前に、駅前のグループ薬局に夕方から勤務していたことがあった。その薬局の周りにはクリニックが多くあり、忙しい薬局だったが、目の前の大きな病院からの処方箋が圧倒的に多かった。その病院は、入院や透析、救急などもあり、処方箋も複雑であった。

ある日、おばあさんがご主人であろうと思われる人の処方箋を持って来た。本人はいない。初めての患者さんだ。そして、その処方箋には、たったひとつだけ薬の名前が書いてあった。気管支を広げる薬で、シールのように貼って使う薬だった。薬や食べ物などのアレルギーがあるかなど、初めての患者さんに聴く事をチェックし、一緒に飲む薬があるかどうかを聞いた。

おばあさんはおじいさんが昨日、退院したこと、飲み薬は病院からもらっていること、この貼り薬が追加で出されたことを教えてくれた。でも、飲んでる薬は何かわからないと言う。「

うーん。今日は様子が少し変わってきたんですか?」

と聞いたが、あんまりわからないと言う。

そこで、

「咳が出るようになったんですか?呼吸が苦しいとか?」

すると、おばあさんは、

「咳は出ないよ。心臓が悪くて入院したんだけどね~」とひとこと。

私は、ギャッ!と言わんばかりに驚いた。おばあさんに、ちょっと待ってくださいと伝えて、大急ぎで医師に電話で連絡した。

「心臓が悪いという事ですが、◯◯テープが出てますが」と言い終わらないうちに、電話口で医師は思わず言った。

「あっ!またやった‼︎」

そして、「△△テープです」と消えそうな声で訂正した。