ゼーガペイン | 監督ブログ  wecker

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「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

帰国して、久々に自宅の畳&布団で寝る。


夢の中では中国語が飛び交い、ずっと仕事を続けている。


目が覚めると、見慣れているハズの天井に何か違和感を感じる。


なんかふわふわして現実感が無い。


「実は現実だと思っていた今、この場所こそ仮想現実の世界だった」


という映画「マトリックス」やそれがその着想を得た傑作OVA「メガゾーン23」等で何度も使われているSF設定を思い出す。


そして中国で打ち合わせ中に、脈絡なく単語が出てきた「ゼーガペイン」。

中国の方々はホントに日本のアニメを研究してらっしゃる。


「ゼーガペイン」なんて長い事思い出しも思いつきもしなかった(たぶんここの読者さんも知らないだろう)。

「ゼーガペイン」は2006年に放送されたサンライズのロボットアニメである。


そして玩具展開を前提とした(「ガンダム」以外の)サンライズロボットアニメとしては、知る限りこれが最後の作品である。


同時期サンライズの別の部屋で別の企画をしていて、意識はしていたが、2、3話見てしんどくなり、観るのをやめた作品。


いわゆる「セカイ系」と言われる、ひたすら主人公とその周辺のキャラクターのウチへウチへ向かう物語が苦手なのもあって、先述した「実はここが仮想現実でした」を早々に明かして、ひたすら主人公が「自分探し」に苦悩する……そんな話だ……と思ってたから。


それが何故か今になって気になって仕方がない。


気が付いたら日本語の(映画の)DVDを堪能しよう!と立ち寄ったGEOで、「ゼーガペイン」全9巻を「イッキ借り」していた。


…で、ちょうど前の記事を更新した頃から、ついさっきまで……全26話通観してしまった(;^_^A


30年ぶりぐらいに味わう(新作)サンライズ作品フィルムマラソンだった。

在日中の1週間で少しずつ観ようと思ってたのに。


でも気持ちいい完徹だった。


当時は「CGのロボットが云々」とかしょうもない事を言ってたが、「それ」さえも世界観構築に一役買っていて、今観ると映像もすごく気持ちいい。ぶっ続けで観ていても目に優しい。何より先読み出来ない(先読みしようとする裏をかかれる)ストーリー展開が、まったく飽きさせない。


そしてちゃんと毎回(スーパー)ロボットのバトルシーンがクライマックスになっている。

企画時、「中高生に観てもらうデジタル世代のロボットアニメ」とか言ってた気がするが…超オヤジ燃えの(笑)展開でした。

これでもか!というぐらい不憫なめに合うヒロインに萌愛です。何度か目頭が熱くなった。誰かを護りたくなった(笑)。


クライマックスで色即是空の話になって托鉢僧が出てきて、「そっちへ行ったらあかん!」と(画面に)叫んだものの(笑)、ちゃんとSFバトルアクションに戻り、最終話前で子供たちに「本物のゼーガペインだ!すげぇ!!」と言わせたあたりで、もう感服しました。

ラスト、よくわからんロジックでご都合主義をケムに巻く手腕なんかは、もうこれぞサンライズアニメ(笑)!!


…こんなに面白い(リアルロボットもののフリをした超荒唐無稽スーパーロボットもの!)ロボットアニメを創れるのに……

なんでサンライズはロボットアニメを創らなくなったんだ!?

日本のアニメ界はロボットアニメをやめたんだ!?


…ていうか、何でこの作品、「当たら」なかったの?(当たったの?)



中国はまだまだこれからがロボットアニメ勝負時!「ガンダム」の出現を待っている70年代後半の日本のロボットアニメ状態(わかる?)です。


久しぶりにプロの仕事を見せてもらった。もうこれは奮発するしかない!早く中国へ帰って仕事をしたい!という気持ちにもさせられてしまった。

そして、推敲中の続「ヴェッカーχ」のプロットもきっちり観直そう!練り直そう!という気にも。



「どちら」が現実なのかなんてもうどうでもいい。



目が覚めたら、「その世界で」自分のやりたい事、やれること、をやるだけ。

やり続けるだけ。


色即是空!まだまだ世界は知らない色に輝いている!