近江旅の最後に訪れたのは、新幹線の停車駅でもある米原駅東口から歩いて10分かからないところにある「青岸寺」県指定文化財のご本尊、聖観世音菩薩像と市指定文化財の十一面観世音菩薩像、そして国の名勝に指定されている築山林泉式(つきやまりんせんしき)枯山水の庭園で知られているお寺です。

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道 東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


米原尋常高等小学校跡を通り過ぎると、稲荷社への鳥居がみえてきます。山林のようですが、ここを折れて左に進むと山門です。台風の後なので、またもや貸切り!

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道 東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


こちらは文化財指定の仏像を含め、全て寺院内は写真撮影OK。ただ聖観音様はなんとか撮れましたが、少し暗かったので、十一面観音様はうまく撮れずじまい。

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道 東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


向こうに見えているのが、明治時代に建てられた書院「六湛庵(ろくたんあん)」。こちらで前日までの予約制の精進料理(おうどんにおかず、のようです)がいただけるそう。予約をしておかなかったことが本当に悔やまれました。

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


築山林泉式(池泉回遊式)とは、大きな池を配し園内を回遊できるようにした日本庭園のこと。青岸寺庭園は、裏山の斜面を利用し石を多用し、水を表すのに苔を使っているという特徴があります。そして岩の合間に見えている緑は、イワヒバという珍しい植物。紅葉もするそうです。

さて、しかし今回はその苔の枯山水を見ることはできませんでした。台風の激しい雨で、苔の池が本当の池になってしまったからなのです!

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


梅雨の時季など雨が続くと山の伏流水が池の部分に湧き出てくるとのことですが、これもそうそうあることではなく年に数度しか見られない光景なのだとか。梅雨でもなくこの秋に、その光景が台風一過の青空のもと見られたのはなんとも幸運なことでした。水底に沈む苔が緑色となって映え、美しいこと!

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


青岸寺の本山は禅宗(曹洞宗)の永平寺です。永平寺七十三世を務めた大光圓心禅師という方が著された「石徳五訓(せきとくごくん)」が石と共に飾られていました。
 
 1、奇形怪状(きけいかいじょう)。無言にしてよく言うものは石なり。
 2、沈着にして気精(きしょう)永く、土中に埋もれて、大地の骨となるものは石なり。
 3、雨に打たれ、風にさらされ、寒熱に耐えて、悠然動ぜざるは石なり。
 4、堅質(けんしつ)にして、大廈高楼(たいかこうろう=高層建築)の基礎たるの任務を果たすも   のは石なり。
 5、黙々として、山岳・庭園などに趣を添え、人心を和らぐは石なり。

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


ここは水のきれいなところで山からの水がせせらぎとなって流れ、それが道路にある水路に流れ込んでいます。手水鉢の水も飲めるとのこと。

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道

東京&京都 ほぼ日刊 追求!美食道


梅雨前のサツキ、11月の紅葉のころは多くの人が訪れるそうですが本当にひっそりとしたたたずまいが素敵な美しいお寺でした。ご家族でされているという精進料理も、ぜひ味わってみたいものです。
知れば知るほど、深く大きな近江。ふるさと京都にも訪ねたい場所が山ほどありますが、近江の魅力にもあらがえません。これからじっくりと、近江旅も楽しんでいきたいと思います。

新旭のカバタ、日吉神社。竹生島と醒ケ井への再訪。菅浦、大崎寺・・・まずは今回の旅をなぞりつつ、予定が狂ってしまったところへ。近江の旅は自然を楽しむ旅でもあり、ゆったりと時間をとらねば、と思います。何より静かな湖面を見ていると、心が穏やかになるのです。素敵な近江へ、いつかまた!


■近江路、湖北をゆく
(1)カバタか長浜か?竹生島を巡る旅
(2)京都からの竹生島日帰り旅
(3)ヤマトタケルノミコトを癒した湧水の里「醒ヶ井」
(4)住職が作るニジマス料理!?松尾寺と醒井楼
(5)渡岸寺観音堂~官能美をたたえた国宝十一面観音の最高傑作
(6)多くの仏様と出会う時間~滋賀県立近代美術館「祈りの国、近江の仏像展」
(7)「ロテル・デュ・ラク」から始まる湖北の寺社めぐり
(8)24時間滞在、高いホスピタリティ「ロテル・デュ・ラク」~施設編
(9)近江牛に近江野菜、近江米・・・近江食材満載☆ロテル・デュ・ラク~食事編
(10)絶景かな。一日一組の宿「湖里庵」の鮒寿司懐石
(11)精進料理と名勝庭園の寺、米原「青岸寺」