農民も土も水も悲惨な中国農業
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朝日で、愛知大の中国学研究センター所長が書いた本だけど、タイトル通り、批判的な眼を持った新書だった。「解放」で地主から、「改革開放」で、人民公社から土地を自分のもののにしたはずの農民たちが、再び土地を失う事態に陥っているという。なけなしの土地を奪われた農民たちは、事実上の小作として農業会社の土地を耕すか、各地を渡り歩いて耕作する「出稼ぎ農民」となる。中国では農民は農地を手に入れることが出来ないが、日本では農民しか農地を手に入れることが出来ない。もちろん、日本にも農転のからくりが存在するが、規制は少なからず、農地の市場化、物理的な市街化に歯止めは掛けているだろう。中国でも都市近郊の「農民」は日本の農民同様に「農民の顔」をしていない者も多い。ただ、圧倒的多数の農民は、たとえ離農しても「農民」として生きていく。次世代の教育に脱農の希望を掛けるが、それも今や不透明の時代になった。著者の批判は政府の政策よりも、この農民たちの無策に向けられている様にも思える。土地に対する愛情がないから、人糞を発酵させず、ナマで肥料とし、細菌をバラ撒き、作物も土壌も汚染させてるのだという。たしかに中国農民の土地に対する執着は日本に比べ著しく低いが、そこに「土地神話」もなければ、農業にプライドを持たせる空気も現実もない。次世代に「脱農」の希望をかけていたことは今に始まったことではないのだろう。先祖代々、自らの土地を持たぬ農民に、伝統として受け継がれる土壌はなかったのかもしれない。しかし、どうでもいいが、「50年代に毛沢東がソ連に留学して学んだ」というのは、意味的にも文法的にも変ではないか。
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将軍様の錬金術
![]() | 将軍様の錬金術—朝銀破綻と総連ダークマネー (新潮新書) 金 賛汀 新潮社 2009-03 売り上げランキング : 266750 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
元総連の転向ライターとしては大ベテランの著者。新潮新書は二冊目か。最初に朝日選書か何かで総連を書いた時は随分と及び腰だったけど、かなり踏み込んできたな。とはいえ、その間時代が変わって、日本のマスコミの総連タブーが一気に溶解したから、先駆者たる著者も否応なくついていかなくてはならない。一応、最初に日本のマスコミの朝銀報道を批判したりしているのだが、内容的には既存の報道を追認するものだった。許宗萬は完全に権力を失い、米国亡命説や襲撃説なども流れているが、北召還から必死に逃げていることは間違いない様だ。ともなれば朝銀事件については、この際膿を出し切って欲しいと思っている内部の人間も結構多いだろう。朝銀から改組したハナとかウリとかの信組が、日本人を理事長に迎えたからといって、日本人を相手にする金融機関になった訳ではないし、引き続き顧客たる朝鮮商工人と取引していかないと、金融機関としては立ち行かなくなる。それでもまだ学習組出身の理事長を抱く改組信組が存在するとは驚くが、理事長だけ日本人にすげ替えても、中枢や末端が朝鮮人で固められている限り、基本的構図は変わらんだろう。それでも、万景峰号できた北の担当幹部が、朝銀の金庫を開けさせて回って、寄付する様に申し付けていったというムチャクチャは船もヒトも止めた今ではもう無理か。かえってホッとしている幹部も多いかと思う。しかし、クリントンはあれに幾ら払ったんだろう。
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若いうちに読みたい太宰治
![]() | 若いうちに読みたい太宰治 (ちくまプリマー新書) 筑摩書房 2009-05-09 売り上げランキング : 198208 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ちくまプリマーの太宰商戦は文字通り、おんな、こどもかよ。
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平和構築
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著者はNHKのディレクターをやめて、カナダの大学院に留学中の人らしい。岩波新書はよそと違って、学生身分の著者を起用することは、あまりない(よそと違ってヨボヨボの名誉教授は多い)のだが、この著者はNHKに幾つか受賞作があり、その関連書籍も出版した実績が有る様だ。夫人がカナダで日本語教師となって家計を支えたとあるので、社命留学でも休職でもなく、研究者への転進を本気で狙っているものと思われる。この新書は十分に名刺代わりになるので、その座も約束されたも同然だが、国際機関でキャリアを積むつもりもあるのかもしれない。アフガニスタンと東ティモールでの実施調査を行っているのだが、一読して分かる様に、研究者のそれではなく、ジャーナリストの取材に近いものがある。一介の学生ではなかなか重要人物と接触も適わないものだが、著者が使った人脈はNHK時代からのものであろう。アフガニスタンでは国連にアテンドを頼んだ様だが、これも「国連記者協会銀賞」受賞者もなせる技か。閣僚クラスは、ほぼフリーパスで取材できたみたい。その為か、もう一つの統治装置である米軍には批判的だが、この辺もアメリカではなくカナダの大学を選んだ理由なのかもしれない。
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