まずは「幻影都市デスパーシティ」

主人公渡五郎と荒井誠。IP捜査官荒井は妻と娘をデスパーシティに置き去りにして逃亡して来た過去を持つ(…という記憶自体を無くしている)。デスパーシティは地下に拡がる人工太陽が輝く実験都市。市民は成人するとサイボーグ化される。
デスパーの高級士官ユキにデスパーシティに案内される二人。荒井は記憶を取り戻し、妻子を救出しようと逸るが、サイボーグとしての生命維持装置を破壊される。荒井に残された時間は24時間…。
街の一角に匿われる二人だが、何者かの密告で居場所を知られる。
密告者はユキの実の弟だった。
「俺はここから出てみたい。モルモットみたいな生活はもうイヤだ!」と逃げる弟を黙って射殺する(!)ユキ。

そしてユキは荒井に自分の生命維持装置を渡して、デスパーの幹部を道連れに自爆する…。
「サイボーグ」「パラレルワールド」といった石ノ森SFのガジェットに石ノ森作品のテーマのひとつ「姉弟」も盛り込んだ上原正三脚本の傑作です。
もう一本は「レッドクイン暗殺のバラード」
同棲中の恋人を白昼暗殺して見せ、デスパーの「暗殺の女王レッドクイン」となる飛鳥夕子。
その目的は惨殺された家族の復讐だったのだが…。

ストーリーも壮絶だが、この回は映像の美しさ、レイアウト(構図)の巧みさ、音楽(選曲)の巧さ…等塚田正煕演出の極致を愉しめる。


毎回のように登場する(そして殆どが死んでいく。イナズマンは結局”誰も救えない”)当時の若手人気女優さんが演じるヒロイン達の凛とした美しさも魅力のひとつ。
何より子供番組で最終話までこの作品のテイストを貫き通したスタッフと、通せた「時代」に深い憧憬を感じます。
「レッドクイン」の脚本も書かれた長石多可男監督は現在も東映作品で大活躍中。久々に戦隊(「ゴセイジャー」)の1.2話を担当されるそうで、楽しみですね!「マスクマン」1.2話も最高!でした。