- 千住 博, 野地 秩嘉
- ニューヨーク美術案内
私は美術音痴なのだが(音痴は変、美痴?)、さすがにこの著者二人の名前くらいは知っている。一方は芸術一家としても知られるかなり高名な画家だが、もう
片方はスイス銀行に口座を持つなんでもライターだろう。でもって、こちらさんの方が私と同じ美術素人なのだが、この組み合わせだからあり得たやたらハード
ルの低いニューヨーク美術入門書となっている。しかし千住博というと、なんか気難しそうな芸術家といった響きがあるのだが、この軽さはなんだ。眉間を寄せ
て鑑賞し、講釈を垂れるのは学芸員とかの仕事であって、自分で描いている画家や素人は好きな様に見ればよいとか。意外なことにこの人はポップアート好き
で、ただ画面に白一色塗っただけのロバート・ライマンなんかマジかよと思うけど感動したとか書いている。困ったら耳を見るとかもなるほどと思った。まあこ
うした素人に優しい入門書なら私も読める。結局、画家かて人間だから変人とか偏屈とかではなくいろんな人間がいて当然なのだが、最近の盗作騒動のあの画家
の開き直りにはある種すごいものを感じた。かつて川上宗薫はコトの真っ最中に細君に踏み込まれ、ここ(女体)を越えてあっちへ行こうとしただけだと素っ裸
のまま弁明したそうだが、男の浮気と画家の盗作はどんなにバレバレでも、認めてしまったら最後というお約束がある。今日の新聞によると遂にパクリを認めて
謝罪なんてことに落ち着いた様だが、最後までシラをきって、世間を唖然とさせる様な言い訳をどんどん編み出してほしかった。それもまた芸術ではなかろう
か。音楽関係ではそれが「常識」なんだけど。
★★