今回の法廷では元彼女の証言を聞く舞台だった。弁護士は法廷に向かう途中に車の中で僕にこう説明してくれた。

『今回はケンジは何も言わなくていいのよ。あなたの元彼女が証言台に立ち、検事や私の質問に答えるだけです。だから、今回はあなたを弁護するのではなく彼女が何を見たかを調査するから、彼女が嘘を付いていても、我々はなにも言えないの。しかし、もし彼女が嘘をついたら裁判の時に我々が有利になるから彼女が嘘を付いてくれた方がいいのよ。だから今日彼女の証言がケンジとのあらすじが同じでなくても気にしないでください。』

僕は朝早くに弁護士と法廷までつくとすでに元彼女が検事と一緒にいた。彼女は僕を見ずにすがすがしい顔をしたまま法廷に入って行った。一年以上彼女と顔を会わせていなかったが彼女は見違えるように太っていた。

『清々しい顔をしやがって。どんなにお前のせいで苦しめさせられているのか分かるか?』

僕は心の中で彼女を恨んだ。

彼女は証言台に座った。僕は弁護側の席に弁護士と座った。僕は証言台に座る彼女を見るのがいやで目を合わせないように下を向いていると弁護士は僕に小さな声でささやいた。

『ケンジ、彼女をしっかり見なさい。下を向いていると裁判官の目にケンジが悪いと写るから堂々と顔をあげて彼女を見なさい。』

僕は重たい顔を上げると検事が彼女のそばに歩き出す。

検事『あの夜、何があったのか聞かせてください。』

元彼女『あの夜、ケンジから電話があってタクシーで向かっているから会いたいと言われました。』

検事『それであなたは彼にどう答えましたか?』

元彼女『喧嘩中だったので会わない方がいいと彼に言いました。』

検事『あなたが彼の電話に出る前、複数のミスコールがあったらしいですね。』

元彼女『はい、私は息子の学校の行事で電話に出られなかったのですが、家に帰ったときに彼から又電話があったのです。』

検事『そして彼の電話にでたのですか?』

元彼女『はい、その時に彼はタクシーの中で私の家に向かっていると私にいいました。』

検事『その時に彼にはっきりこないようにと伝えたのですね。』

元彼女『はい』

検事『それでしばらく経って彼が家に現れてドアを壊し、あなたに襲いかかったのですね。』

元彼女『はい。そうです。最初はふざけていたと思ってのですが、ドアが壊れたので怖かったです。』

検事『それで、あなたはどうされましたか?』

元彼女『警察に連絡しましたが携帯をダイアルしていると彼は私の携帯を取りあげ壁に投げつきました。』

検事『それから、彼はどうしましたか?』

元彼女『彼は怒ってキッチンに行きました。すると突然食器が割れる大きい音がしたんです。』

検事『彼はなにを?』

元彼女『よくわかりませんが彼の両腕が血だらけでした。』

検事『彼はナイフで両腕を切ったと思われますか?』

元彼女『私は気が同点していたのですが、彼は自殺をするのかと思いました。』

検事『そして、あなたはどうされましたか?』

元彼女『私の両手を彼に顔に持って行き、落ち着けさせてタクシーを呼びました。』

検事『彼はその時酔っていましたか?』

元彼女『いいえ、酔っていませんでした。』

検事『裁判長、佐藤被告は彼女の家のドアに突然押し込み、彼女をレイプする計画的犯罪です。複数の電話の着信はストーカー罪で家に侵入した事で泥棒罪、警察の電話を妨害した罪で彼を10年の刑務所を視聴します。』

