ありません。」
「これからどうするの。」
「気持ちの整理がついていないので、
落ち着けばまた職探しします。」

「入試に落ちて浪人し、就職した証券会社は2年で倒産。
次の会社は人間関係の問題で1年ももたなかった。
あなたは大変。あなたのお母さんも大変。」
「まあ、そういうことです。私の人生はよくよくついてない。」
「人生は何とかなると思えば何とかなるものなの。
あのね、会社を辞めたということでは私の方が先輩。
もっとも私は10年間ほど勤めたけど。」

しばらく二人は食事に専念し、
今度は女の方から切り出した。

「叔母さんが辞めたのはやはり家庭との両立のこと?」

「それはそれで大変だったけれど、
家庭のことも、子育てのことも何とかやってきた。」
「それじゃ私と同じような理由?」
「近いけど正しくはない。理由は仕事そのもの。
小さな広告会社で、やりがいのある会社だった。
けど結婚して、出産してからは何か変わってしまった。」

初めて聞く叔母さんの苦労話に女は興味津々となった。

 (記 原田修二)

■次回は1/26 <馬車道の不思議少年・翔:第2話>6