読書感想文① 万能鑑定士Q | 監督ブログ  wecker

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「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

わが街広州には春がありません。

昨日まで真冬の寒さだったのに、今日はいきなり28°ですよ!

沖縄より南に位置するので南国であるには違いないんですが。


さて、天気の話題ぐらいしか(笑)、こっちでの事を書けないので予告通り読書感想文を。


今回は角川文庫書下ろしの松岡圭祐著『万能鑑定士Qの事件簿』シリーズ。

松岡圭祐といえば、東宝映画にもなった『催眠』の原作の人。映画は観たけど、さほど印象に残らなかったので原作は読まなかった。他には『千里眼シリーズ』が有名だが、これも2冊ほど読んだけど、特に全シリーズ読みたいとは思わなかった。…ので、完全に衝動買い。


1年を待たず書下ろし12巻刊行、累計200万部という事なので僕がおススメするまでもないベストセラーな訳ですが、僕が最初に買ったのは「推理劇」という新シリーズ。


鑑定士を営む主人公(女性)が文字通り何でも鑑定し、事件に巻き込まれたり、巻き込んだりするお話なんですが

オビのアオリ通り書くと「面白くて知恵がつく人の死なないミステリ」その通りなんである。僕はまだ9巻までしか読んでない(中国に持ってきてない)けどホントに誰も死なない。主人公が死に直面したりもしない。もちろん何度か大ピンチには見舞われるが、少なくとも身体的危機は一度もない。


そもそも日本の推理ものは人が死にすぎるのである。人が死なないとお話が始まらない「名探偵コナン」が全世界的に子供に大人気とはいかがなものか、と常に思っていた。


最初に読んだ「推理劇」では角川書店の社内の様子が社長室に至るまでかなり忠実に描かれている。社長の井上伸一郎氏も実名で登場する(登場はいしてないか。実名が登場する)。

このお話の最初の事件は「ハルヒ対リリカルなのは」の原稿データが、発売前に盗まれるというものである。中国人を装う(笑)犯人(ありそうだし)。事件は思いがけない方向へ進んでいく(かのグル〇ルのような店に行きつく)のだが、「どこまでが事実で、どこまでがフィクションか」が分からなくなり、それが何より面白いのだ。

真贋を見分ける鑑定士が主人公なんだけど、作者はストーリーの中の出来事の真贋も読み手に推理させようとしているのか?と思ってしまう。


何より!

主人公の凛田莉子さんが、とても素敵!

クールビューティの美人さんで抜群の推理(鑑定)能力を誇るのだが、高校生までは愚鈍で天然だったという過去が明かされ(というか、もともとの「事件簿」第1巻でちゃんと順序だてて語られている)、余計素敵に見える。

決してツンデレなどという類型ではない!


まんまと作者の術中にハマっているのである。


このシリーズ、角川的にはラノベ(ライトノベル)に分類されるらしい。

なるほど、読めば読むほど、物語上の事件はすべて主人公のキャラを素敵に見せる装置なのだとわかる。

おそらく調べに調べぬかれて書かれている、莉子が知る(覚えた)森羅芭蕉の事物はどれも物語上の装置として登場するととても興味深く見える。


ちょっと前に読み終えたⅧは「台湾編」。中国語そのものがトリックになってたり、中国人(台湾人)の日本人への本音が読み取れ、今の僕にはとても面白い。

会社の同僚の中国人(この人はまさに莉子さんのような人~年も同じだ~で、俺より早いスピードで日本語の文庫を読み終え、俺より深く内容を洞察している)にも順次貸しているのだけど、彼女の感想が楽しみである。


個人的には今のところ中国へ持ってきた最後の巻であるⅨのモナ・リザ編が最高!に面白かった。ダヴィンチ・コードの100倍面白かった。

もう、泣きましたよ。ホントに。そして、また猛烈にフランスへ行きたくなった。ルーブルへも行ったし、モナ・リザも観たハズなのに…。

男性作者(しかも『催眠』の!?)にここまで女性のプライドとか細やかな葛藤が描けるのか!?とかなり嫉妬も。


久々に長文になりました。


いつも読書感想文を記事にすると長くなるんですが、やはり一言、「読んでみれ!」しかないです。


そのうちアニメ化やドラマ化されたりするんだろうか…イヤだなぁ…。