11月16日、山用語の日独英米 | Cycling Wonder

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プレスポで行く神奈川の道

「登山」と呼ばれるアウトドアの遊びは外国からの輸入により始まった。それまでの日本人が山に登るのは、信仰の場合に限られた。
なので、登山関連に使われる用語は日本語より外来語(外国語の日本語読み)が一般的です。
日本の特長は複数の外国語を混ぜて使っていることである。
今回はこの「山用語」について曖昧に理解しているいくつかの事柄について調べたので報告してみる。


■「登山」という日本語を適切に表す英語はない
日本では「山」と呼ばれる有名無名の山頂まで登って下りる野外活動を「登山」と呼んでいる。
また目指す山の高さも気にしないし、山頂を目指さない山歩きをも含めて総称として使っている。

海外では形態別に呼び名が決まっている。
ピクニック(picnic)=野外で食事する
ハイキング(hiking)=距離に関係なく登山道や田舎道(トレイル)を歩く遊びを言う。日帰り(Day Hiking)のケースが多い。宿泊する際は山小屋を利用する。
トレッキング(trekking)=テントや食料を背負い長距離の険しい道(ロングトレイル)を複数日掛けてキャンプしながら歩く遊び。

北米ではバックパッキング(Back Packing)を使う。
クライミング(climbing)=ロープを使う山歩き、岩稜帯をよじ登る。

これら以外にも日本独特の形態がある
沢登り=ウォーターウォーキング(沢下りはあまり聞かない)

有名な山に登ることを「mountain climbing」と呼んだり、更に本格的で難しい山登りを「mountaineering(マウンテニアリング)」と呼んだりするのだが、日本語の「登山」のような便利な言葉は欧米にはない。

日本の「登山」実態をを英語で表すとしたらニュアンスが最も近いのは「ハイキング」である。
だから「趣味は“ハイキング”です」でも十分通用する。
「mountain climbing」の対象は「日本百名山の山々」などとなる。


■山用語の日独英米
日本人が何気なく普通に使っている外来の用語を日本語、英語、ドイツ語に分類してみた。
黄色い表示がよく見たり聞いたりする言葉である。
ドイツ人に教えられて「登山」というスポーツが始まったため、ドイツ語由来の用語が多い。


※間違いやすい「ハット」=ピザ屋はPizza Hut(ピザ小屋)、車屋はYellow Hat(黄色い帽子)、長崎ちゃんぽんはRinger Hut(リンガーさんの小屋)
ピザハットのロゴに書かれているのは「赤い屋根」で「赤い帽子」ではない。帽子に見えるけどね。



■日本独特の解釈
●日本人は「ザック」が好き
山歩きに必須の「背負うバッグ」の正式な呼び名には4つある。
ルックザック…ドイツ語では「rucksack」。荷物を担ぐ荷物袋、という意味。日本の学校で普及、濁らない発音となり「リュックサック」。
ラックサック…英語では「rucksac」。ドイツ語と同じ意味だが、使われていない。
ナップサック(Knapsack)・・・バックパックの前に使われていた用語。英語では“sa”が濁らないので「サック」になる。
バックパック(backpack)…北米が発祥。packは「詰める」、詰めた荷物を背中(back)で担ぐという意味。英米ではこちらが一般的。

4種類も言い方がある中、日本ではさらにドイツ語のrucksack(ルックザック)の省略版としての「ザック」(sack)を良く使う。
山系YouTuberの使用率が高く、YouTubeで「登山」を学ぼうとすると、自然に「ザック」を使うようになる。
エビデンスはないが、日本人は濁った発音が好きなのかもしれない、「サック」より「ザック」。
ドイツでは「ザック=大きな袋」という意味になるため、通じないだろう。
「リュックサック」も和製英語なので英国でも米国も通じないだろう。


かくいう私もよく分かっていなくて「ザック」で正しいと思っていた。
ちなみに「ザック」の表記ではスペルで表した記事を一度も見たことがない、全てカタカナの「ザック」で書かれている。
英語だと思って素直に書けば「zac」ですが、これは「5セント硬貨(僅かな金)」と言う意味で違います。
“sack”だとしたら"sa"を英語では「ザ」とは言わない、「サ」である。「ザ」と発音した時点で英語ではなくなる。
ドイツ語の「大きな袋」(Sack)の読み方である「ザック」から来ている。


