穏やか緑園の「横浜ネット倉庫」 -62ページ目

<馬車道の不思議少年・翔>4

「それでおもちゃを注文したことある?」男は少年に問いかけた。
「うん、何度か。」少年から予想外の答えが返ってきた。

男は嬉しさ半分、驚き半分でなおも尋ねた。
「難しくないの?」

「難しいよ。僕はおもちゃを選ぶだけ。あとはママ。」
「お母さんは今日どこ?」
「ママは仕事。忙しいから、おもちゃはいつもこれで。」

男には状況が呑み込めてきた。
少年のお母さんは仕事が忙しくて二人で買い物の時間が持てない。
それでおもちゃもネット販売を利用しているが、
何を買うかは子供にサイトで捜させることで、さらに時間を節約している。

「それは使いやすい?」思い切って少年に尋ねてみた。
「使いやすくはないよ。難しい漢字ばっかり。」
いきなりの鋭い指摘が男の心にぐさりとささった。
「本屋さんのネットみたいで面白くない。」

「それに・・・」少年はさらに話を続けた。
「ママが一緒に見てくれないから僕が選ぶけど、
選んでからもなかなか見てくれない。」

「それはどういうこと?」
「ママは帰ると皆の食事、風呂、掃除、それから自分のスマホ。」
「それは大変だ。」
「おもちゃを選んでもこれを開けてくれない。」とタブレットを指差した。

自社の販売サイトを実際に使っているこの少年に
もう少し話を聞く必要がありそうだ、と男は思った。

(記 原田修二)

■続きは12/8 <馬車道の不思議少年・翔>5