眠りかけていた裁判官はこう言った。

『ローレル弁護士、あなたの番です。』

弁護士『はい、裁判長。』

僕の弁護士は彼女の近くにゆっくりと歩きだした。

弁護士『ミス、はじめに私が見せるあなたの写真を見たください。』

元彼女『はい。』

弁護士『これはあなたの家のドアですね。』

元彼女『はい。』

弁護士『このドアはもともと壊れていたという事は考えられますか。』

元彼女『いいえ、ちゃんと鍵がかけられました。』

弁護士『鍵は二つあるのですね。』

元彼女『はい。』

弁護士『当時あなたのボーイフレンドはこのドアの鍵は持っていたのですか?』

彼女は思い出そうと首をかしげる。

元彼女『はい。彼に渡したと思います。』

弁護士『それはなぜですか?』

元彼女『えーと、当時彼は週に3~4回私の家に寝泊まりしてましたからです。』

弁護士『それでは彼に自由に出入りする事を許したといる事ですね。』

元彼女『。。。』

突然検事が口出しをする。

弁護士『裁判長、その質問は彼女には答える事ではありません。鍵を渡したからといって、アパートは彼女の名前であり、いつ出入りするという事はありません。』

裁判長は彼女に弁護士の質問に答えるように命じた。

元彼女『はい、しかし私の許可をとってから彼はいつも家に来ました。』

弁護士『そうですか。。。彼とは結婚の話とかはされましたか?』

元彼女『一緒に住む計画は話した事があります。』

弁護士『それではあの夜、彼はあなたに家に行くからと言う電話をいれましたよね。』

元彼女『はい。』

弁護士『ではあなたは彼がくる事は分かっていたのですよね。』

元彼女『はい。しかし、こない方がいいと言いました。』

弁護士『彼はタクシーに中でもうすぐ家に着くといったので、あなたはそれを承知で電話を切ったのではないのでしょうか?』

元彼女『。。。』

検事が又口をはさむ。

検事『裁判長、彼女はあの夜にこないで欲しいと彼に確かい伝えています。』

弁護士『質問を変えます。先ほどあなたは検事の質問に彼は酔っていないといいましたよね。』

元彼女『はい。そうです。』

弁護士『それはどうしてそう思われますか?』

元彼女『彼はちゃんと歩いていたし、ちゃんと話していましたから。』

弁護士『おかしいですね。当時の警察のレポートによるとあなたは警察に自分の彼氏がすごく酔ったいきよいでドアを怖し、あやまって両手を切ってしまったと書いてありますが、よく覚えていますか?』

元彼女『。。。』

彼女は何も言えずに首をかしげながら返事が出来なかった。

弁護士『それではあの夜、彼は一人で病院にタクシーで乗って行ったのですね。』

元彼女『はい。』

弁護士『彼が病院にいっている時はあなたはどうされていましたか?』

元彼女『心細かったので日本にいる家族に連絡しました。』

弁護士『そうですか。日本にいる家族以外は?』

元彼女『いいえ。』

弁護士『病院で手当を受けた後彼は家に戻って来て朝まで一緒にいたとここに書いてありますが、それはどうしてですか?』

元彼女『はい、夜が遅かったので病院の後に又戻ってきていいかと彼に頼まれたのです。』

弁護士『それであなたは彼を家に入れたのですか?』

元彼女『ドアが壊れていたので仕方がなかったのす。』

弁護士『もし、検事がいうように私のクライエントが危険な人間だと思うのなら、なぜあなたは彼と朝まで一緒にいられたのでしょうか?あなたの友達に連絡をして泊めさせてくれなど頼む事が出来たのではないでしょうか?』

『。。。』

弁護士『それともホテルや違う安全な場所に移動はしなかったのですね?』

元彼女『私の6歳の息子が寝ていたので、起したくなかったのです。』

弁護士『そうですか。それで彼は病院の後家に帰って来て朝まで一緒に過ごされたのですよね。』

元彼女『はい。』

弁護士『彼はどんな感じだったですか?』

元彼女『落ち着いていました。これからの事や色々話し合いました。』

弁護士『それでは質問を続けます。この写真を見てください。あなたの寝室ですよね。』

元彼女『はい。』

弁護士『次に写真です。これはあなたのリビングルームですよね。』

元彼女『はい。』

弁護士『何かなくなっている物は?』

元彼女『いいえ、何も』

弁護士『ありがとうございます。質問は以上です。』

そして、休憩が入った。

再び検事からの最後の質問が始まった。

検事『この事件は実に危険でした。ドアを怖し、侵入。彼女に襲いかかりレイプを仕掛けた。そうですね?』

元彼女『はい。』

ローレル弁護士はこう言った。

弁護士『ミス、襲いかかったとここに書いてありますが、あなたは以前彼に襲いかけるようなハードセックスを何回も指示したそうですね?』

彼女は目を大きくしながら答えられないと検事が彼女を助けるように口をはさんだ。

検事『裁判長、その質問は問題外です!』

弁護士『裁判長、私はただ彼女の日常のセックスが襲いかけるようなハードセックスが好みならこの事件の内容が変わってきます。弁護人は彼女に会いたい事で何度も彼女に連絡して家にいく事を伝え、彼女から渡された鍵でドアを開けようとした所酔っぱらった行きよいでドアが壊れてしましました。それに彼は彼女にレイプなどしていません。彼女と仲直りする為にするふりをしたのです。それに危険なら彼女は友達の家、ホテルなど安全な所にいくと思うのですが彼女はそれを行う事なく朝まで彼と一夜を過ごし何も害はなかった事がここで証言を確認出来ました。』