●「デイパック」は「日帰り用?」

「デイパック」(Day Pack)これは、主に日帰り旅行や町中で使用すること(タウンユース)を目的に作られたリュックサック。
(大体はその日に家に戻るから、ほぼ日帰りで使用。大きな容量の物がない、造りが頑丈ではない)
小容量のデザイン性を優先したものが多く、日帰りハイキング用として使うことは日本ではあまりない。
日本人は、簡単な小山だろうと関係なく本格的な用具を使いたがる。

●「アタック・ザック」?
高い山の山頂に挑むことを日本では「アタック(attack)」と呼び、その時背負うリュックのことを
「アタック・ザック(英語:attack-sack)」と言う。
と皆がSNSに書いている。(リュックサックのWiki、個人SNS)

ここまでの流れから和製英語であることが分かる。
「attack」は英語で「sack」(ザック)がドイツ語っておかしくない?
もし英語に言葉があったとしたら、英語読みは「アタック・サック」、
ドイツ語で意味を合わせるなら「attacke-sack」で「アーテアケザック」に変わるはず。
でも堂々と「リュックサック」の日本語Wikipediaに書いてある。たぶん日本人しか見ない。
海外で「アタックザック」なんて言ってはいけませんよ、どこでも通じないから。


■有名なアウトドア用品販売店の見解
有名なアウトドア用品販売店ではどのように扱っているのかをオンラインショップでの表示から分類してみました。
 
●ザック派
・ヒマラヤスポーツ→ザック・バッグ

・カモシカスポーツ→ザック・バックパック

・石井スポーツストア→登山ザック・登山リュック>

・Youtuberの”KABU PAPA”
・Youtuberの”かほの登山日記”
・Youtuberの”winpy-jijii”
・Youtuberの”山のまこちゃんYamanoMakochan”
 
●バックパック派
・モンベル→バックパック

・Youtuberの”山好き移住者の日記 by もじゃまる”
 
●リュック派
・好日山荘→リュックサック・バッグ

・SPORTS AUTHORITY(スポーツオーソリティ)→リュック・バックパック

・オンラインショップYAMA HACK→リュック(ザック)
・amazon→登山リュック・ザック
・楽天市場→バックパック・リュック
・Youtuberの”Back-Country Movies バックカントリー穂高 ”の太田さん
 
意外なことに山のプロに「ザック」が溢れているわけではなかった。
Yooutuberは、「ザック」使用率高いです。

「山好き移住者・・・」の方は、元モンベル店員さんで、「バックカントリー穂高」の方は元カモシカスポーツ務めでした。
なんだかんだ言っても、やっぱりモンベル(Monbell)が一番信用できるブランドだと思う。

 

用具の情報収集にYouTubeを活用すると、自然と「ザック」と呼んでしまうのでしょうね。
山のプロたちは、前職の影響で違うものの、薄々「ザック」は違うと思いつつ、世間に合わせているように思われる。
大体にして山情報の一流紙と自負する「山と渓谷」には「ザック」が溢れているからね。
読者に媚びる姿勢は信用ならないなぁ、でもまともな雑誌が「ヤマケイ」しかないからなぁ...
私は図書館で借ります。特別な特集、付録の時しか買いません。

 

 

最後に

日本人の登山はほとんどが国内で行われるため、使う用語は和製英語で構わないんだけど、おおもとの国では通じないよということを頭に置いておくといいかなと思ってまとめてみました。
日本人は言葉を創り出すのが得意なので当然ですかね。

ではでは(⌒_⌒)v

 

 

 

 

●日本人が「ザック」を使う理由(わけ)

この記事を書いた後気がついたのだが日本だけ「ザック」を使うのは以下の理由ではないかと思う。

 

子供が小学校に入ると、「リュックサック」を保護者は用意する。

↓こんな形のモノね

 

これを皆「リュックサック」と呼ぶ。

そして、“大人”が「登山」に使う時は、ちょっと違う「リュックサック」を使う。

↓こんな形のモノね

 

明かに「子供用」とは違う形状である。

つまり、日本では教育用の「荷物入れ」から普及してしまったので本格的な登山用では区別する必要が生じたのだろう。

だから、恰好よく呼びたくて「ザック」と言い始めたと私は推測する。

たぶん、これが真相と思う。

だから日本でしか通じないのだ。