僕は決してお金には困りたくはなかった。自立してから、家族からもいっさい金銭的に世話にならず、真面目に働き家賃も自分の収入で払って来た。以前に会社からリストラされた時でもレストランやアルバイトをしながらなんとか生活して来た。当然、金を借りる事も一度もなかったし、貸す事もなかった。世の中で人生は金だけではないと言うが、今回の経験で金の強さを新たに思い知らされた。そして特に僕は金でどう人が人を利用するか、利用されるかをこの目で見て来た。この世の中、すべて金で動いている。
この事件で僕の保釈金は10万ドル(一千万円)だった。こんな大金が一度に必要になるとは思わなかった。幸い家族の援助で僕は仮釈放が可能になり、拘置所から出る事が出来た。 保釈金以外に家族がいなければ弁護士、インベスティゲーター、精神科のセラピー専門医、裁判専門コンソルタントなども払えなかっただろう。もし、家族がなければどういう展開になっていたのかも分からない。家族の大切さと有り難みを思い知った。
しかし、9月の仮釈放から4ヶ月後、弁護士から良くない知らせの電話が来た。次に予定される法廷の日まで、すでに払った十万ドル以外に24万ドルが必要になると突然言って来たのだった。 検事が僕の保釈金を約3倍、合計34万ドルに値上げする質用があると法廷で裁判長に要求するそうだ。外国人である僕は危ない人物だと言う理由だった。そんなに僕が危険なら、なぜ事件から半年も待ちすぐに逮捕しにこなかったのか?僕には分からなかった。
『どうして次々の用にキツい試練が起こるのだろう?』
頭の中がまっ白になり、何も言えなく黙っていた僕に電話の向こうで弁護士は励ますようにこう言った。
『健司、これはすべて裁判長次第だから、必ずあなたの保釈金が上がるとは限らないのよ。だけど、念の為にお金を用意しておいた方がいい。何が起こるか分からないからね。この事をすぐに家族に伝えて、お金を至急に送ってもらえないかしら。』
『もしお金がなく、払えなかったら僕はどうなってしまうのですか?』
『そうね。そのまま法廷から直接身側を拘置所に確保されてしまうわね。』
励ますように話してくれてた弁護士のストレートな答えは冷たく聞こえた。そして、それを知った僕は全身に恐怖が襲いかかった。
弁護士と話した後にすぐ姉に電話をしたが、この知らせを伝えるとため息の答えしか帰ってこなかった。
『弁護士も私達をなんだと思っているのかしら。大金持ちでもないのに、そんな簡単にそんな大金出せると思っているのかしら。うちにはもうお金ないよ。10万ドルでも結構な大金なのに両親もなんでこんなにするかと驚いくわよ。得に父は心臓が弱いんだからお金がもっと必要だと言えないよ。これ以上親に負担かけられない。誰か知らない?貸してくれそうな友達?』
僕はそれを聞いた時もうお手上げだと思った。なぜなら初めて家族が弱気になっていたからだ。
僕は必死になって、思い当たる知り合いの社長や経営者の友達に連絡した。海外にも連絡した。こんな大金、友達だからってお願いするのも気まずかった。手が震えてメールを送る事さえ戸惑った。しかし助けを求めなければ何も起きない。申し訳ない気持ちで事情を知らせながら、お金の援助を訴え続けた。
『保釈金は何もかも終わり次第全額返って来ます。大金なのは分かっていますが、戻り次第すぐにお金をお返します。どうが助けてください。しかし例え助けてくれなくても僕が無理を言っているのは承知しています。今回僕の話を聞いてくれるだけで感謝しています。』
しかし、返事が帰ってこない。いくら金があったとしても、やはり貸してくれないだろう。僕にはそんな友達を攻めたりはできない。家族以外で助けてくれた人は僕のメンターのグレッグ・チュウ氏だけだった。彼は以前、僕の会社を設立する時にお金の援助してくれた人物だった。彼は五万ドルを貸してくれた。残りは18万5千ドルだった。まだまだ、目標まで足してなく。ここまでが限度だった。後は裁判官がどういう判断をするか祈るしか方法は残っていなかった。