法廷は一時ストップした。

裁判長色々検討した結果、この証言の段階はその質問はてきしていません。その質問は裁判になってからとっておいてください。

そして、証言の法廷は終わった。

弁護士はインベストゲーターを雇い、元彼女のブログやマイスペースを調べた結果、ハードセックスの写真や僕と一緒に移っている写真が外されていなくまだ残っていた事からおかしいと判断したらしい。その資料をまてめて検事や裁判長の資料として渡していたそうだ。そして、彼女の証言で健司は当時酔っていなかったという証言から嘘をついていた事が分かった。

僕は決してお金には困りたくはなかった。自立してから、家族からもいっさい金銭的に世話にならず、真面目に働き家賃も自分の収入で払って来た。以前に会社からリストラされた時でもレストランやアルバイトをしながらなんとか生活して来た。当然、金を借りる事も一度もなかったし、貸す事もなかった。世の中で人生は金だけではないと言うが、今回の経験で金の強さを新たに思い知らされた。そして特に僕は金でどう人が人を利用するか、利用されるかをこの目で見て来た。この世の中、すべて金で動いている。

この事件で僕の保釈金は10万ドル(一千万円)だった。こんな大金が一度に必要になるとは思わなかった。幸い家族の援助で僕は仮釈放が可能になり、拘置所から出る事が出来た。 保釈金以外に家族がいなければ弁護士、インベスティゲーター、精神科のセラピー専門医、裁判専門コンソルタントなども払えなかっただろう。もし、家族がなければどういう展開になっていたのかも分からない。家族の大切さと有り難みを思い知った。

しかし、9月の仮釈放から4ヶ月後、弁護士から良くない知らせの電話が来た。次に予定される法廷の日まで、すでに払った十万ドル以外に24万ドルが必要になると突然言って来たのだった。 検事が僕の保釈金を約3倍、合計34万ドルに値上げする質用があると法廷で裁判長に要求するそうだ。外国人である僕は危ない人物だと言う理由だった。そんなに僕が危険なら、なぜ事件から半年も待ちすぐに逮捕しにこなかったのか?僕には分からなかった。

『どうして次々の用にキツい試練が起こるのだろう?』 

頭の中がまっ白になり、何も言えなく黙っていた僕に電話の向こうで弁護士は励ますようにこう言った。

『健司、これはすべて裁判長次第だから、必ずあなたの保釈金が上がるとは限らないのよ。だけど、念の為にお金を用意しておいた方がいい。何が起こるか分からないからね。この事をすぐに家族に伝えて、お金を至急に送ってもらえないかしら。』

『もしお金がなく、払えなかったら僕はどうなってしまうのですか?』

『そうね。そのまま法廷から直接身側を拘置所に確保されてしまうわね。』

励ますように話してくれてた弁護士のストレートな答えは冷たく聞こえた。そして、それを知った僕は全身に恐怖が襲いかかった。

弁護士と話した後にすぐ姉に電話をしたが、この知らせを伝えるとため息の答えしか帰ってこなかった。

『弁護士も私達をなんだと思っているのかしら。大金持ちでもないのに、そんな簡単にそんな大金出せると思っているのかしら。うちにはもうお金ないよ。10万ドルでも結構な大金なのに両親もなんでこんなにするかと驚いくわよ。得に父は心臓が弱いんだからお金がもっと必要だと言えないよ。これ以上親に負担かけられない。誰か知らない?貸してくれそうな友達?』

僕はそれを聞いた時もうお手上げだと思った。なぜなら初めて家族が弱気になっていたからだ。

僕は必死になって、思い当たる知り合いの社長や経営者の友達に連絡した。海外にも連絡した。こんな大金、友達だからってお願いするのも気まずかった。手が震えてメールを送る事さえ戸惑った。しかし助けを求めなければ何も起きない。申し訳ない気持ちで事情を知らせながら、お金の援助を訴え続けた。

