円谷英明さんが著された「ウルトラマンが泣いている」というショッキングなタイトルの本が話題になっています。
「ぜひ読んでほしい」と僕のもとにも届きました。
何度も頷いたり、声を上げたり、笑ったりしながら読み、最後に泣きました。
ほぼ僕らと同世代(5歳ほど年上)の円谷英明さんの子供時代からの円谷プロとの関わりがセキララに書かれています。
いわゆる暴露本と呼ばれるジャンルのものなんですが、円谷英二の孫であり、円谷浩さんのお兄さんである英明さんが語る…決して悪意を持って書かれたものではないと感じました。
円谷一族の中で唯一の理工系だという英明さんが経理的な面から書かれたビジネス書でもあると思います。
本文中「仮面天使ロゼッタ」の名前と共に登場する円谷映像は僕も何年かご一緒させて頂いた会社であり、代表をされていた円谷粲さんにはその後もいろいろお世話になりました。
英明さんには一度しかお会いしてないですが粲さんは平山亨先生と共に、ずっと師匠だと思っている方であり、モノ(映像)づくりの大変さ、難しさ、そして楽しさを教えてもらいました。
円谷家のお家騒動に関しては僕は傍観者でしかなく、どこまで本当の事か、誰が悪いのかなどにも興味はないんですが、今の円谷プロがかつての円谷プロではなくなっている…のは遠くからみていても感じました。その是非はともかくとして、個人的には会社が続いていく事よりも、作品が続いていく事の方が、僕は大事だと感じています。
作品は作り手(あまつさえ会社)のものではなく、最終的には視聴者やお客さんのものだと思うから。
最終章にあたる「中国事業への挑戦」は今の僕にとっていちばんリアルな話。
とても共感しながら読みました。
詳しくはぜひ本書を読んで頂きたいのですが、僕が中国へ来て以来直面した問題や、今も継続している問題に近い事も話題にされています。
もう他人事とは思えず、涙なしでは読めませんでした。
ただ、いちばん違うのは、既に映像業界から完全に退かれているという英明さんと違い、僕はまだ中国でその渦中にある、という事。
そして僕は、もともとお家騒動になるような家名などない、後ろ盾も資金も何もないところからのスタートでした。
この書を「一番の参考書」にしながら、僕はまだまだこの理不尽な国で戦い続けます。