僕は逃げだしたい気持ちで一杯だった。
『いっその事みんなに黙ってメキシコに逃げようか、それとも死んだ方がマシか?いや、死ぬんだったら元彼女や裏切った友達を皆殺してからも遅くはない。』
24時間恐怖、憎しみ、緊張、ストレスを抱えながらジェットコースターに乗っている様な感じで眠れない日々が続いた。
そして、とうとう法廷に行く日になった。その日の朝、外は重い霧で包まれ、道路はビショビショに濡れていた。もしかしたら、今日一杯で拘置所に送られてしまうのではないかと恐怖と不安が頭の中で脳をグチャグチャにかき混ぜているようだった。僕は拘置所の寒さを知っていたので白い靴下と厚めの白いTシャツを二重にして万一の為に準備した。家のドアを閉める前に自分の部屋を見直した。
『ここにはもう帰ってこれないのだろう。』
と思いながらドアをしめた。
法廷に入る前に家まで迎えに来てくれたイーサンに僕の携帯と家の鍵を渡した。
『もしもの事があったら、後はよろしくお願いします。』
法廷に入るとすでに僕の弁護士はすでに僕の事を待っていた。若い女性検事が左側に、我々は右側に座った。裁判官も女性で我々の前に座っている。
検事から発言が始まった。
『裁判長、佐藤被告はアメリカで危ない人間です。彼はバハマ島に行き、この国から逃げ出そうとしていたのです。彼は外国人であり、テロリストの恐れもあり、彼は又この国から逃げ出す恐れがあります。我々検事側は彼の保釈金を34,000ドルに上げる事をここで要求します。』
『分かりました。ヘッドリー弁護士、弁護側の意見をいってください。』
『裁判長、私のクライエント、佐藤氏は当時事件から半年も過ぎているのに逮捕状の事も全く知らされておらず、バハマ島でバケーション中でした。彼は16年前に日本からアメリカに渡り、アメリカの美術大学に行き、卒業後は大手広告企業につとめ自分を磨き、最終的には自分の会社を設立した真面目な人間です。やっとの思いで作った会社、15年間の作り続けた友情、思い詰まったアパートなど、全部捨てて逃げると思うでしょうか?そして、彼はバハマ島の後、シスコに戻る予定でした。 彼は外から中に戻って来たのです。もし、逃げるとしたら、戻ってこないと思うのですが、いかがでしょうか?私が提出した証拠資料の中に佐藤氏の旅にプランと彼を親しむアメリカ人の友達の手紙をご覧になってください。彼はテロリストでもなくこの社会に害はいっさいありません。保釈金をあげる必要はないとここで弁護します。』
弁護士は前もって、僕のアメリカ人の友達や信用するクライエントの手紙や他の証拠を集め裁判官に提出していた。
裁判間は女性の方で結論をした。
『保釈金をあげる必要はないです。ここの資料によると佐藤被告が逃げだすという事は信じません。』
僕は裁判官の判断に目の裏が熱く感じた。
しかし、検事は裁判官の話の途中に口出しするように言った。
『しかし裁判長、佐藤被告は確かにバハマにまで逃げ出したんですよ。保釈金と念のために上げるべきです。』
裁判官は強く検事に答えた。
『佐藤被告のパスポートだってちゃんと警視庁が確保しているんでしょう。それに私だって算数は出来るわ。どうしてこんな金額まで上げなければならないのかしら。今回は検事側にあきれました。』
『。。。』
検事はなにも言え返せなかった。
裁判官は続けるように言った。
『次の法廷のスケジュールを考えましょう。6ヶ月後でいいですか?』
すると弁護士はこう言った。
『いえ、9ヶ月後にしてください。私はヨーロッパにバケーションがあるので。』
すると裁判官は彼女をからかうように言った。
『それではあなたのパスポートも取り上げないとね。』
法廷で笑いがあった。
弁護士は確かにベケーションを計画していたが、法廷を延ばせは延ばすほど有利な事を知っていた。
