土御門(安倍・安家・天社・天赦)神道 | 心の鏡

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このブログは主に神道について書いています。ブログタイトルの心の鏡とは内在神を表し、神社のおみくじの神の教に「神様の御光が我が心の鏡に映るその時、凡ての心の曇り、心の闇は晴れゆきて、広き明き御恵みを授かる事が叶う」とあったところから命名しました。

 

土御門(安倍・安家・天社・天赦)神道 

 土御門(つちみかど)神道とは、

陰陽道の宗家、安倍氏(土御門家)に伝えられた陰陽道神道をいい「安倍神道」「安家(あんけ)神道」「天社(てんしゃ)神道」「天赦神道」とも称した。

 

こちらの土御門神道は、戦後、土御門神道の系統をひく

「天社土御門神道」初代管長:土御門範忠が神道系教団の一派として再興され、現在も公式サイトの

「陰陽道宗家 天社土御門神道」があり、福井県おおい町名田庄で活動されている様子を拝見することが出来ました。

(インスタグラムの公式アカウントも2022年から出来ているそうです。)

社紋はアゲハ蝶で、PC画面で見ると縦型のタブが2つあり、

土御門殿天社宮の頭には丸に太一の紋

土御門土御門文書編纂所の頭に五芒星で交差が立体的になっている安倍晴明判でした。

 

天社宮のページの中に御祭神が泰山府君であることや、

詳しい「土御門家の歴史」も書かれていましたから、ここでは割愛させていただくとして、陰陽道が日本に初めて伝来したのは継体天皇7年癸巳(513年)百済の五経博士が渡来したのに伴って…とされていますが、それから令和5年(2023年)の現在まで、実に1510年もの長い歴史が続いているんですね。

占い全般はもとより、華道・茶道・書道・香道・能楽・歌舞伎などの伝統文化や芸術、日常の様々な風習、習慣、年中行事など日本人の生活の一部に形を変えて広く浸透して伝承されているとは、なんとも感動的。

 

土御門家がみた宇宙 

 

関連して今年春に國學院大學博物館で「土御門家がみた宇宙(そら)」ー江戸時代の天文観測ーという特別展が開かれていました。

私はその展覧会は観に行ってないのですが、パンフレットや動画は拝見しました。

パンフレットによると古代から日蝕・月蝕・彗星などは天皇の体や社会に害を及ぼす兆候と考えられ祭祀や祈祷が行われてきた。

これが土御門家の家職のひとつ「天文密奏」だとか。

 

天社は南極の恒星六星? 

 

それから、いつもの『神社のいろは要語集 宗教編』での解説にありましたが、文化版『雲上名鑑』には、

吉田・白川家の神職支配と並んで「諸国天文暦道天社神道陰陽家之輩」へ対する土御門家の支配が明記されるようになり、社会的地位を確立する。

(略)土御門神道の「天社」とは、南極の恒星の六星を指し、

土御門家ではこれを、天が全ての罪を赦(ゆる)すという最大吉日の「天赦」にかけて「天赦神道」とも呼んだ。

…とありました。

 

しかし私は天社が南極の恒星を指すことには疑問が浮かんできました。

 

明治3年には陰陽道・天社神道は一度廃止されますから、その前の幕末頃までに南半球や南極に行って星を見れた人はいたのか?と。

あり得ない。

公式サイトでも北極星と北斗七星を崇める鎮宅霊符信仰、北極星を宇宙の主神として伊勢神宮でも密かに行われてきた「太一」信仰など、その全てが陰陽道の秘儀ですって書いてあるし。

さすがにちょっと、神社検定テキスト側で情報が違っているのではないだろうか?

それとも私が無知なだけだろうか?

いや、でも暦の二十八宿での南方も朱雀七宿で六星じゃないし。

謎だ。

土御門暦 80年窒息の星霜 

 

ところで土御門神道の公式サイト土御門文書編纂所に書いてありましたが、ここの暦は、安倍晴明公が陰陽博士に任ぜられて以来、安倍家(土御門家)にて作成されてきたもので、

安倍晴明

朝廷に毎年巳の日御暦を上奏し勅許を得て全国に頒布されたのだそうです。

我が国の暦を平安朝から明治初年まで家職としてきたのですが、明治3年に陰陽寮の廃止で、暦の管轄は東京大学星学局に移され、土御門晴栄卿は星学局出任となって、暦の刊行は自由業となり、土御門家は官暦との関係が途絶えて、民間発行の暦が巷に氾濫し、多種多様な雑暦が出て世間を惑わしたことは、誠に遺憾であったと書いてありました。

そして土御門暦は80年間窒息の星霜を経て、昭和21年再興本庁暦を刊行するに至ったとのこと。

 

今でも多種多様な雑暦が巷に氾濫していて、私も毎年色々変えて買ってみていますが、書店で売られているのより神社の暦の方がページ数も少なく数百円くらいの初穂料で懐に優しかったですね。

 

個人申し込みも可 

この歴史ある土御門暦の取り扱い社寺は、平安神宮、伏見稲荷大社、三島大社、春日大社、日吉大社、京都大神宮、京都晴明神社、三十三間堂などあるようですが、サイトの申し込みフォームから個人申し込みも可。

私も以前、晴明神社から郵送してもらった事がありましたが、あんまり印刷状態・紙質はよろしくなく、漢字とか文体も古めかしくて読みづらかった気もします。でも確か300円だった。

そこで大事なことを習えました。

一粒万倍日については、精神修養の日。陰徳を積み慈悲を施し善を行うのを主旨とする日であり、普段から善い行いもしてないのにこの日に開業売買契約に吉日とするのは誤りだと。

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