『保釈金は何もかも終わり次第全額返って来ます。大金なのは分かっていますが、戻り次第すぐにお金をお返します。どうが助けてください。しかし例え助けてくれなくても僕が無理を言っているのは承知しています。今回僕の話を聞いてくれるだけで感謝しています。』

しかし、返事が帰ってこない。いくら金があったとしても、やはり貸してくれないだろう。僕にはそんな友達を攻めたりはできない。家族以外で助けてくれた人は僕のメンターのグレッグ・チュウ氏だけだった。彼は以前、僕の会社を設立する時にお金の援助してくれた人物だった。彼は五万ドルを貸してくれた。残りは18万5千ドルだった。まだまだ、目標まで足してなく。ここまでが限度だった。後は裁判官がどういう判断をするか祈るしか方法は残っていなかった。

僕は逃げだしたい気持ちで一杯だった。

『いっその事みんなに黙ってメキシコに逃げようか、それとも死んだ方がマシか?いや、死ぬんだったら元彼女や裏切った友達を皆殺してからも遅くはない。』

24時間恐怖、憎しみ、緊張、ストレスを抱えながらジェットコースターに乗っている様な感じで眠れない日々が続いた。

そして、とうとう法廷に行く日になった。その日の朝、外は重い霧で包まれ、道路はビショビショに濡れていた。もしかしたら、今日一杯で拘置所に送られてしまうのではないかと恐怖と不安が頭の中で脳をグチャグチャにかき混ぜているようだった。僕は拘置所の寒さを知っていたので白い靴下と厚めの白いTシャツを二重にして万一の為に準備した。家のドアを閉める前に自分の部屋を見直した。

『ここにはもう帰ってこれないのだろう。』 

と思いながらドアをしめた。

法廷に入る前に家まで迎えに来てくれたイーサンに僕の携帯と家の鍵を渡した。

『もしもの事があったら、後はよろしくお願いします。』

法廷に入るとすでに僕の弁護士はすでに僕の事を待っていた。若い女性検事が左側に、我々は右側に座った。裁判官も女性で我々の前に座っている。

検事から発言が始まった。

『裁判長、佐藤被告はアメリカで危ない人間です。彼はバハマ島に行き、この国から逃げ出そうとしていたのです。彼は外国人であり、テロリストの恐れもあり、彼は又この国から逃げ出す恐れがあります。我々検事側は彼の保釈金を34,000ドルに上げる事をここで要求します。』

『分かりました。ヘッドリー弁護士、弁護側の意見をいってください。』

『裁判長、私のクライエント、佐藤氏は当時事件から半年も過ぎているのに逮捕状の事も全く知らされておらず、バハマ島でバケーション中でした。彼は16年前に日本からアメリカに渡り、アメリカの美術大学に行き、卒業後は大手広告企業につとめ自分を磨き、最終的には自分の会社を設立した真面目な人間です。やっとの思いで作った会社、15年間の作り続けた友情、思い詰まったアパートなど、全部捨てて逃げると思うでしょうか?そして、彼はバハマ島の後、シスコに戻る予定でした。 彼は外から中に戻って来たのです。もし、逃げるとしたら、戻ってこないと思うのですが、いかがでしょうか?私が提出した証拠資料の中に佐藤氏の旅にプランと彼を親しむアメリカ人の友達の手紙をご覧になってください。彼はテロリストでもなくこの社会に害はいっさいありません。保釈金をあげる必要はないとここで弁護します。』

弁護士は前もって、僕のアメリカ人の友達や信用するクライエントの手紙や他の証拠を集め裁判官に提出していた。

裁判間は女性の方で結論をした。

『保釈金をあげる必要はないです。ここの資料によると佐藤被告が逃げだすという事は信じません。』

僕は裁判官の判断に目の裏が熱く感じた。

しかし、検事は裁判官の話の途中に口出しするように言った。

『しかし裁判長、佐藤被告は確かにバハマにまで逃げ出したんですよ。保釈金と念のために上げるべきです。』

裁判官は強く検事に答えた。

『佐藤被告のパスポートだってちゃんと警視庁が確保しているんでしょう。それに私だって算数は出来るわ。どうしてこんな金額まで上げなければならないのかしら。今回は検事側にあきれました。』