最終的に保釈金は一銭も上がらなかった。裁判官の人間的な優しさと理解を感じ、長い間強く張られた緊張の糸が 『プツン』 と切れると共に僕の目からはドッと涙が一気にあふれ始めた。ホットした涙だった。
『今日は家に帰れる。』
何年ぶりの涙だっただろうか。長い時間だった。
この事件で僕の保釈金は10万ドル(一千万円)だった。こんな大金が一度に必要になるとは思わなかった。幸い家族の援助で僕は仮釈放が可能になり、拘置所から出る事が出来た。 保釈金以外に家族がいなければ弁護士、インベスティゲーター、精神科のセラピー専門医、裁判専門コンソルタントなども払えなかっただろう。もし、家族がなければどういう展開になっていたのかも分からない。家族の大切さと有り難みを思い知った。
しかし、9月の仮釈放から4ヶ月後、弁護士から良くない知らせの電話が来た。次に予定される法廷の日まで、すでに払った十万ドル以外に24万ドルが必要になると突然言って来たのだった。 検事が僕の保釈金を約3倍、合計34万ドルに値上げする質用があると法廷で裁判長に要求するそうだ。外国人である僕は危ない人物だと言う理由だった。そんなに僕が危険なら、なぜ事件から半年も待ちすぐに逮捕しにこなかったのか?僕には分からなかった。
『どうして次々の用にキツい試練が起こるのだろう?』
頭の中がまっ白になり、何も言えなく黙っていた僕に電話の向こうで弁護士は励ますようにこう言った。
『健司、これはすべて裁判長次第だから、必ずあなたの保釈金が上がるとは限らないのよ。だけど、念の為にお金を用意しておいた方がいい。何が起こるか分からないからね。この事をすぐに家族に伝えて、お金を至急に送ってもらえないかしら。』
『もしお金がなく、払えなかったら僕はどうなってしまうのですか?』
『そうね。そのまま法廷から直接身側を拘置所に確保されてしまうわね。』
励ますように話してくれてた弁護士のストレートな答えは冷たく聞こえた。そして、それを知った僕は全身に恐怖が襲いかかった。
弁護士と話した後にすぐ姉に電話をしたが、この知らせを伝えるとため息の答えしか帰ってこなかった。
『弁護士も私達をなんだと思っているのかしら。大金持ちでもないのに、そんな簡単にそんな大金出せると思っているのかしら。うちにはもうお金ないよ。10万ドルでも結構な大金なのに両親もなんでこんなにするかと驚いくわよ。得に父は心臓が弱いんだからお金がもっと必要だと言えないよ。これ以上親に負担かけられない。誰か知らない?貸してくれそうな友達?』
僕はそれを聞いた時もうお手上げだと思った。なぜなら初めて家族が弱気になっていたからだ。
僕は必死になって、思い当たる知り合いの社長や経営者の友達に連絡した。海外にも連絡した。こんな大金、友達だからってお願いするのも気まずかった。手が震えてメールを送る事さえ戸惑った。しかし助けを求めなければ何も起きない。申し訳ない気持ちで事情を知らせながら、お金の援助を訴え続けた。
『保釈金は何もかも終わり次第全額返って来ます。大金なのは分かっていますが、戻り次第すぐにお金をお返します。どうが助けてください。しかし例え助けてくれなくても僕が無理を言っているのは承知しています。今回僕の話を聞いてくれるだけで感謝しています。』
しかし、返事が帰ってこない。いくら金があったとしても、やはり貸してくれないだろう。僕にはそんな友達を攻めたりはできない。家族以外で助けてくれた人は僕のメンターのグレッグ・チュウ氏だけだった。彼は以前、僕の会社を設立する時にお金の援助してくれた人物だった。彼は五万ドルを貸してくれた。残りは18万5千ドルだった。まだまだ、目標まで足してなく。ここまでが限度だった。後は裁判官がどういう判断をするか祈るしか方法は残っていなかった。
僕は逃げだしたい気持ちで一杯だった。
『いっその事みんなに黙ってメキシコに逃げようか、それとも死んだ方がマシか?いや、死ぬんだったら元彼女や裏切った友達を皆殺してからも遅くはない。』
