祖先崇拝
祖先崇拝とは?
祖先を敬慕・追尊し、祖先への祭祀を行う伝統の思想・習俗を重視する信仰ないし情操のことをいう。
「祖先敬慕」「敬神宗祖」の語も使われている。
宗教的信仰の側面においては、特に昔の祖霊信仰をさし、
宗教学的には、概して自然宗教から文明宗教に移行する過渡的な段階に発達する信仰形態と考えられている。
日本においては、国家意識としても、道徳的情操としても、また神社祭祀や社会的習俗としても著しく発達してきており、近世や明治以降にも、道徳的意識とも関連して教育上重視された。
【参考図書】
中国では、上古から顕著に発達し、特に儒教において極めて重要な道徳的・制度的要素となっていたので、それが日本の上代における崇祖的観念や制度上の習俗に影響したとみる説もある。
その影響はともあれ、日本の古代社会にあっては独自の崇祖意識が発達していた。
日本の古い時代~平安時代にかけての祖先崇拝の事実
1,祖神(おやがみ)を尊び斎く信仰
2,系譜の重視とその氏族特有の職業を継承する習俗(「氏文」「新撰姓氏録」など)
3,陵墓の尊崇 (陵墓の祭祀など)
4,『万葉集』などにおける氏神祭と祖訓継承の詞歌
5,『記紀』及び『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』などの修史(氏族の社会的発展を基盤とする民族的・国家的興隆に伴う崇祖意識の高まり)
6,神社の創立とその祭祀 (特に氏神神社の奉斎と創建)
これらのうち、祖神を尊び大切に祀る氏族的な信仰については『記紀』及び『先代旧事本紀』『新撰姓氏録』などによくうかがえる。
それからの時代も、日本の崇祖観念・敬神思想が書かれていましたが、長くなるので割愛させていただきます。
現代における祖霊崇拝の課題
日本の古代社会から祖先崇拝の歴史をたどれば、本来は村の氏神様と個々の家の先祖とは密接な関係にあった。
しかし現代では、自分の身近な祖父母や親などを通じて漠然と先祖を意識している事が多い。
そうして自分に関係のある身近な死者・仏壇を通して祖先を意識するようになって、氏神と祖先の差が大きくなったのだと考えられる。
日本における祖先崇拝は、仏教の存在が仏(ほとけ)という要素を媒介として、
死者と先祖との観念上の区別をあいまいにし、個々の家々の先祖と地域の氏神との関連を不明瞭にしている。
私の感想
簡単に一部だけ引用すると『神社のいろは要語集 宗教編』には、このようなことが書かれてました。
私は…今の日本で地域の氏神と先祖と関わりない事も多いのは、仏教・仏のせいだけじゃないと思うな。転居もするし。
皇室・皇族や古代豪族の末裔として出自が現代までハッキリ伝わっている人達はともかくとして。
あと、弔い上げや埋葬地と墓参の地を分ける両墓制っていうのもあるようなのです。
現代では墓じまいで悩む人もいるようなので参考になれば。
大体、死後33年経つと弔い上げになって法事もおしまいですね。
あと、位牌は元は道教のだったようです。
もしも実家の仏壇が嫁ぎ先に入れられないとしても、神道の霊魂観・幽冥界では、お墓や神社に幽冥界があって霊魂が存在しているらしいので、神社にお参りしても良いと思いますよ。