『。。。』

検事はなにも言え返せなかった。

裁判官は続けるように言った。

『次の法廷のスケジュールを考えましょう。6ヶ月後でいいですか?』

すると弁護士はこう言った。

『いえ、9ヶ月後にしてください。私はヨーロッパにバケーションがあるので。』

すると裁判官は彼女をからかうように言った。

『それではあなたのパスポートも取り上げないとね。』

法廷で笑いがあった。

弁護士は確かにベケーションを計画していたが、法廷を延ばせは延ばすほど有利な事を知っていた。

最終的に保釈金は一銭も上がらなかった。裁判官の人間的な優しさと理解を感じ、長い間強く張られた緊張の糸が 『プツン』 と切れると共に僕の目からはドッと涙が一気にあふれ始めた。ホットした涙だった。

『今日は家に帰れる。』

何年ぶりの涙だっただろうか。長い時間だった。

旅が終わる

9月19日(水)午後3時半

やっと旅の終点、カリフォルニア州のサンマテオ・カウンティー拘置所に着いた。ヴァンから降りるとジェールの入り口で新たに手続きの為に指紋や写真を採らされた。時計を見ると時刻は午後の4時を切っていた。5時前に手続きが終われば弁護士事務所に仮釈放してくれるように連絡が取れると思った僕は個室に入れられると早速暗記した弁護士事務所にすぐ電話をかけた。イーサンの話では最終地に月次第仮釈放が可能だからと聞いていたからである。そしてコレクトコールは弁護士事務所に繋った。

『健司だね。あなたの事は聞いています。しかし担当弁護士のローレルは只今外室しています。彼女に連絡をとっておきますが今日中にあなたを迎えに行けるか分かりません。明日には必ず彼女が迎えに行きますから、もう少しの辛抱ですよ。』

『よろしくお願いします。出来れば今日中に釈放してくれればとても助かります。』

僕は電話を切った。

『もしかしたら明日まで待たなければ行けないかも。』

明日まで待つ事を覚悟した僕は個室にあるコンクリートに腰を下ろした。

数時間後、僕は刑事に呼び出された。彼はテープレコーダーをテーブルに置いた。

『事件の夜、何があったのか詳しく話をしてくれないか。』

『。。。』

僕は何も言わなかった。

すると彼は僕の様子を伺いテープレコーダーを止めた。

『君には黙秘権が与えられる。』

『はい、僕の弁護士にお話ください。よろしくお願いします。』

個室で待たされる事5時間が経った。時計は夜の9時を過ぎようとしている。冷房が2-3倍に上がり始め、寒くなって来た。ケンタッキーの拘置所のように寒くなって来た。こんな寒さの中又明日まで我慢しなければ行けないのかと思うと又不安で一杯だった。他の囚人もこの寒さで言葉が出なくじっとして目をつむるだけだった。すると突然ドアが開き、監視官が僕を見て言った。

『そこの君、出なさい。』 

僕は恐る恐るその警官に従い個室から出ると一緒に歩き始めると彼は言った。個室の外は温かかった。今度はどこに連れて行かれるのだろうかとちょっと不安を抱えていたが、寒い個室から出られただけよかった。すると警察官はこう僕に優しく言った。

『保釈金がたった今、支払われた。君は今から外に出られるよ。3ヶ月後に裁判所に時間どうり行きなさい。いいかい?』 

今までの引見な態度ではなくその警官はビニール袋に入っていた僕の持ち物を返してくれた。

『そこの通路をまっすぐに行きなさい。出口が見えてくるよ。』

『有り難うございます。』

信じられなかった。通路を通るとそこには沢山の人がいる待合室に出た。その中からグレイのスーツを着た年配の白人女性が椅子から立ち上がり、僕の方へ寄って来た。

『健司よね?私はあなたの担当弁護士のローレルです。メッセージは同僚から聞いたわ。大変な長い旅でしたね。疲れたでしょう。そんなあなたを遅くても今日中に迎えに来ました。健司からの連絡からすぐに来れなくてすみませんでしたね。他のクライエントを法廷まで行ってて時間がとれなくて。』