24時間恐怖、憎しみ、緊張、ストレスを抱えながらジェットコースターに乗っている様な感じで眠れない日々が続いた。
そして、とうとう法廷に行く日になった。その日の朝、外は重い霧で包まれ、道路はビショビショに濡れていた。もしかしたら、今日一杯で拘置所に送られてしまうのではないかと恐怖と不安が頭の中で脳をグチャグチャにかき混ぜているようだった。僕は拘置所の寒さを知っていたので白い靴下と厚めの白いTシャツを二重にして万一の為に準備した。家のドアを閉める前に自分の部屋を見直した。
『ここにはもう帰ってこれないのだろう。』
と思いながらドアをしめた。
法廷に入る前に家まで迎えに来てくれたイーサンに僕の携帯と家の鍵を渡した。
『もしもの事があったら、後はよろしくお願いします。』
法廷に入るとすでに僕の弁護士はすでに僕の事を待っていた。若い女性検事が左側に、我々は右側に座った。裁判官も女性で我々の前に座っている。
検事から発言が始まった。
『裁判長、佐藤被告はアメリカで危ない人間です。彼はバハマ島に行き、この国から逃げ出そうとしていたのです。彼は外国人であり、テロリストの恐れもあり、彼は又この国から逃げ出す恐れがあります。我々検事側は彼の保釈金を34,000ドルに上げる事をここで要求します。』
『分かりました。ヘッドリー弁護士、弁護側の意見をいってください。』
『裁判長、私のクライエント、佐藤氏は当時事件から半年も過ぎているのに逮捕状の事も全く知らされておらず、バハマ島でバケーション中でした。彼は16年前に日本からアメリカに渡り、アメリカの美術大学に行き、卒業後は大手広告企業につとめ自分を磨き、最終的には自分の会社を設立した真面目な人間です。やっとの思いで作った会社、15年間の作り続けた友情、思い詰まったアパートなど、全部捨てて逃げると思うでしょうか?そして、彼はバハマ島の後、シスコに戻る予定でした。 彼は外から中に戻って来たのです。もし、逃げるとしたら、戻ってこないと思うのですが、いかがでしょうか?私が提出した証拠資料の中に佐藤氏の旅にプランと彼を親しむアメリカ人の友達の手紙をご覧になってください。彼はテロリストでもなくこの社会に害はいっさいありません。保釈金をあげる必要はないとここで弁護します。』
弁護士は前もって、僕のアメリカ人の友達や信用するクライエントの手紙や他の証拠を集め裁判官に提出していた。
裁判間は女性の方で結論をした。
『保釈金をあげる必要はないです。ここの資料によると佐藤被告が逃げだすという事は信じません。』
僕は裁判官の判断に目の裏が熱く感じた。
しかし、検事は裁判官の話の途中に口出しするように言った。
『しかし裁判長、佐藤被告は確かにバハマにまで逃げ出したんですよ。保釈金と念のために上げるべきです。』
裁判官は強く検事に答えた。
『佐藤被告のパスポートだってちゃんと警視庁が確保しているんでしょう。それに私だって算数は出来るわ。どうしてこんな金額まで上げなければならないのかしら。今回は検事側にあきれました。』
『。。。』
検事はなにも言え返せなかった。
裁判官は続けるように言った。
『次の法廷のスケジュールを考えましょう。6ヶ月後でいいですか?』
すると弁護士はこう言った。
『いえ、9ヶ月後にしてください。私はヨーロッパにバケーションがあるので。』
すると裁判官は彼女をからかうように言った。
『それではあなたのパスポートも取り上げないとね。』
法廷で笑いがあった。
弁護士は確かにベケーションを計画していたが、法廷を延ばせは延ばすほど有利な事を知っていた。
最終的に保釈金は一銭も上がらなかった。裁判官の人間的な優しさと理解を感じ、長い間強く張られた緊張の糸が 『プツン』 と切れると共に僕の目からはドッと涙が一気にあふれ始めた。ホットした涙だった。
『今日は家に帰れる。』
何年ぶりの涙だっただろうか。長い時間だった。