『ヴァニーナイツ』は深夜放送ながら視聴率は朝の『ゴーゴーV』に迫る勢いだった。
「ヴァニーナイト」は地球を護る正義のヒーローではない。アレストホルンを護る騎士だ。「誰かを護る」戦いなら女の子は男より強くなれる。
しかもそれが「好きな」人なら。
「仮想現実より現実の少女を選ぶ」というゴールを迎える(最初に予定していた)1クールを終え(正確には15話)、残りの5話は「好きにやらせて欲しい」とお願いした。
僕は主人公ありすに次々に試練を与える。
とっておきの「4人め」のヴァニーナイトもここで出し、それを使ってありすの片翼を(あきらの死)もぎ取り、続けてもう片翼も(あいりの死)ももいだ。
最後の敵として彼女の前に立ちはだかるのは、(いちばん死にそうにない)妹の残死によって「目覚めて」しまったアレストホルンだった。
「使命」ではなく初めて自分の意志でアレストホルン=和幸と 戦うありす。
仮面の下のとめどもない涙を拭いもせず、伝えたかったたったひとつの言葉「好きです」も伝えられないまま…
そして1000年毎に地球を浄化する為に現れるアレストホルンとナイトたちの戦いは終わる。
人類は滅亡し地球は氷に閉ざされ、1000年の眠りにつく…
次の1000年後まで。
どこかの場所。初めて二人きりになったありすは和幸をキスで目覚めさせ…
笑顔で「好きです」と伝える…。
「ヴァニーナイツ」の最終5話はそんな話。
地球を護る正義のヒーローではない、と書いたが、こうしてヴァニーナイツは地球を護ったのだ。
最後に「好きな人とずっと一緒にいたい」という依り主だった少女のたったひとつの願いだけは叶えて。
実際に完成映像をご覧になった方はこの文章に違和感を感じた方もいるだろう。
12年経って初めて本音を書く。
最終回、最後の15分は脚本家、監督、制作プロデューサーが「好きなように」やった結果である。
意味不明なカットの連続によるハイセンスな(苦笑)シーンが続くが、俺には今以て理解不能で、何よりも不快感を残す。
実際ずっと好意的だったファンの方々からの怒りと嘆きの声が暫く続き、その弁明に忙殺された。
…当時のスタッフに配慮して、今まではここまで書かなかったが、長い間作品を観直す気にもなれなかった。
ずっと傍若無人に振る舞っていたツケだったのかも。
そしてその余波はまだ続く。
次回1999 幻のアニメ化