『いいえ、しかし今日来てくれるとは思ってませんでした。個室がとても寒くなって来て、苦しかった時にだしたてくれて助かりました。』

『健司のご家族も心配されているだろうし、出来ればもう一日もあなたをこんな場所に入れて置けませんでした。私がそれを知っていて私が今夜ちゃんと眠れませんよ。』

彼女の優しい言葉はとても嬉しかった。

外に出ると真っ暗で暖かかった。久しぶりに普通の人のように自由に歩けた。

『どんな犯罪のチャージがついているか、健司は知っている?』

『逮捕された時は性犯罪と言われました。』

『そう、でもそれだけではないのよ。』

『え?どういう事ですか?』

『性犯罪はその一つで、その他に8つの犯罪のチャージがついているのよ。』

『8つ?』

『それは暴力罪、ストカー罪、泥棒罪、。。。これが全部有罪になると10年以上は刑務所行きになる可能性があります。』

『僕は酔っぱらって彼女のドアをあやまって壊してしまっただけですよ。泥棒?何も盗んでもいない、いや盗むものもないし、ストーカー?いつ僕が当時付き合っていた彼女にストーカー呼ばれしなければ行けないんですか?それに、性犯罪というのも分かりません。あの夜、酔っぱらった行きよいで彼女を抱きしめたのはかすかに覚えていますが、これが性犯罪なのですか?』

『落ち着いて、健司。だからこの私が弁護する為にいるのです。しかし、不運だったわ。これがサンフランシスコで起きた事なら事件にならなかったのよ。サンマテオと言う場所はカリフォルニアに第二に厳しい町なのよ。だから検事がこんなに沢山の罪をつけたのよ。』

『。。。』

『健司の当時の彼女はどんな子なの?』

『黒人のハーフの男の子を育てているシングルマザーです。』

『どうしてつき合うことに?』

『あっちから誘って来たんです。』

『誘って来たというと?』

『セックスです。はじめはそんな関係で会っていたのですが、お互い感情が入って来て真剣につき合うことにありました。彼女は他の女性に比べてとてもセックス好きでした。それも普通のセックスではなくて、いつも彼女の方から僕にレイプをしてくれと頼んで来た方ですよ。』

『それはいつから?』

『僕が二月に日本から帰って来た時に口喧嘩になった事がありました。しばらく冷戦状態が続いていたのですが、僕は彼女に積極的に彼女を誘いました。我々はセックスで仲直りが出来たのです。すると彼女は僕にこう言いました。

『積極的がなかったら私たち別れていたかもね。次にもっと激しくしてくれたらすぐに仲直りしてあげるから。』

その日から彼女はレイプしてくれの、縛ってくれというセックスが続いた。しかし、性犯罪で僕が今こうして何十年間の刑務所行きを前にしているのは不公平にしか聞こえなかった。

そしてしばらくすると市内に着き、僕のアパートの角に着いた。何回拘置所でこのシーンを夢見ただろうか?近くにある将軍日本食レストランが見えた。11時頃だったのか客が少なく、従業人達は片付け始めていたのが外からかすかに見えた。アトランタの拘置所でこのレストランに最初に電話で話したことをよく覚えている。

すると、ローレルはこう言った。

『いい健司、これは重要な事だからしっかり聞いてね。これから私とあなたとの関係は信じ合うパートナーと思って欲しい。私はあなたの家族以上な存在であり、あなたの母親でもあれば奥さんでもあります。私以外の他の人間は絶対に信用しないと誓ってくれる?これから先、お互い色々とやらなきゃ行けないけど今晩は何も考えずにゆっくり休んで下さい。お金はある?何かあればいつでも連絡して下さいね。』

ローレルはそう言って、彼女の名刺を僕に差し出した。彼女の言葉にとてもグット来た。僕は車を下ると58日ぶりの風景の中をみると道路を渡り走り店に近づくと寿司カウンターで座っていた常連の友達が僕の事に気付いた。店に入ると突然の事でみんなが驚いた。

『健司!?元気だったか!?大丈夫なの?出られたの?』

『ただいま!やっとカリフォルニアに帰ってこれてついさっき弁護士が仮釈放していれたんだ。』

オーナーの大川さんは僕にカウンターに座るように嬉しい顔をしながら、肉やらビールやら出して来てくた。久しぶりの白米は美味しかったし、冷たいビールは美味しく感じた。


9月20日(水)朝。タイムードルを大川さんとウエイトレスの花子ちゃんと食べに行く。
なんだか、外にいる感覚が不思議。久しぶりに足を動かす足もなんだか痛かった。